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勇者を上回れ



飛び交うホーミング捕縛機。


それを謎の盾とかでガードしまくる異世界の勇者。

ヤマトは魔力源を封印され、ウラニアの加護はちょっと記憶力が高いだけ。



これはまさに道具と知恵の戦いだ。




「弾速遅いホーミング弾だけじゃ構えてるだけで防げるじゃないかウラニア!」


ヤマトがなぜかアドバイスを頻繁に叫ぶ。



「だから追加パーツ呼んだんでしょ!」

「だめだめ!連射も遅くてエイムも悪い。ガードしてるんだぞ?崩しが無いなら一緒だって」




負けじと言い返して無誘導の捕縛機も連射するが、盾を構えつつ妙にふらふら動く相手にそのままガードされるか外れている。


弾速と連射が速かったら、そのエイムの悪さがうまく的を散らして当たってくれたかも知れないが、飛ばしてるのが弾じゃなくて捕縛機だからなぁ。



しかも多分ヤマトは対人の読み合いをしながら高速の超接近戦をし続けてきた変態だ。ウラニアの動きは読まれている上に遅くて素直なんだろう。




「ヤマト、助けてクレ!ゆっくり影縫いされテル!動けないし痛イ!」

「ちょっと耐えててくれ!今忙しくて!」

「もしかして逃げられるとでも思ってるのかしら?」




そしていつの間にかアネモネがノームさんと地面で編み物をしている。やめなさい。




「もう!慈悲の捕縛弾なのに!こうなったら、怪我しても知らないっすからね!」




白いゴーレムがバックパックに接続されているキャノン砲みたいなのを構える。たぶん暴徒鎮圧用の水鉄砲かな。弾が安く、威力も調整しやすく、ついでに多少の鎮火も出来る定番兵装だ。



「斜めに弾く……ぶわっ!?出来ねぇ!!」



水流に盾ごと押され、ついに吹っ飛ぶヤマト。一瞬ワクワクした顔をしていたので、どうやらビームを斜めに弾いてみたかったようだ。


ぐねぐねとスクリューしてる水流は思った以上に力のかかる場所がバラけるので、腕の力加減だけで一定の角度を維持して弾き続けるのはまぁ無理だろうね。地面に刺して安定させる大盾とかなら出来たのかな。難しそうだけど。




「確保!」「甘い!」




崩れて吹っ飛んだ筈なのに、妙な体術で勢いを殺さず転がるヤマト。


すぐさま水流と捕縛機で追撃するのだが、軸をズラすよう横方向に駆け出したヤマトにウラニアのエイム力では水鉄砲も無誘導弾も当てられず、ホーミング弾は普通に防がれたり、下手したら追いきれず外れている。



動く速度も一定じゃなく変なフェイントみたいなカクカクした気持ち悪い動きをするので、あれウラニアじゃなくても大分当て辛いんじゃないだろうか。


なんかスポーツの、あれ、玉とか持って走るやつの変な動きに似てる。



さすがに見事としか言いようのない勇者の体術を見て、メイドさんや、勝手に人んちの庭に入ってきて見学している警備の人達から拍手が起こる。



いつの間にかマリウス王子も居て大喜びでヤマトを応援している。お前自分が人んちの近くで何してたか忘れてないか?王女の家の庭で暴れまわってる奴らに対する警備の反応って、本当にそれでいいのかな?




「アネモネ!悪いが連れて帰る!」

「……ヤマトさん!!」



どうやらこのよく分からない戦いは『ノームさんを救出して逃げたらヤマトの勝ちで、それを止められたらウラニアとアネモネの勝ち』というルールになったようだ。



アネモネは、カス性癖によるエロ目的の下らない行動を阻止する時くらいしかヤマトの邪魔を出来ないし、ノームを連れ去るか蹴り飛ばすにしても自分で固く影縫いしてしまったので瞬時には動かせない。しかしヤマトにしても地面に貼り付いたノームさんを簡単には連れ去れない。



水鉄砲は安価で強力だが消費も激しい。補充しないともうあまり撃てない。そして下手なエイムでアネモネやノームさんに当てるとややこしい事になるかも知れず、ウラニアの動きも一瞬止まる。



なんか謎の読み合いと選択がその一瞬に凝縮されていく。ノームさんに迫るヤマト。迷うアネモネとウラニア。固唾をのむ観客。もう結末が分かってて全然どうでもいい私。




「ぐあっ!?」




大量の捕縛機が絡みついているノームさんに触った瞬間、びしょ濡れのヤマトにも捕縛用のスタン攻撃が伝わる。濡れてるせいなのか捕縛機が大量すぎるからなのかはよく分かんないけど、濡れた手で触るべきじゃなかったのは確かだ。



何も考えていなかったか、もしくは考えすぎて影縫いされてるからアースに接続されているみたいな認識だったのか。むしろアースと接続している方がスタン箇所以外にも通電しそうな気もするがどうなんだろうね。



「し、しまった!」

「あっ」「あ!?」



一瞬呆気にとられていたウラニアが殆ど反射的にホーミング捕縛機を発射し、それがヤマトに当たると決着となる。




しょうもない決着だったから皆の反応も薄い……かと思ったら、少し間をおいてから一気にワッと歓声が起こり、メイドさんや警備の人らがお互いの健闘を称え始める。


庭に響き渡る大勢の拍手。



本当かな。本当にそんな盛り上がる戦いだったかな。




まぁでもさすがに私もウラニアを褒めなければ。下手したら本人もあれがどれほど状況を覆す発明なのか分かっていないかも知れないが、この短期間でこの成果は本当に凄い。




ノームさんがもう襲わないと言っても、結局誰も鵜呑みには出来ないだろう。


勇者召喚はダメだと言っても、倫理観に頼るだけじゃいつか誰かがルールを破るかも知れない。


じゃあもう勝つしか無い。勇者達に。



ウラニアは最初に勇者召喚を殺すと言った。始めはもっと強い道具があれば良いだけだと考えていたけど、勇者の力は想像以上に凄まじく、そして上回っただけじゃ便利さは消えていないので悪用の可能性は残ってしまう。



勇者召喚を出来る限り無意味に近づける、勇者無力化装置。



ヤマトが緊急時以外まで善意を踏みにじってベルトのバグを指摘し続けた辺りからアイツの思惑もあったんだろうし、ウラニア自身この成果がどれほど大きいのか分からず目の前の事件とムカつく煽りにただ必死に立ち向かっただけかも知れないけど、この短期間で実運用にまで漕ぎ着けたのは本当に天才としか言いようが無い。




さすが私が見出した専属研究員。いいぞウラニア。えらいぞウラニア。



よくもボクにちんちんをー!って叫びながらゴーレムから飛び出して捕縛されたヤマトをぺちぺち叩きに行き、アホだから自分もスタンして倒れたけど、うん、いや、まぁ、細部はともかく本当に偉いよ。


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