束の間の休息
クロノ達が去った後、一応試験中なのでアランが起きるのを待っていた。
「なにが四条院だクソが。殺しに来るなら理由くらい言えってんだよ」
「勇者の末裔って言ってたよな」青
「四条院ってことは先祖は日本人だろうな。てかなんで俺のフルネーム知ってんだよ」
まさか王宮にいたのか?いや、いたとしても誰も王宮で俺のフルネームは言っていないはずだ。
俺のフルネームを知っている人間………モランだ。
でも、モランなら名前聞いた時点で殺せばいいはず。
「生徒手帳」青
「え?」
「俺らが制服脱いだ時に一緒に埋めたじゃん。燃やしたりしてなかったし、掘り起こせば手に入るでしょ」青
生徒手帳か。確かに生徒手帳なら俺のフルネームはわかる。登校中にこっちの世界に来たわけだし、あの暗殺者達みたいに王都からついて来てたんなら、掘り起こすのも容易だ。あれ?生徒手帳?
「ああぁぁ!!!」
「!?どうした?急に」青
「俺の生徒手帳にはマイシスターの奇跡の1枚が貼ってあるんだよ!冒険者登録が終わったら写真だけでも掘り起こそうと思ってたのに………取り返さなきゃ」
「まだ決まったわけじゃないし、後で確認しに行こうぜ」青
「ん………俺………何して……」青
アランが目を覚ました。何が起こったのか理解してない様子だ。
「お!やっと起きたか。もう朝日が昇り始めてんぞ」
「え?あの少年は………?」青
「そこからかよ………」
アランはクロノに蹴り飛ばされて早々に気絶していたので何も知らない。とりあえず、起こったことを話しながら街に戻ることにした。
「なぁアラン四条院って知ってるか?」
「四条院………知らないな」赤
「………そっか」
オーラは赤。嘘だ。もしかして四条院ってそんなにヤバい奴等なのか?後でモランにも聞いてみるか。
そんなこんなしてるうちに、街に着いた。早く冒険者協会でライセンスをもらおう。
「遅かったですねアランさん」青
「少しトラブルがあってな!さて、試験の結果だが―――ナツキ、シュウ、トウヤの三人に索敵者の称号を与える!」青
「え?!」青
受付のお姉さんが驚いている。索敵者ってそんなに珍しいものなのか?
「索敵者って何?」
「索敵能力に優れた方のことで、その称号を持っているだけで高ランクのパーティーに誘われる程です。数年に一度与えられるかどうかの称号なのに三人同時なんて………」青
「まぁいいじゃないか!」青
索敵者が複数人同時になるなんてありえないことみたいだ。能天気なアランに受付嬢は呆れている。
「とりあえず、先にハル様のライセンスだけ渡しておきますね」青
受付嬢から名刺サイズのカードを渡される。書いてあるのは名前と年齢、そして称号。
称号の欄に『ダブル』と書いてある。ダブルって何だ?
「このダブルって何ですか?」
「魔法適性が2つある2属性適性の方に与えられる称号です。こちらも持っているだけで高ランクパーティーに誘われる代物です」青
この世界では2属性適性は相当珍しいみたいだ。称号があるだけで高ランクパーティーに誘われるって言ってたしラッキーと思っておこう。
「それと、適性試験も依頼ですので、報酬の支払いがあります」青
嬉しい誤算だ。試験で金は貰えないと思っていた。ようやく食事にありつける。
「こちら、報酬の大銀貨5枚です。御三方のライセンスを更新してまいりますので少々お待ちください」青
「報酬はどう使う?」
「飯!」青
「飯だな」青
「腹減った」青
満場一致だった。こちらの世界に来てから5日経つが、水以外は一度も口にしていないのだから当然だ。むしろ、今生きているのがおかしい。
「お待たせ致しました。ライセンスの更新が完了しました」青
ライセンスの更新も終わり、この世界で最初に食べるものを探しに街を歩いていた時に、モランに会った。
「お!お前ら!冒険者になれたんだな!」青
「まぁな!なぁモラン、飯の美味い店知らないか?後、四条院一族って知ってるか?」
「その名を何処で聞いた?」青
モランの表情が、急に真剣な面持ちに変わった。
「友人がそいつらに命を狙われてるんだ」
「死にたくなかったら、その友人との縁を切れ」青
「なんで?」
確かにあいつらは強い。だがそれだけで縁を切らなきゃいけないレベルまでいくはずない。実際に戦ったのだからよくわかる。
「いいか?四条院一族ってのは勇者の子孫を自称するイカれたやつらだ。世界を救った勇者の子孫である自分達が世界を支配するべきという理念の下、世界各国に喧嘩を売ってる化け物共だ。いくつもの国を滅ぼしてる………」青
いくつもの国を滅ぼしているというのは信じ難い話だが、オーラの色は青。嘘はついていないらしい。とんでもないイカれ野郎どもに命を狙われてるみたいだ。
「そうか………ありがとう。ところで、飯の美味い店って知ってる?」




