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八章二十話 大森林探索2

用語説明w


フィーナ

漆黒の髪と赤い目のノーマン女性。漆黒の戦姫と呼ばれ、仙人として覚醒、宇宙戦艦宵闇の城をオーバーラップ、更に複合遁術を習得した大魔導士。クレハナの王族出身ながら、ラーズの幼馴染な嫁さん


ピンク

竜人女性、燃えるような赤髪が印象的な、カイザードラゴンの血を引く貴族の令嬢。業火竜と呼ばれる期待の新人騎士で、火属性との親和性を持つ。オーバーラップした宇宙拠点産のMEB、レミントン・スマートを使っている


ソロン

龍神皇国の現皇帝の孫で皇太子の一人で龍人男性。セフィリアと同じ龍神王の血を引く、ドラゴンの力を持つ竜闘士。セフィリア、ピンクとは義兄弟の契りを結んでいて仲がいい


ペリノアが突進

バトルアックスを突き出した


その先にはフィーナ


…後衛を狙われたっ!



「フィーナ!」


ズドォッ!!



その後ろにある木々が吹き飛び、冷気が地面を真っ白い霜で染める


土煙が舞い上がった



「フィー姉!」


ピンクが叫ぶ



俺は、ドラゴンエッグを発動

あの野郎を追う



ガッ!


「ちっ、なんだ、あの女は!」



ペリノアの反応が早い

俺の攻撃に対応し、自分から切りかかってくる


「何だと?」


「俺のスラッシュクローが通り抜けやがった。完全にとったと思ったのによ」


つばぜり合いの状態


こいつはフィーナの技を

俺はフィーナの容体が気になっているからこそ成立する会話だ



ボボォォーーーーーーッ!


ドンッ

ドドドドドン!



「うおぉぉぉっ!?」

「わっ!」



火柱が立ち、火球が十個近く飛んでくる


慌てて、俺とペリノアが離れる

火球は、ペリノアに向かって炸裂していった



「ラー兄、フィー姉は無事だよ!」

「凄いね、びっくりした」


ピンクとソロンが合流


ようやく合点がいった


ペリノアのスラッシュクローとやらは直撃した

だが、攻撃がフィーナをすり抜けた


フィーナは、避けられないと判断して複合遁術である雲遁を発動したのだ


これは、ペリノアの攻撃がフィーナを捉えていたということ

俺達前衛が完全に抜かれたってことだ


「…あいつ、強いし速い。ナイツオブラウンドは伊達じゃない」


「う、うん…」


謎の組織、ナイツオブラウンド

その首魁ともいえる一人がここにいる


強いのは分かった

だが、マーリンの居場所を吐かせるチャンスだ



「行くよ!」


「うん」


ミィとフィーナが、俺達の後ろにつく



フィーナは、羽衣を腕から背中に通し、左手に杖、右手に魔導書(グリモワール)を持っている


魔導書は魔法構築のデータベースであり、複数の魔法発動を高速化する

杖ほどの魔法強化値は無いが、フィーナのようにいくつもの魔法を使いこなすタイプには有効な装備だ



「フィーナ、魔法の威力が上がってない?」


「瞑想はしてきたから。復帰戦だから頑張らないとね」


ミィとフィーナが構える


フィーナのブランクは心配なさそうだ

すぐに、前衛の俺達に防御魔法、硬化魔法、耐魔力魔法を発動した


運動エネルギーの相殺、防具や表皮の硬質化、魔法全般に対する抵抗力の向上

一般兵の御三家ともいわれる補助魔法だが、騎士にとっても有用だ



「フォウル、奴がどうなったか見えるか?」


「グルル…」



絆の腕輪で、上空のフォウルの視界を共有

フィーナの火属性魔法が着弾した、煙の周囲を観察する



ドゴォッ!


「…っ!?」



突然の激しい衝撃音

そして、一直線に何かが飛んで行った


「ぐっ…」


「な、何!?」


全員が警戒

ペリノアの攻撃の可能性がある!



「…あ、新手!?」


ミィが言う



違った

奴の攻撃じゃない


今のは、ペリノアが吹き飛ばされた音だ



「さ、猿…?」


「あれ、ハヌマーンだよ!」


ソロンが、新手を指さした



ハヌマーン


大柄でゴリラのような類人猿に近い体躯をしているが、鋭い牙が特徴的

顔は赤く、長い尻尾を持ち、雷鳴のような咆哮を放つ

神格化され神となった個体もいる



「…ハヌマーンって、本来はBランクなのか」


「データベースではその通りだよ!」

データが検索結果を答える



違和感

目の前の猿は、かなりの威圧感を纏っている


事実、ドラゴンナイトとかいう二つ名を名乗ったペリノアが吹き飛ばされた


あいつは騎士として、かなりの実力を持つ

最低でもB+ランク、Bランクくらいなら余裕で狩るだろう



「ぐ…、なんだ、この猿は!」


ペリノアがキレる

闘氣(オーラ)全開で突進、冷属性の特技(スキル)を発動した



ズドォッ!


冷属性の斬撃、吹雪斬り

極低温の冷気がハヌマーンを襲う



ドッゴォッ!!



ゴギャッッ!


ガッ!


バキッ!



