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八章二十四話 大森林探索6

用語説明w


鯉のぼり君

ラーズの絆の腕輪が生み出したアバター。式神のリィ、アンデッドの竜牙兵、動き出した植物サプミドの影響を受け、それぞれの特徴を外部稼働ユニットを依り代として顕現させている。ドラゴンらしきものの集合体であり、小型杖の魔石、モ魔の巻物、銃弾、アンデッドの腕、霊体の尻尾、植物由来の毒を使う


バビロン教授

大学の教授であり、考古学の中でも真実の眼という、四千年前の民族を専門に研究をしている。ラーズ、ミィとはインディーな冒険(過去作)を経て旧知の仲


ソロン

龍神皇国の現皇帝の孫で皇太子の一人で龍人男性。セフィリアと同じ龍神王の血を引く、ドラゴンの力を持つ竜闘士。セフィリア、ピンクとは義兄弟の契りを結んでいて仲がいい


ガキィッ!!


「…っ!?」



ヒナテアが、驚いてブーメランで受ける


犬サイズの外部稼働ユニットを本体とする鯉のぼり君の背中から、人の背骨くらいある巨大な骨の腕が二本出現

先端の鋭い爪でヒナテアを斬りつけたのだ



「…竜牙兵」


そう、間違いない

あれは竜牙兵の腕


ドラゴントゥースウォリアーと呼ばれる、ドラゴンの牙に魔力を込めて作り出させるアンデッド

生き物由来ではない、人工物であるゴーレムのような存在で、再生が可能

その両腕を背中から生やしているのだ


オリジナルの竜牙兵ではない

だが、その一部だけでも残っているという奇跡

竜牙兵の残滓を受け継ぎ、流用した姿がここにあった



「…」


「驚きました。何ですか、それは」


敵意が消え、笑顔で鯉のぼり君を観察するヒナテア

鯉のぼり君も戦いを止め、おとなしくなった



「データ。鯉のぼり君がしゃべらないのは何でだ? 本体はデータ2なんだろ」

俺は、データに尋ねる


データ2は、データと同じ人格AIをインストールして同期も行っている

つまり、データと同じようにしゃべるはずなのだ


しかし、鯉のぼり君はしゃべらない

まるで、動く妖精の苗だったサプミドみたいだ



「ご主人! 仕様だよ! 鯉のぼり君には明確な意思…、意図があって動いているよ。よって、データ2は鯉のぼり君の意図を魔力動位センサーから読み取り、外部稼働ユニットの動作を同期させることに集中。メインの動作判断を鯉のぼり君の意図に合わせてサポートする形をとっているよ!」


「一つのボディに複数の人格は混乱を来すってわけか」


「そうだよ! でも、データ2にしゃべらせることは可能だよ!」


「いや、鯉のぼり君の動作効率を上げてくれればいいよ。サポート、期待してる」


「了解、任せてよ!」


うむ、鯉のぼり君がようやく動けるようになった

データ2と同じ外部稼働ユニットであり、使い勝手は変わらない


更に、アンデッドの爪と式神の尻尾

それと、植物の毒を持つ


これらのカードをどうやって使っていくか

それは、俺の腕の見せ所だ



「さ、そろそろ時間ですね。私は帰ります」

ヒナテアが突然、俺達に背中を向ける


「お、おい。本当に、この先に遺跡があるんだろうな」


「ありますよ。ここにいる精霊は、この地そのもの。知らないことはありませんから」


ヒナテアは、そう言って歩き出す


「ヒナテア。あんた、一人でこの大森林から帰るつもりなの?」

ミィが呼び止める


「もちろん。当たり前じゃないですか」


ヒナテアは、散歩でもするように大森林の真っただ中を歩いていく

それを、俺達はただ見守るしかなかった



「…蒼天竜かぁ。ドラゴンの使役は驚いたけど、そんなに強いとは思えなかったな。カイザードラゴンや龍神王の竜闘士、それとクレハナの大魔導士の方がよっぽどやりそうだったけど」


ヒナテアは、軽やかに歩きながら呟いた




・・・・・・




「…あれだ」


俺達は、丘の上からドローンを飛ばして周囲を捜索

すると、ヒナテアの言った方角に、本当に石造りの建物を発見した


森と土に埋もれているが、入口が確認できる


人類が踏み込めない場所である大森林

その中に隠された、間違いなく未発見の遺跡だ



「し、信じられない…! あの人はどうやって遺跡を見つけたんですか!?」

バビロンさんが興奮している


「多分ですけど、音波や電磁波を使った広範囲スキャンソナーって感じだと思います。周辺の地形データを一気にスキャンして、遺跡がありそうな場所を特定。その周辺を精霊に聞いたとか…?」


「そんなことができるなら、未発見の遺跡がいくらでも見つけられますよ!」


「そんなの、あの狂笑のヒナテアしかできないわよ」

ミィが首を振る


「その狂笑って何なの?」

フィーナが聞く


「…ヒナテアは、感情がバグってるの。楽しそうに笑いながら、どんなえぐいことも平気でやる。人を壊そうが、町を破壊しようが、笑顔が消えない。だから狂笑(きょうしょう)って呼ばれてる」


「…」


バビロンさんが黙る

クロノスってのは、危険人物しかいないのだろうか



「バビロンさん、あの遺跡について分かることは?」


俺達は、装甲車に取り付けた超望遠で観測

石造りの入口の奥に空間が続いているように見える


「…ナナイル川流域の遺跡群と共通点があります。やはり、この一帯は四千年前には一つの文明圏だったのでしょう」


「それじゃあ、やっぱり中を見てみる必要があるわね」


壁画に描かれた地図が指し示す場所

しかも、未発見の可能性が高い遺跡


とんでもないお宝が眠っている可能性がある


…それなら、なぜさっさと遺跡に向かわないのか?


