第45話・1 ベルン市(1)
ベルン市に着きました。
昼3時(午前8時)に家(神域の部屋)を出てベルン市の西門へ行く。
ベルベンボネ市での騒ぎの再来は嫌なので、私一人で市内へ入る事にする。
セルボネ市でも入市税を取られたがベルン市は一人銀貨2枚だった。
それ以外は何もなく市内へ入れた。
ベルベンボネ市での騒動は貴族の領主が治める都市だったからかもしれない。
このベルン市は古都督庁長官(伯爵)が皇帝の代わりに治める都市なので。
大臣クラスだけど官僚だから貴族的な謀略に係わらない都政を行っているのだと思う。
このように官僚がトップの都市だけどそれはここ200年の事でしかない。
古代にこの地の名称がベイリンゲル・ムクォリシス・ミスティス(二つの丘に挟まれた神秘の地)と言ったらしく、頭のベイリンからベルそしてベルンと呼ばれるようになったそうです、だけど詳しくは知りません。
このベルンは帝国の都であった歴史を持っています。
帝国歴400年ごろから800年ごろまでが帝都だったそうで。
都を遷都したのは、帝国年820年ごろ当時の皇帝の后であった人に皇帝がベルンを追い出されたから、仕方なく遷都したらしく、30年ぐらい帝国の都はあちこち移動していたそうです。
(素敵です、追い出したお后様、強くて、わがままで、ロマンティックな方よきっと by妹)
(だた単純に男がダメダメだっただけでしょう by大姉)
結局次の皇帝が即位して、都を今のミンスターに定めたのが神聖ロマナム帝国歴851年だったと言うことです。
ベルン市は2つの丘と丘の間を流れる大河エーベルで形作られた都市です。
帝都となってからエーベル川を掘りにして城塞都市として整備され。
2つの丘を囲む堀が作られたのもその頃です。
さらに都市として人口が増えると堀を2重、3重へと広げ石壁を巡らせ都市を拡大していきました。
現在堀は運河として整備され都市の物流の中心として活用しています。
だからなのか千の橋の古き都と呼ばれています。
城壁は一番外側のみ残してベルンを囲っています。
ダンジョンは帝国歴300年ごろ出来たらしいので、この旧都より古い住人といえるでしょう。
ダンジョンがあるのは、2つの丘の片方ケールと呼ばれる地区です。
反対の丘には今は離宮の帝国宮殿が立っていて宮殿地区と呼んでいます。
先ずはこのダンジョンに入る方法を探すために傭兵ギルドへ行く必要がありますね。
傭兵ギルドはベルンの北側宮殿地区の側にあります。
ここのダンジョンは神聖ロマナム帝国が管理しているので、傭兵ギルドにある資料で詳しく載っているのがあるかどうか。
乗り合い馬車での行き先を御者に聞くと、ベルン市では乗り合い馬車の行き先を、馬車に立ててる旗の色で分けているそうです。
もっと早く行きたいなら運河を利用する方法があります。
冬は犬ぞり、夏はベンドラが運河での速さを競って駆けるそうです。
渡し舟と言うそうですが、その船は運河をとても早く行けるため馬車の半分の時間で目的地に着くそうです。
乗り合いでは無く個別に値段交渉して乗るような乗り方だそうです。
と言う事で、青の旗の乗り合い馬車を探します。
乗り合い馬車に乗って1時間程で傭兵ギルドへ着きました。
傭兵ギルドの建物はセルボネ市と同じような2階建ての大きな建物です。
作りも似せているのか、内部までそっくりです。
1階の入会受付で、セルボネのギルドから移動したことを知らせて、ダンジョンについて聞いて見ます。
答えは案の定セルボネのギルド同じで2階の司書に聞けでした。
2階へ行くとセルボネのギルドと同じくらいの大きさの図書室があって、司書室に何人かの司書が居ます。
最も近くにいた司書さんにここのダンジョンについて聞くと。
