92. 裏闘技場の砂竜②
俺はリングの端に沿って半円状に移動した。
ヘテロとリサをブレスの射線から遠ざけるためである。
亜竜は思惑通りに俺の姿を追ってきた。
これである程度心置きなく戦えるだろう。
亜竜は俺に照準を合わせたまま再び口を開きつつある。
再びサンドブレスを吐こうとしているのだろうがそうはさせない。
俺は亜竜に向かって駆け出して・・・
ん?あれ?思ったより進まないな。
というか、体が重い。
俺の周りの景色が、いつの間にかゆらゆらと揺れていた。
もしかして何か攻撃を受けているのだろうか・・・?
重い体を動かしながら、アナライズした時の情報を何とか思い出す。
確か、情報の中にグラビティフィールドとかいう魔法があった。
どうやら重力的な何かに干渉して相手の動きを重くする魔法らしい。
というかフィールドという名が付いているから、相手単体と言うよりは範囲に対して効果をもたらすものなのだろう。
リングという限られた場所において、グラビティーフィールドの効果範囲から抜けだすのは難しそうだ。
というか体が重くて無理。
これは、なんとも厄介な魔法である。
少女の体の筋力では重くなった体を支えることすら難しく、俺は思わず前のめりに倒れそうになってしまった。
何とか踏みとどまり視線を亜竜に向けると、俺の目と鼻の先で細長い砂の塊ができつつあった。
サンドスピアーというやつだろう。
どうやら次の手はサンドブレスではなかったらしい。
ふと亜竜と目が合った。
奴の目からは勝利を確信したかのようなな余裕を感じた。
・・・勝負ってのは下駄を履くまでわからない、って言うんだけど。まあ言っても分からんだろうな。
俺は闘気を発動した。
闘気の発動とともに一気に体が軽くなる。
そして闘気を込めた剣で薙いでサンドスピアーを霧散させると、勢いを殺さず間合いを詰め亜竜の眼前で疑似抜刀術の構えをとる。
「曇天割」
静かに呟き、剣を下から上に放った。
まあ、ぶっちゃけ扇一閃の横薙ぎを縦薙ぎにしただけの技なんですけどね。
亜竜は驚いた顔のまま左右に真っ二つに切り裂かれた。
そして自己再生で再生する暇もなく、それぞれのパーツは別方向へと倒れて行く。
(サンドスピアー、フィズライズ、グラビティフィールドを習得しました。進化条件を満たしました。)
アナライズが、そんなアナウンスをしてきた。
超どうでもいいけど、アナライズとアナウンスて微妙に似てて紛らわしいな。
・・・超どうでもよかった。