数本の木を叩き折りながら、ペリノアがまた吹き飛んでいった

ハヌマーン渾身のパンチがカウンターで入ったのだ



「つ、つえぇ…」


「ちょっと! こっち向いたよ!」


「ピンク、ソロン、やるぞ!」


俺は、倉デバイスからブルールミナスを引き出す



ドッゴォッ!


「ぐあぁぁぁっ!!」



ハヌマーンがジグザグに突進

長い腕で拳を叩きつける


ソロンが盾で防ぐが、一発目で身体を浮かされ、追撃の鉄拳ぶん回しで吹き飛んでいった



「はぁっ!」


ピンクが切りかかる



「フィーナ、ソロンとピンクに質量増大を!」

ミィが指示


「分かった!」


前衛のラインは、敵の侵入を止めるポジション

しかし、敵の出力が高すぎると、体重が足りずに吹っ飛ばされる


そのため、重力属性を使って自分の身体を星に打ち付ける

機動力は落ちるが、吹き飛ばずに耐えられるようになるため、頑強さを産む闘氣(オーラ)と相性がいい



ピンクが、横薙ぎに剣を振るう

火属性の特技(スキル)、火炎斬りだ



ボォォッ!


「…ピンクっ!」



だが、ハヌマーンが跳んだ

そして、両手を組んで振り上げる



ズドッッッ!!


「…っ!?」



汲んだ両手を叩きつける、渾身のハンマー

地震のように地面が揺れ、ピンクが地面に叩きつけられる



ドシュッッ!!


「ギャァッ!」



俺はジェット突きで、ハヌマーンを吹き飛ばす


この野郎、やるじゃねーか!

ピンクのダメージがでかい、追撃はさせない


こいつ、ただのBランクじゃない

余裕でB+ランク、下手するとAランクの危険度がある



「ざっけんな、おらぁぁっ!!」


「グギャァァァァッ!」



ペリノアが突進、ハヌマーンにバトルアックスを叩きつける


凄まじい冷気

ハヌマーンの毛皮を叩き切り、大きな傷ができる



「グガガガガッ!!」


「がっ…! このっ…!?」


ハヌマーンが鋭い牙でペリノアに噛みつき、そのまま地面に叩きつけた



「うおっ!?」


そして、咥えたまま、俺に向かって突っ込んできやがった



ゴギャッ!


「ぐっ…」



斜め上に吹き飛ばされる

上空から、猿たちの動きが見える


まずい…


前衛の俺とピンク、ソロンが離れた


その後ろには、ミィとフィーナしかいない



ドンッ!!



ハヌマーンが地面をける

そして、弾丸のように突進した



「ミィ姉!」


フィーナがミィを突き飛ばす



ブフォッ…!!


ギリギリで身体を雲化

ハヌマーンの拳がフィーナを突き抜けた



フィーナの複合遁術、雲遁は反則級の性能だ

全ての物理攻撃をすり抜けられる


自分を囮にして、緊急回避に使ったのか

なんつー無茶を…



バァンッッ!!


ハヌマーンが、状況を理解できず、キョロキョロする

仕留めたと思ったフィーナが消えたからだろう


手の平を地面に叩きつける



「…ぁぁあっ!?」


だが、それがいけなかった


フィーナの雲遁は身体を雲にする

攻撃を透過するが、リスクとして雲が吹き散らかされると死んでしまう

雲が薄くなりすぎると、元に戻れなくなってしまうからだ


手の平を叩きつけられた時に生じた突風が、フィーナの雲を拭き散らした



慌てて、実体に戻ろうとする


しかし、雲をかき集めるのに手間取っている



「いつまで咥えてやがる!」



ズガッ!


「グゴォォッ!」



ようやく、ペリノアが一撃を入れてハヌマーンの牙から脱出

だが、牙が突き刺さった肩を負傷している


「…殺す」


ペリノアがバトルアックスを構える

仕留める気だ



俺は、飛行能力で降下しながら、ドラゴンエッグを発動する


「おらぁぁぁっ!!」


ペリノアが叩きつける技

吹雪を纏う斬撃だ



不本意だが、それに合わせる


上空から、速度を乗せたフル機構攻撃を振り下ろす



ズッガァァァァァァァァァン!!

ビュオォォーーーーーッ!!


「ゴアァァァァァッ!!」



衝撃による砂埃と冷気が爆ぜる



ハヌマーンが吹き飛んだ


全身を霜に覆われ、肩から腕にかけてざっくりと出血している



「…やるじゃねーか、蒼天竜」


ペリノアが、バトルアックスを肩に担ぐ


「まさか、今のは真髄か?」


「よく分かったな」


俺とペリノアは、奴から視線を離さずに言う



このゴリラは強い

下手すると、簡単に喰われちまう


ここは大森林


まさか、ここまでヤベーモンスターがいやがるとは

こいつが都市部に現れたら、どんな被害が出るか分かったもんじゃない



「グゴォォ…」


見た目からしてタフ

ハヌマーンが起き上がった


当然、まだまだやる気

ダメージはあるだろうが、闘志は衰えていない



「グオォォーーーーーーーーーッ」


「…っ!?」



突然、響き渡る雄叫び


また竜熱か!?


一瞬、そう思ったが、他の皆や、ペリノアまでもが周囲を見回している

俺の脳内で聞こえる遠吠えじゃない


それじゃあ、いったい…?


俺が空を見上げると、一匹のドラゴンが降りてきた



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