第45話・2 ベルン市(2)
冒険者ギルドです。
傭兵ギルドのネーサン司書さんから聞いたダンジョンに関係する情報では。
ダンジョン攻略に主に衛兵と冒険者が攻略をおこなっているため、傭兵ギルドはほとんど情報が手に入らないし、攻略に参加している傭兵ギルド会員は居ないそうです。
でも気になるのは冒険者ギルドがある事です、名前はだいぶ前に出てきたので聞いていましたが、アクアラの町周辺には無いそうなので詳細は分からずじまいでした。
その冒険者ギルドがこのベルン市に在って、その冒険者ギルドがダンジョンの探索を行っている主力になっていると言う事なのです。
なぜ帝国に属する傭兵ギルドでは無く、国とは距離を置いているとされる商人ギルドに属する冒険者ギルドがここベルン市でダンジョン攻略の主力とまで言われているでしょうか。
それはと言うと、古都督庁へ冒険者ギルドが冒険者(冒険者ギルド会員を言う)の身元を保証して、税金を多く払う事でその権利を認められているからなのでしょう。
早い話が衛兵本部砦で出された出稼ぎ許可証申請書の内容ですね。
話を聞いたときは、冒険者ギルドが纏めて払っているのかと思っていましたが、申請書の内容を見て分かりました、個別の冒険者がはらっているようです。
しかも「ダンジョン内での出来事の一切の責任は許可証を受けた個人が持つ」と書いてあった内容も冒険者ギルドが保険会社みたいな存在なら納得です。
傭兵ギルドと冒険者ギルドの大きな違いがこの部分だとすれば納得ですね。
傭兵ギルドはギルド会員へ仕事を紹介して紹介料を得ます。
ですからギルド会員に仕事先で何かあっても傭兵ギルドは一切関係が無い。
冒険者ギルドは冒険者の身元保証人として保険金を冒険者から会費として徴収する。
もし冒険者に仕事関係で問題が発生したら保険金の限度額まで補償するのでしょう。
これは一度冒険者ギルドへ行ってみて、覗いて見たくなってきました。
(カスミちゃんは傭兵ギルドより冒険者ギルドの方が興味あります by妹)
(ほどほどにしときなよ by大姉)
冒険者ギルドはここケール地区にあります。
衛兵本部砦から歩いて1コル(15分)ほど離れた中央大神殿前広場の神殿の反対側にあります。
直ぐ側なので、歩いて行ってみます。
広場までは緩い登り坂になっていて、セルボネ市もそうでしたが右側通行になっています。
まだ昼7前(午前中)なので人通りもありますし、屋台があちこちに出ていてお客を呼び込む声がしています。
先ほどの宮殿地区と違って庶民的な雰囲気です。
両側の道路に沿った建物も武器や食料品などの商店や宿屋に荷馬車の出入りが多い何の商売をしているのか分からない大きな家などが混然としてある通りです。
そういえば右側も左側も武装した男女が多いと思っていましたがひょっとしてこの人達が冒険者なのかもしれません。
流れに乗って1コル(15分)も歩くと、広場に出ました。
ここが中央大神殿前広場なのでしょう、神殿に詣でる人々と反対側の大きな4階建ての建物へ入って行く武装した男女(冒険者?)。
私も好奇心に駆られて建物に入っていきます。
(イヤッホー、私は冒険者になる~ by妹)
(いや、ならないよ by大姉)
建物の中は幾つかの部屋に区切られていて、ドアの無い壁が間に在って衝立の様な役割をしています。
壁は前と後ろは通行できるように壁がありません、そして、壁に何やら色々札が掛けて在ります。
あれが依頼掲示板ですね!やっぱり冒険者ギルドです、お約束の設備がありました。
(そうよ、そうよ、やっとお約束に在り付けるわ by妹)
掲示板だと思う壁に札が沢山並ぶ場所へと駆け寄ると、掛けている札の内容を読もうと顔を近づけた。
『お嬢様、後ろから男が髪を掴もうと近づいています』とレタから脳内通信があった。
急いで振り向くと、大柄な男が私の頭に手を伸ばす所だった。
「なにをする!」と右に避けると、男は伸ばした右手が空ぶったので、バランスを崩したのか、前によろけると壁に手を着いて急いで体制を整えて私の方を向いた。
「てめえこそ何見てやがる、そこは銅クラスの場所だぜ!」
咎めだてる様子なので、こちらも高飛車に出る「単なる好奇心だ!」
此方の返事に言い返す言葉が無かったのか「なにを、生意気な」と飛び掛って来た。
冒険者ギルドでは、こんな争いごとが日常茶飯事なのか周りは少し下がって二人が動ける空間を作ると見物に回っている。
飛び掛る男の右手を更に外へと躱し、私は右手を男の付きだした右手に添えて下へ下げる、下げながら体の外側へと、肘と手首を決めながら重心を下げてやる。
腕と肩からの痛みに折れるのを避けるため自ら前に一回転して行く男の腕を離し、延髄に蹴りを入れる。
手加減はした、でもどうなるかは男の頑丈さ次第。
空間把握では、心臓は動いている、延髄に損傷は無い、衝撃で気絶しただけね、良かったわ。
(こんなことで殺し合わないでね by大姉)
回復魔術を行使して置く事にする、無詠唱で回復を男の延髄に行使する。
「おい、バズスィッ、大丈夫か?」
「どうなってる、なぜあいつが寝てるのか?」
「相手はどいつだ!」
と3人の同じような皮鎧と腰に短剣、背中にバスターソードを担いだ男たちが、倒れた男の周りに集まる。
(やばいよ、逃げな by大姉)
言われなくとも逃げます。
人込みに紛れる様に、その場から離れると入ってきた場所から出ていく。
広場に行き先毎に並んでいる乗り合い馬車に、どこ行きか確認もせずに急いで乗り込む。
男達に見つからなかったようで良かった、ホッと息を吐く。
今は昼6時(午前11時)ごろ、がっかり次いでにベルン市を出ちゃおうか。
帝都の帰りに寄れるだけの情報は仕入れたと思うし、もうここに居る理由ないよね。
と言う事で、衛兵本部砦前で一度降りて、改めて4番の旗を出してる乗り合い馬車に乗って南東の門へと向かった。
ここでも門を出る時に他の都市と同じでお金はかからなかった。
はんなり、門から出ます。
さて、南東の帝都目指して行きましょうか。
のりと勢いだけで冒険者ギルドへ行ったら、何処でカスミはこんなに喧嘩好きな娘になったのでしょう?




