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八章二十九話 大森林探索11

用語説明w


竜闘士

ドラゴンウォーリア、ドラゴンの力を持つ人類の呼称。成長すれば、人体に竜の特徴を顕現させる変身能力、竜化が可能となる。竜の力に耐えるため、人体強化が前提であり、力の覚醒のためには本物のドラゴンの力に接する必要があるなど条件が多い


ピンク

竜人女性、燃えるような赤髪が印象的な、カイザードラゴンの血を引く貴族の令嬢。業火竜と呼ばれる期待の新人騎士で、火属性との親和性を持つ。オーバーラップした宇宙拠点産のMEB、レミントン・スマートを使っている。


ソロン

龍神皇国の現皇帝の孫で皇太子の一人で龍人男性。セフィリアと同じ龍神王の血を引く、ドラゴンの力を持つ竜闘士。セフィリア、ピンクとは義兄弟の契りを結んでいて仲がいい



「タイミングはピンクに任せる。隙を見てぶちかませ」


「う、うん…」



ピンクが頷き、その後ろをソロンが緊張した顔で続く



「悠長にしゃべってんじゃねーよ」


ペリノアが、歩いて間合いを詰めてくる



「…竜闘士ってズリーな」


「あぁ?」


「タフすぎる。硬すぎる。しかも、治癒能力もある」


ペリノアの身体が壊せない

単純に頑強だ


そして、回復能力

抉った腕の傷の出血がもう収まっている


しかも、切断されないように受けやがった

俺の攻撃が見切られたってことだ


こいつは力押しだけじゃない

腕がある上で、力押しを戦い方をしているんだ



「ドラゴンの力が強いなんてこたぁ、誰だって知ってることだ。むしろ、お前が粘ってるのが驚きだ」


ペリノアが姿勢を下げる


「テメーと違って、特殊な力は持ってないんだ。手加減しろよ」


「トランスと紋章の併用…。戦いが面白いと思ったのは久しぶりだ。また使え」



ズドォッ


ボゥッ!



互いの武器が空を斬る



しかし、その瞬間に、ペリノアが目の前の木の幹を蹴った


瞬間移動とも思えるような速度


目の前にいたはずなのに、超高速で跳びやがったのか!?



ドッ…!!



ペリノアの突進


弾丸のような速度



ボッ…



エアジェット


高速の短距離移動


一箇所に留まらないステップでペリノアの突進軌道を避けながら、ブルミナス・フルスイング!



ドギャッッ!!



武器と武器がかち合う衝撃


だが、俺は地に足を突き、奴は空中にいる


俺の方が速い!



地面を掴みながら、ペリノアに肉薄!



「ちっ…!」


ペリノアが反撃に動く



その一瞬だけ速く


奴の右の二の腕に手を添えて押し上げる


動きを阻害しつつ体勢を崩す



「おらぁっ!!」



押す勢いで上体を横に倒す


手を地面につく


同時に、闘氣(オーラ)を集中させた真上への蹴り上げ



「くっ…」


右脇を蹴り上げ、右腕の動きを止める


ペリノアがバランスを崩した


こういう小技が大事なんだよ!



ボゴォォォッ!



ピンクが跳んだ


俺の意図を汲んでくれた



火属性の親和性を持つピンクの最大火力、竜皇剣(りゅうおうけん)がペリノアに突き刺さる



「ぐおぉぉぉっ!?」


ボッガァァァァァァァァァァァ!!



超火力の炎が爆発


俺は、ある程度の火力と戦略的な立ち回りはできる

だが、ペリノアほどのレベルの竜闘士相手だと力負けだ


天才には、天才達の力をぶつけた方がいいに決まってる



「ソロン!」


ピンクが、すぐに場所を譲る



そこには、すでにもう一人の龍族の天才

フィーナの補助魔法マシマシのソロンが突っ込んで来ていた


「うおぉぉぉっ! 舐めんなぁぁぁっ!」


ペリノアが、冷気を爆発させる

ソロンを迎え撃つつみりだ



「無理だよ」


「…っ!?」



だが、ペリノアの冷気の出力が極端に低下



狙い通りだ


ピンクの火属性攻撃のメインはダメージじゃない

火属性の活性だ


運よく相克属性の関係にあったピンクとペリノア

お互いに大ダメージを与える関係となる


そして、もう一つ


火属性活性によって、冷属性の威力を低下させられる

ダメージと共に、ペリノアの冷属性を封じることが、ピンクの役目だったのだ



ジェットストリーム・フォーメーション


古典的フォーメーションかつ、連続攻撃の王道

一直線に並び、連続攻撃を叩き込む戦術だ



ズドォッ!!



ソロンの天からの剣の振り下ろし

隕石のごとく、質量を叩きつける


ソロンの勢いは止まらず、ペリノアを通り過ぎて地面に着地



ズドッッ!!



