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第14話 水の都

騎士共を獣人達に引き渡した後、俺達は次の街へ向かっていた。


「この先の町にあいつらの雇い主がいるんだよな?」青

「らしいけど、俺らの目的は隣国行きの馬車だからな?そういう面倒事に首を突っ込めるほどの力もないんだから自重しろ」

「それはわかってるんだけどさ………」青


ナツキの言いたいこともわかる。

奴隷が悪しき文化だった世界で生きてきた俺達からしたら、奴隷にするために獣人達を襲うなんて到底許せない。


だが、表向きで禁じられているだけなら、あいつらの雇い主は貴族か、それに近しい存在。なんなら国の可能性すらある。精霊と契約したとはいえ、国を相手にするなんて無理な話だ。


「馬車の関係とかで、町に滞在することになったらその間だけ、雇い主探そうぜ」

「ああ!」青

「ただし、見つけたら全員で準備してからしばくぞ。いいな?」

「もちろん」青


でもなぁ本当に見つけたとして、通報しても握り潰される可能性のほうが高いから自分達でしばくしかないんだよな………。

しばけたとしても、普通に揉み消されて俺達が悪者にされるだろうから隣国行きが遠ざかるのもネックだ。

まぁ、そんなことはその時考えればいいか。


「水の都だっけ?次の町」

「そう呼ばれてるらしいよ。司祭ドワイトの考案した機関によって、内陸に位置する町でありながら水路が張り巡らされているんだってさ」青

「へー」


絶対にドワイトって司祭が犯人じゃん。ファンタジー作品であるあるの展開でしょ。町の偉い人が実は悪いことしてましたとかさ。


それにしても水の都か。元の世界のほうだと、ヴェネツィアがそう呼ばれてたよな。となると、さぞ美しい町並みなんだろうな。


「身分証はお持ちですか?」青

「冒険者ライセンス持ってます」

「確認しました。ようこそ!ウィスタニアへ!」青


門を抜けた先はまさに別世界だった。


「すげぇ」


思わず声が漏れてしまう。

石造りの家に、町のいたるところに張り巡らされた水路。

そのすべてが、まるで芸術のような美しさを放っていた。

この綺麗な町に、獣人狩りを行なっていた奴らの雇い主がいるというのは、なんとも悲しいものだ。


「さて、まずは馬車だな」


ここには隣国行きの馬車に乗るために来たのだ。

できれば面倒事に関わりたくないので、すんなりと馬車に乗れれば嬉しいが………。


「馬車?それなら、さっき行っちまったよ」青

「戻ってくるのはいつになるんだ?」

「詳しい日程はわかんねぇが、少なくとも来月にはなるだろうな」青


最悪だ。最低でも1ヶ月はこの町に滞在することが決定してしまった。

絶対に面倒事に巻き込まれるじゃん………。


まあ、決まったことは仕方がない。

そんなことより、まずは宿だ。

早く見つけないと、今夜も野宿になってしまう。


「なぁあんた、このへんでいい宿知らないか?」

「宿なら、そこの角を曲がった先にあるところが評判いいぜ」青

「お!マジ?ありがとう!」


親切な若者もいるんだな。

とりあえず、紹介してもらった宿に行ってみよう。


「いらっしゃい」青

「男4人相部屋でいいんだが、いくらになる?」

「1人あたり大銀貨1枚だちなみに朝食がつく」青


まずいな、この世界の物価がわかんないから、一泊大銀貨1枚が高いのか安いのかまったくわからん。


てか、よくよく考えたら今の俺の全財産大銀貨5枚じゃん。

1人あたり大銀貨1枚だから………4人で一泊大銀貨4枚か。

ゴブリン退治1回で一泊+朝食付きで大銀貨1枚残るならいいか。


「OK。じゃあ、男4人相部屋でお願い」

「まいどあり」青


部屋は思っていたより広かった。

4人相部屋だから、ベット以外ないレベルでギチギチになると思っていたが、ビジネスホテルくらいの広さだった。


「俺は明日の宿代稼ぎに行くけど、お前らは?」

「ふぇ〜?」青

「あ、うん。ごめん」


完全にこの世界初のベットに取り込まれてるわ。

この世界に来てから、今日までずっと野宿だったもんな、俺だってこのままベットで1週間くらい寝てたいもん。


「じゃあ、一旦自由行動にするか!夜には部屋に戻れよ」

「は〜い」青


さて、冒険者協会に適当な依頼を受けにいくか。

一応は自由行動だ。あいつらはベットに取り込まれてるから大丈夫だとは思うが、面倒事に首を突っ込まないことを祈っておこう。


「ようこそ!冒険者協会へ!」青

「依頼を受けたいんですが」

「でしたら、あちらの掲示板に貼ってある依頼をご自由にお持ちください!」青


冒険者の依頼受けるのってこんな感じなんだ。


「掲示板って、これか。どれにしようかな」

「右下の依頼なんてどうでしょうか。我が主」

「は?」


頭の中に直接声が響いた。


「おいこらG。これはどういうことだ?」

「念話です。精霊は契約者とのみ念話で会話することができます」


ご丁寧に解説ありがとうねぇクソが。

いちいち頭の中に声が響くのは変な感じがする。


「それで、そちらの依頼はいかがでしょうか?」

「右下ってこれ?ジャイアントボアの討伐」

「それです」


ジャイアントボアか、名前的にデカい豚かな?


「ちなみにジャイアントボアって美味いの?」

「大変美味でございます」


これに決めた。今夜はジャイアントボアで焼き肉パーティーと洒落込んでやるぜ!

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