019⚫️合言葉は愛の言葉
「では、ファイルが開くかどうか、ですね。」
マンションに戻ったわたしたちは、
端末に接続したファイルを前にして固唾をのんだ。
ココアちゃんが解析を進める。
「・・・だめですね。ロックが非常に厳重です。数列や文字列ではない可能性があります。」
それって・・・じゃあ、何で解除できるっていうのよ?
「オレが力づくで開けようか?」
アキラ、あなたバカあ?
物理的なロックじゃないんだから。
「それは最後の手段でとっておきましょう。」
ジンが静かに言う。
あの凄まじい制圧を行った同一人物とは思えない穏やさね。
「さて、そうなると。ミサヨさん、ご両親との’合言葉’のようなものはありませんでしたか?」
「・・・合言葉・・・。いえ、特にそんなものは・・・。」
「家族の間では、当たり前すぎて気づかないこともあります。幼い頃から、ご両親が好んで口にしていた言葉などは?」
ミサヨは少しだけ目を伏せた。
「・・・パパとママが・・・あの言葉?’繰り返し言って’って、何度も・・・。」
「試してみようよ、ミサちゃん!」
イヨが背中を押す。
ミサヨは小さく息を吸い、
震える声で言った。
「・・・パパ、ママ・・・大好き・・・。」
モニターがぱっと光った。
うわっ?! これは・・・音声が!
〈パパもママも、ミサヨが大好きだよ。世界で一番・・・。〉
ファイルが開いた。
音声認識だったのね・・・。