その瞬間、地面が隆起して、真下からペリノアを貫いた



「な…」


上からと下からペリノアを貫いたソロンの一撃…、いや、二撃

予想以上の威力に、俺は正直ビビっている



「ソロンのアースドラゴン・ファングだよ」

ピンクがやってくる


「アースドラゴン…」


「伝説の土属性ドラゴンなんだって。上からの一撃は天の断罪、下からの一撃は地の復讐って技。上下の牙を同時に叩きつけるんだよ」


「…」


考えてみれば、ソロンの天才っぷりを見るのは初めてだ



地面に叩きつけられ、ピクリとも動かないペリノア


魔竜化したこいつは、普通の攻撃では倒しきれない身体を持っている

そのためには、無防備な状態に極大技を連続で叩き込んでオーバーキルする必要があると判断した


うまくいってよかった…、勝負ありだ



「…二人とも、よくやってくれた」


「時間をかけて力を溜められたから」

「うん。ラー兄の作戦と隙作り、ピンク姉のデバフとダメージ。お膳立てがバッチリだった」


二人は、少しだけ息を切らせている


それだけ、一撃に力を込められる

これも才能の一つだな



「…また、驚きましたぁ。まさか、ナイツオブラウンドの一人、武闘派のペリノアさんを倒しちゃうなんてぇ。でも、一人を複数人で囲むなんて酷すぎますよぉ」

マーリンが、岩の上でしゃがみながら言う


「ふざけんな。俺一人を百人で囲ませやがって」


「煽られちゃダメだよ、ラーズ」


ミィが俺の隣に来る



「ふふふっ、本当に思い通りにならない。燃えてきちゃいます、ね」


マーリンのフードに隠れた表情は分からない

だが、口角が上がっているのは分かる



「グオォォォーーーーー!!」


「…っ!?」



突然、ペリノアが跳び起きる

白目で歯をむき出している



「ラー兄!」


ピンクが叫ぶ



…ペリノアの身体が肥大化し始めている


な、なんだ!?


「えっ…、姿が!?」


「ド、ドラゴン…?」


「ペリノアさんは竜闘士です。竜闘士とは、ドラゴンの力を持った人間のことで、ドラゴンの力を人間に乗せて使っています」

マーリンが立ち上がる


「そして、死にかければ生存本能のよってドラゴンの力を暴走。一時的にドラゴン化して暴れるんですよ」


「…!」


ペリノアの身体が、全長二メートルほどのドラゴンへと変わる

あれが、ペリノアに宿ったドラゴンの姿ということか


と、言うことは、ピンクとソロンも…

あと、セフィ姉もドラゴン化するってことなのか



「ラーズのさっきの変異…、あれも、中途半端にドラゴン化したってことなのかも」

フィーナが言う


「ペリノアさん、狙うのは装甲車で。それと、後衛のお二人から狙いましょう」

マーリンが指示をする


「理性が無くなってるのに、命令なんて聞くわけ…」


「ダメだ、ミィ! マーリンはテレパスを使えるサイキッカーだ! ピンク、ソロン、守りに入れ!」


サイキッカーは、精力(じんりょく)で意識を誘導できる!


俺は、トランスを発動する


「ラーズ、何を!?」


「ミィ、下がれ! フォウル、フィーナ、アラート頼むぞ!」



グオォォォーーーーーーーッ!!


俺の中で、竜熱の咆哮が響く



目の前のペリノア・ドラゴンが俺に敵意を向けた



許すな


叩き潰せ


喰らい尽くせ



闘争心が頭の中で大反響する



「力を貸せ! あいつを仕留める!」


グオォォォーーーーーーッ



俺の中のドラゴンの力と、珍しく見解が一致した


こいつを叩きつぶす



フル機構攻撃の火薬は使い切ったまま


そもそも、魔竜化状態でも倒しきれなかったのに、ドラゴン化したこいつに効くかは微妙だ


それなら、俺に残された技は一つしかない



「…」


久しぶりに暴走した

改めて、俺は呪印の使い方の基本に立ち返る



まずは、破壊対象を定める


意識が多少、闘争心に持っていかれたとしても破壊目標だけはぶれない


しっかりと、ドラゴン化したペリノアを見据える



間違えるな


あいつを破壊する


目標は、あいつだ!



自分と呪印に目標を焼き付ける



「あのバカ、また呪印を…!」


ミィが怒りながら、ボウガンを構える



ドシュッ!


ガッ…!



マーリンの長い杖を狙撃


補助魔法を思われる魔法の構築を阻止


続けて、ペリノア・ドラゴンに先制攻撃

軟化や拘束の魔法弾をペリノア・ドラゴンに撃ち込む


ミィの魔法を乗せるボウガンの狙撃は、銃とは違うパーティの要だ



俺は、トランスに上乗せして呪印を発動


次に、やることを明確化



ドラゴンエッグを発動


その風を、輪力と魔力を使ってブルミナスへと集めて行く



よし、できる



ブルミナスを覆っていた闘氣(オーラ)の範囲を広げる


輪力と魔力で操る風をブルミナスと一緒に包み込む



「ラーズ!!」


「ガルルルルッ!!」



フィーナとフォウルの思念が届く


ピーピーとなっているのは、ヴァヴェルのウェアラブルセンサーだ

脳みそガードと呼ばれ、異常なバイタルを検知した場合に警告する


つまり、俺の精神状態がギリギリまで振れているってことだ



だが、出来た


間違いなく、重属剣の発動に成功した


これなら行ける



「フォウルーーーっ!」


俺は叫ぶ



そして、少しだけ残していた風の殻を圧縮


ホバーブーツのエアジェットと共に弾けさせ、飛び出す



騎士学園の頃の必殺技

セフィ姉の悟り、ドラゴンソウルという技を真似て編み出した、模倣・ドラゴンソウル


ドラゴンエッグと重属剣の合わせ技だ


…重属剣は、発動すると動けない

繊細なバランスで構築しているため、維持が難しいからだ


だから、足以外の移動方法として、ドラゴンエッグの推進力を利用したのだ


そんな、懐かしい思い出がよみがえった



フォウルが再度巨大化


咢を開き、雷がほとばしる



同時に、俺はペリノア・ドラゴンへと飛び出した




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勇者の剣、受けてみよ!
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