此処には一般的な報告書しか無くて、ダンジョンに付いて知るにはダンジョンのある古都衛兵本部砦で聞いて見れば良い事。
詳しいダンジョンの情報も衛兵本部砦で調べられるけど、攻略中の階層へいこうとする
なら衛兵を管理をしている、古都督庁の許可が無いといけない事。
主な攻略は衛兵と冒険者が行っている事、手続きなどは衛兵本部砦で出来るのでそこに行けば色々わかるだろうと言う事です。
他にもベルン市の交通や流行りのお店におすすめの宿など色々教えてくれました。
砦に行くには黄色の旗が目印になること、船だと銀貨1枚ぐらいするそうです。
青の旗は宮殿地区で宮殿前広場まで、黄色の旗はケール地区の中央大神殿前広場まで、各門まで行くのは旗に数字を北門の1番から北西の門の8番まで書いてあるそうです。
他にも最初の城壁を取り壊して作った道路を循環する内循環馬車と第2城壁跡の中央道の中央循環馬車など多彩な知識も2コルに渡って教えてくれたのでメモしました。
アクアラのゴダック司書さん、セルボネ市のセノーリタ司書さま。
そしてベルン市のネーサン司書さんも知識豊富でやさしい方です、髭だらけの熊さんですが。
(熊と言えば、アクアラの町の宿熊の寝床亭の御主人バグスリさんを思い出しますね by大姉)
黄色の旗の乗り合い馬車で衛兵本部砦前で降りて、衛兵本部砦へ入ります。
正門は二人の衛兵が扉の両脇に微動だにせずに立っています。
私は衛兵が何時動くのか判らないとビクビクしながら入りました。
中は薄暗く正面に窓口が一つあります。
そこは受付と書いた看板が掲げて在り、ここでダンジョンへ入る受付もしてくれるのでしょう。
誰も居ないみたい。
「おたの申します。傭兵のカスミと申す者ですが、ダンジョンへ入る許可を受けたく参上したしだい」ガーウィンさんみたいでしょ、一度言ってみたかったの。
「ど~れ~ッ」キャー、受けられちゃったよ、どうしよう人が居たんだね。
出てきた衛兵の制服を着た髭の立派な男性に急いで説明をします。
「武人言葉は知り合いの人の真似事ですので、これ以上話せません、普通の話ことばでお願いします」
「さよか、まぁお嬢ちゃん難しい言葉遣いにあこがれる年ごろだからね、ええよ」
許してもらえたようです。
急いで傭兵会員証を見せます。
「傭兵9級のカスミです、ダンジョンに入るにはここで手続きが必要だと聞いて来ました」
「そうなん、じゃあさぁ、この書類にサインしてね。」
と、1枚の書類を貰います。
書類は、ダンジョン内における出稼ぎ許可証申請書と書いてあり。
一つ、一人に許可証は1枚必要とする。
一つ、ダンジョン内での出来事の一切の責任は許可証を受けた個人が持つ事とする。
一つ、許可証の発行年月日より1年を過ぎた許可証は無効とする。
一つ、許可証の発行に金貨1枚必要。
一つ、ダンジョンに入る毎に銀貨1枚必要。
一つ、ダンジョンから得た全ての物品は指定の買い取所で売らなければならない。
一つ、ダンジョンから得た全ての物品は買取に税金2割と手数料2割が掛かる。
これは、どうしましょ、期限付きの上に金貨1枚が必要って、今はお小遣いの銀貨しか持ってないわ、しかも税金2割に手数料2割ですって。
「申し訳ありません、お金が無いので申請できません」
ここは、引き下がるしかないわね。
「もっと稼げて、級も上がったら又おいでねぇ~」と笑われてしまった。
申請書を返して、すごすごと衛兵本部砦を出る。
(いや、なにこれぼったくりよね by妹)
(これは、これを支払っても尚、儲かると見たね by大姉)
(私としては出稼ぎと書いてあったのが気になるわ by小姉)
ダンジョンに入るのは諦めましょう、でも少しでも情報を集められるなら集めたいですね。
カスミはガーウィンさんのどこが気に入っていたのでしょう。
多分最初にあった時の言葉使いが原因でしょうけど。




