八章二十五話 大森林探索7
用語説明w
ブルミナス
正式名称ブルールミナス、折れた青き大剣1991が、アダマンタイト鋼と竜王の爪を使って生まれ変わった。ロケットブースター、パイルバンカー機構、硬化紋章、超振動装着、精神感応金属内蔵は変わらず、強いドラゴンキラー特性を内蔵した霊剣となった
鯉のぼり君
ラーズの絆の腕輪が生み出したアバター。式神のリィ、アンデッドの竜牙兵、動き出した植物サプミドの影響を受け、それぞれの特徴を外部稼働ユニットを依り代として顕現させている。ドラゴンらしきものの集合体であり、小型杖の魔石、モ魔の巻物、銃弾、アンデッドの腕、霊体の尻尾、植物由来の毒を使う
フォウル
肩乗りサイズの雷竜、ラーズの使役対象。巨大化してサンダーブレスを一回だけ吐ける。不可逆の竜呪によって小竜にされていたが、本来は成竜であり、異世界で呪いが解かれたことで巨大化が可能になった
ピンクの皇竜化
ソロンの龍神化
トランス・アドバンスの二人が、ハヌマーンのネームド、斉天大聖の攻撃を受け止めた
フォウルが巨大化
ドラゴンの威圧で、他のハヌマーン共を威圧する
サンダーブレスを吐かなければ、エネルギー消耗は少ないようだ
ドラゴンの姿を使った、圧倒的な威圧感
これは使える
「ミィ、フィーナ、攻撃の手を緩めるな!」
ブォォッ!
ブルールミナス…
やっぱめんどい、ブルミナスの杖機能を使ってドラゴンエッグを発動
ゴォッ… ドシュッッ!
「ガァァッ!」
ジェット突きで、ガードした腕を抉ってやる
斉天大聖が、すぐさま殴り返してくる
ブォッ!
凶悪な拳とすれ違うように跳ぶ
「おらぁぁぁぁっ!」
横薙ぎの回転
ジェットを全開に吹かしたフル機構斬りだ
ボッ… ガァァァァァァァァァン!
獣の超反応で、斉天大聖が仰け反って躱す
だが、胸の毛皮が引っかかり、大きく抉れて飛んでいく
ビチャッ…っと、近くの木の幹に血と肉がこびりついた毛皮が貼り付いた
しかし、斉天大聖はネームド
ここからだ
インファイト…!
ボヒュッ!
ドシュッッ
斉天大聖の拳のぶん回しが、下げたヘルメットの真横の空気を吹き飛ばす
避けながら突き出した、俺の風の殻を使った風の刃が二の腕の毛皮を削る
「ぐがぁぁぁぁぁっ!」
「おぉぉぉっ!!」
ゴゥッ…ズドッ!
身体を回転させながらの、ブルミナスのジェット斬りを腕で受けられる
ドゴォッ!
致死レベルのぶん殴りを、エアジェットで跳びながら軽減
だが、勢いが殺しきれずに吹き飛ばされる
トランスを発動
エアジェットと飛行能力のダブル推進力で着地と同時に突進
ゴガッ!
「ガゥッ…!?」
跳び膝から、斉天大聖を蹴って真上へ飛ぶ
縦回転からの、フル機構突きだ
ゴォッ…、ズッドォォォォォォォン!!
「グゴォォォァアアアアアアアアッ!!」
メキメキメキッ…!!
「……っ!?」
凄まじい衝撃
吹き飛ぶ感覚
木々を叩き折る音
ズザザザザザザッッッ………ドガァッ!!
「がっ……はっ……」
や、やるじゃねーか、この野郎
真上からのフル機構突きに反応しやがった
ぶっ刺さるのを覚悟で、相打ち狙いでのぶん殴り
おかげで、俺の左腕と肩がバキバキに砕けた
相打ちだったら、やられていたのは俺だった
直前で、紋章がを発動したのが功を奏した
…引いたら死んでいた
トランスと紋章のダブル
トランス3で、無理やり押し込んでやったのだ
ズドォッ!
「ラー兄、下がって!」
「無茶だよ!」
ピンクが斬りかかり、斉天大聖を引かせる
ソロンが、俺の前で盾を構える
ドシュッ!
ボボォォーーーーーーッ!
「グゴォッ!!」
ミィが、火属性の耐性減少の魔法を発動
フィーナの遺物を使った強化火属性魔法が炸裂する
「デバフはオッケ、火属性下がったよ!」
「ピンク姉、俺が下がるよ」
「ピンク、火属性!」
「ありがとう、フィー姉」
ズドォッ!
