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転猫  作者: 相川秋実
第一章
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9. 激闘② ~封じられし記憶。それって単に忘れてるだけだと(ry~

「うにゃ~~~~~~~~~っ!!!」


俺は半ばやけくそになって叫びながら、全力でボスネズミに向かって走っていく。

ボスネズミは俺の意図を悟ったのか、俺を迎え撃つべく四足歩行から仁王立ちへと態勢を変えた。

ただでさえでかいボスネズミが、さらにでっかく見える。


俺は襲い掛かるネズミ達を右へ左へと軽やかに躱しながら、しかし速度は緩めずにボスネズミの直前まで到達、そこから華麗にジャンプしボスネズミの首を引き裂くべく爪を閃かせた。

しかしそれはボスネズミの予想の範疇だったらしく、ボスネズミは低くかがんで首を守り俺の攻撃をやり過ごした。


ネズミのくせに、なかなかやる。

・・・が、まだ甘いな。


俺は地面に着地するや否や、体勢を立て直せていないボスネズミの背後にまわり、奴の首に背後から嚙みついた。


かたっ!


物理強化の魔法のせいかボスネズミの首は鉄のように硬かった。顎の力を少しでも弱めてしまったら、あっという間に引きはがされてしまいそうだ。

ボスネズミは俺を振りほどこうと必死になって暴れている。

位置的にボスネズミの攻撃は当たらないが、このままではジリ貧だ。

何か手はないか?そもそも攻撃が通らないのにどうすればいいのか?この状況を何とかするには・・・。

ええいっ、そろそろ出てこい山田。ちょっとなんか知恵貸してプリーズ。


ボスネズミが大きく首を振った。かみついていた牙が首から離れ、俺は空中に大きく投げ出されてしまった。

そしてそのまま、ゆっくりと落ちていく。落ちゆく先の地面には、大勢のネズミ達とボスネズミが、既に俺の到着を待ち構えている。


・・・俺はこんなところで死ぬのか?せっかく生まれ変わったばかりなのに?


地面が、その上に立つボスネズミが、近づいてくる。


あああああああああああああやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい

ひたすら焦る。落ち着け。冷静になれ俺。素数を数えろ俺。そんな暇ないぞ俺。


必死で生き残る策を考えていたら、ふと、昔似たような状況に陥った時のことを、フラッシュをたいたように一瞬だけ思い出した。


そうだ。あの時たしか俺は・・・


俺は記憶の底に封じられた曖昧で希薄な情報を頼りに、右手首を左手(肉球)で掴み抜刀術の要領で右手を放った。

「にゃっ!(ミカサギ流豪剣術、扇一閃!)」

間近に迫っていたボスネズミが、俺の右爪に切り裂かれる。


そう、まさに切り裂いた。

物理強化されているはずのボスネズミの顔が、さらに顔を含めたその頭が。俺の爪先から伸びた放射線状に綺麗に引き裂かれたのだ。


そして俺は、空中でくるりと一回転して、そのままネズミの群れに降り立つ。

ネズミ達は俺に襲い掛かることはなかった。ゆっくりと倒れゆくボスネズミを、半ば呆然しながら眺めている。


この機を逃す訳にはいかない。

「フシャアアアアアアアアア!」

俺は毛を逆立てて、呆然とするネズミ達を威嚇した。

ネズミ達は我に返ると、散り散りになって一目散に逃げて行った。


うし、勝った!!!!


周りからネズミの気配が無くなったのを確認してから、俺はその場にへたり込んだ。

「くにゃっ!!!」

俺の背後から再び寝ぼけた感じの平和な鳴き声が聞こえてきた。


あいつスゲーな・・・。


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