それは、ハヌマーンを見つけてしまったからだ


俺達が目指していた遺跡

その遺跡をハヌマーンが出入りしている


どうやら、遺跡を巣にしているようだ



「…あいつ、いるかな?」


ソロンが画面を見つめる


「…準備しろ、来やがった」


ドラゴンタイプの変異体である俺

感じているのは殺気だろうか



ハヌマーンのネームド

特殊個体、斉天大聖がこちらに向かってくる


竜闘士であるペリノアの真髄と、変異体である俺のフル機構攻撃の威力に耐えやがった強敵だ



「スサノヲ、バビロンさんと思いっきり下がっていて」

ミィが言う


「フォーメーションは変わらずだね」


「フィー姉、今度はちゃんと守るから!」

「うん!」


ピンクとソロン

ダブル壁役(タンク)で行く


斉天大聖のパワーには妥当だ



「ピンクとソロンは、必ずどちらかがディフェンスで残ってくれ。二人で攻撃に行くなよ」


「分かってる」


後衛のミィとフィーナは打たれ弱い

絶対に攻撃させない


「頼むぜ。鯉のぼり君、フォウル」


「はい、補助魔法ね」


硬化魔法と防御魔法

フィーナが全員に発動する



俺はブルミナスを構える



「グゥゥ…」


その目の前には斉天大聖

リベンジマッチの始まりだ



「…フィーナ、ミィ。他のハヌマーンが近づいている。牽制を」


「…分かった」


「ピンクは守りを。ソロン、行くぞ」


「う、うん…!」



ピンクは、ちょっと残念そうに後ろに下がる

アタッカーをソロンに取られたからか


防御は経験が無ければ難しい

だから、ピンクに頼んだよ



「ギャッギャッギャッ!」

「オウッオウッオウッ」


ボボォォーーーーーッ!



火炎放射が炎で薙ぎ払う

フィーナが、ヨズヘイムから入って来た遺物を取り付けた杖を使った


高火力魔法を発動できる魔道兵器


これだけで、ハヌマーン達の足が止まった



「ミ、ミィ姉、凄いね、これ」


「魔導書とのセットも使いやすい。魔法威力が引き上がってる」


アイテムはミィ

魔法はフィーナ


騎士学園を思い出す



ズドォッ!!


「ぐぅぅっ!!」



ソロンが斉天大聖の拳を受け止める


地面に両足が溝を作る電車道

その衝撃の重さを示している



「グオォォォーーーーーーーッ!」


響く咆哮



「ソロン!」


「だ、大丈夫…!」


ソロンは、龍化している

ピンクの皇竜化とは違う、龍神化と呼ばれる変身能力

トランスの上位互換であり、物理的な変身であるトランス・アドバンスだ


変身能力の強化値は高い


斉天大聖はAランクの可能性がある

その攻撃を受け止めるんだから、ソロンも規格外だ



ドシュッ…


「グゴォォォォッ!」



ミィがボウガンの狙撃

しかも、軟化の魔法を付加している



ボゥッ!

ズドォッ!


俺が、ジェット突きで削る



ズドォッ!


「ぐぅっ!?」



斉天大聖が真横に棍棒のような腕を伸ばす

ビッグパンチで身体が浮いた



「あぁぁっ!」


ズドンッッ!



ソロンが土属性ストーンハンマーをフルスイング

剣の先に岩を生成し、斉天大聖をグラつかせる



キュンッッ!


…ッガァァァァァァァン!



光線が突き刺さり、斉天大聖が爆発

あれはプラズマ魔法


複数の属性を使ってプラズマを生成するフィーナの必殺技だ



ズッドォォォォォォッ!!



続けてピンクの火属性竜皇剣(りゅうおうけん)


連続での高火力攻撃で、斉天大聖が吹き飛んだ



続けて、ピンクに変わって防御に入っているソロン


このパーティ、完璧だ



「グオォォォーーーーーーーッ!」


響く怒りの雄叫び



フォウルが身体をデカくして、ハヌマーン達を威嚇している


「ご主人! 鯉のぼり君から拘束の魔法弾の効果が出たって!」


「了解」



…もう一度言おう

このパーティ、完璧だ


竜王グレイムの時とは違う


規格外の竜闘士二人

大魔道士と反則大王クレジットクィーン

そして、でっかいフォウルと鯉のぼり君


精鋭中の精鋭のパーティだ


斉天大聖は、予想外の苦戦に牙をむき出して唸った


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― 新着の感想 ―
お互いほとんど手札を見せてない状態ではヒナテアの評価も妥当ですかね。出力的なものはPT内ではラーズが一番低いでしょうし 斉天大聖再び。ハヌマーンの巣というのは恐ろしいフィールドだ。鯉のぼり君も色々試せ…
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