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028⚫️王は、酒を飲んでみる。
「うむ・・・。少し酒を飲みたいのだが。」
「はい、陛下。何になさいますか?」
「そうだな。料理に合わせて、そなたが選んでくれ。」
「畏まりました。すぐに手配いたします。」
レグナスは、卓上で静かに指先を動かした。
その僅かな躍動が、他ならぬ「自分の意志」であることを、確かめている。
酒。王を縛っていた’あの人格’は一滴も口にしなかった。
従って、これは試金石である。
誰にも悟られぬように、自身の習慣が復活するか。
確認項目のひとつなのだ。
「おい、陛下がお酒を召し上がりたいそうだ」
「珍しいな。ここ数年、全く嗜まれなかったのに。」
「連日の激務でお疲れなのだろう。久しぶりのご命令だな。」
臣下たちは、ただそう言って笑い合うだけだった。
誰一人として、王の内側に宿った「変化」には気づかない。
「次の皿と一緒にお持ちしよう。」
「ああ。うん、その銘柄でいいんじゃないか。」
レグナスはグラスを手に取り、わずかに目を細めた。
この程度では、まだ誰も気づかぬ。
それでいい。今は、これでいいのだ。
’芝居’を続けるのだ。
復讐の計画は、今、静かに幕を上げたばかりなのだから。




