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029⚫️隠された本性 対 千人力

「はじめまして、陛下。拝謁、恐悦至極にございます。」

こいつがジン・ラベンダーか。まだ、青二才ではないか。

「父、ロイの名代として、ご挨拶に参りました。」

ふん。小生意気な。だが、ここで悟られてはならん。

「よく来られた、ジン殿。ゆるりとして参られよ。」


謁見の間の左右には臣下が並ぶ。

ダレオレが発言する。

「陛下、ジン殿のご案内は私にお任せください。既にご指示のとおり、サトラップに手配させております。」

国中を回るとは、何か魂胆があるのだろう。だが、ここで猜疑心を見せては予が予であることを悟られる可能性がある。ここは・・・

「おう、それはよい。サトラップであれば、安心というもの。だが、ジン殿、先ずはこの王都ヴァルディーンでの宴を楽しんで頂きたい。」

笑顔で言える。これも’あの人格’で鍛えられた結果かもしれん。


「ジン、いいのか。ワレはあの王、なんかイヤな感じがしたぞ。」

ジンは少し言葉を溜めて応える。

「ヒトの内面はなかなか分からないからね。でも、カナタが一緒だったら、何が起きてもだいじょうぶだろ?」

カナタは胸を叩いて言った。

「おう!ワレがいれば千人力だぞ!」


カナタ・エーデルマンは別の世界線からの転生者である。

かつての彼は魔王として驚異の’魔力’を発し、

エレナ、グラノフ、ルイーザを苦しめた。

だが、この世界線では彼の過去の記憶は定かではない。

幼少期よりロイにより、将来のジンの補佐役として兄弟同様に育てられてきた。

’魔力’は有していないものの、その思考力と身体能力は鍛え上げられている。

彼の自称’千人力’は誇張があるとしても、有為な人材であることは違いない。

ロイの命により南の大陸に’船’で上陸したふたりの、

エイン・ファルマ王国の視察が始まる。


カナタについては

第10部 https://ncode.syosetu.com/n8145mf/ 

あるいは、

第10部057⚫️大いなる矛盾 https://ncode.syosetu.com/n8145mf/48/ ご参照。

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