ピンクが、火炎切りで斉天大聖を吹き飛ばす
明らかにダメージが上がっている
ミィのデバフ
フィーナがピンクに火属性強化魔法を発動
防御が得意なソロンが後衛を守り、火属性と攻撃力が高いピンクが牽制する
火属性によって、Aランク近い斉天大聖が絡め取られている
この陣形は、奴一体では突破できない
この安定感は、パーティの実力によるもの
…俺が一人で無理をする必要が無い
優秀な騎士がパーティを組む
それは、俺一人では絶対に出せない成果を簡単に叩き出すんだ
「グゴ……」
斉天大聖が、両手をついて威嚇する
フラフラしてはいるが、まだ目は死んでいない
後ろには、ハヌマーンの群れがいる
子猿もいる
こいつにも守るものがあるってことだ
「ラーズ、回復を!」
フィーナが、走ってきて回復魔法を発動
ぶっ壊れた左腕の骨と肩が治っていく
回復魔法ってのは、本当に反則技だ
「ピンク、少し時間を稼いでくれ。フォウル!」
「グルル…」
フォウルが、周囲に睨みを利かせる
「グオォォーーーーーーッ!!」
ビリビリと空気を震わす、フォウルの竜の雄叫び
ハヌマーンの群れが逃げ出していく
「フォウル、大きくなって強そうになったね」
「ドラゴンだからなぁ」
後は、斉天大聖が一体だ
残念だが、こいつは雄叫びじゃ逃げそうにない
「ラーズ、なんで攻撃しないの!?」
ミィが、ボウガンを構えたまま言う
「鯉のぼり君の力を使った。下手に手負いの獣を相手にするのも危ないからな」
「力って?」
フィーナが、足元に戻って来た鯉のぼり君を見る
「トリカブトの毒だ」
トリカブトは、キンポウゲ科の猛毒の植物
アルカロイドと呼ばれる有機化合物を含み、トリカブトの場合は細胞活動を停止させる麻痺作用を持ち、中毒症状や心室細動などを引き起こす
人類の狩猟に利用されてきた歴史があり、特に根っこに毒性が強い
鯉のぼり君が発芽させたトリカブトをすりつぶし、ブルミナスにたっぷりと塗りつけていたのだ
「いいね、その子。私にも使わせて」
ミィが興味を示す
「さすが、反則大王」
「あんたが言うな」
俺は、トリカブトの根をすりつぶした、筒に入れてミィに投げてやる
「さぁ、じっくりと攻めよう。竜闘士二人に大魔導士がいれば、こっちの被害は最小限にできる」
「…来そうだ、気を付けて」
ソロンが言う
追い詰められたのが分かったのか
毒が効いてきたからか
斉天大聖から、イチかバチかの気配を感じた
「…っ!?」
「…誰か来るな」
俺と斉天大聖が、同時に横に顔を向ける
「誰って、ここは大森林だよ?」
「フィーナ、下がってろ」
この感じ、覚えがある
「あ、あいつ!」
ピンクが言う
姿を現したのは、ペリノア
ドラゴンナイトと呼ばれるナイツオブラウンドの一人だ
「よう、元気そうだな。猿、蒼天竜」
「なんたらナイトじゃねーか。何でここに?」
「ドラゴンナイトだ、知ってて言ってんだろ。マーリンに言われたんだよ、すぐに行けって」
ペリノアの表情は不満でいっぱいだ
「マーリンが 来るのか?」
「もうすぐ着くはずだ。よかったな、会いたかったんだろ?」
「…」
エマ、ダナンジャ、アフリイェ…
返さなきゃいけない借りが死ぬほど貯まっている
「ったくよぉ! お前らに鍵を渡して遺跡ってのを見つけさせて、後から発見したものを奪うつもりだったってのに。マーリンにお前らの話をしたら、すぐに行けとかぬかしやがったんだ。クソめんどくせぇ、大森林の探索なんてやってられねぇと思ったら、本当にもう遺跡を見つけてやがるし…。少しは休ませろってんだよ」
ペリノアが勝手にペラペラしゃべる
ミィがもっとしゃべらせろと俺に目で言ってくる
いや、自分でやればいいだろうが
「よく俺達がいる場所が分かったな」
「石板は欠けていたが、あの壁画でだいたいの場所の見当はついていたからな。探す場所はそこまで広くない。お前らこそ、この短期間によく遺跡の場所を特定したな」
「優秀なブレインがいるからね」
ミィが答える
ラングドン先生とヒナテア
二人の隠し玉に加えて、バビロンさんもいる
マーリンの知識も凄いのだろうが、こっちも負けていない
「ま、マーリンの目論見通りに、壁画から遺跡の場所を割り出したんだ。褒めてやるぜ」
ペリノアがバトルアックスを構える
「…」
斉天大聖とドラゴンナイト、俺達の三すくみが出来上がった
「…それにしてもよぉ。この真実の眼ってのは何なんだ? 壁画でヒントなんぞ残しやがって。何も残さなきゃ、探す必要もねーってのに!」
ペリノアが、斉天大聖を警戒しつつ怒っている
「ヒントを残すなら、分かりやすくしろ! もしくは残すな! めんどうなことをさせるな! 俺に!」
おしゃべりが止まらない
これは、こいつの癖なんだろうな
その時…
斉天大聖が動いた
ペリノアに向かって
ドガガガガッ!
ドシュッ
ボボォッ!
俺が左腕を銃化してアサルトライフル
ミィのボウガン
フィーナの火属性投射魔法
斉天大聖を援護するように、ペリノアを狙撃する
ズドォッ!!
激しい衝撃音が響いた




