8. 激闘① ~ジャーキングの恐怖~
ネズミを狩って、肉を焼いて、腹いっぱいになって寝る。
そんなルーチンワークのような毎日を過ごしていたある日。
俺は、ふと嫌な気配を感じて起き上がった。
急に起き上がったせいで、俺の背中で寝ていたタロジロが地面にずり落ち「くにゃ!?」「へにゃ!?」と寝ぼけた声を出していたが、とりあえず無視。
俺は乗っかっている岩の周りをゆっくりと、注意深く見回した。
既に俺達のいる岩は、ネズミ達に遠巻きに包囲されていた。
ネズミの群れの中心で、ひときわ大きなネズミがこちらをじっと睨んでいる。
例のボスネズミである。
そして、ボスネズミを含めたネズミ達は、例外なく白く淡い光を身にまとっていた。
今まで見たことの無い光だが、同時にそれは心当たりがあるものだった。
試しに近くのネズミの一体をアナライズしてみる。
魔ネズミ族 魔ネズミ(物攻↑物防↑)
ノーマルスキル:かみつき(貫通小)
魔法:
・・・やはりか。
嫌な予感が的中した。既にネズミどもは、ボスネズミの全体強化魔法で強化されているのだ。
完全に後手引いちゃってるわこれ。
こちらから攻めなければ大丈夫だろうと高を括っていたが、まさかボスネズミの方から攻めてくるとは。
どうやら、たかがネズミと侮りすぎていたようである。
俺は溜息をつきつつも、今度はボスネズミを睨み返しアナライズを発動した。
魔ネズミ族 ジャイアントブラックラット(物攻↑物防↑)
ノーマルスキル:かみつき(貫通中)、毒かみつき
魔法:ホルフィズライズ(小)
なんか種名が長い。"大魔ネズミ"とかそんな感じの名前だと思っていたが、ジャイアントブラックラットとか。
強そうだなオイ。
多勢に無勢。しかも既に後手を引いている。
ここは一旦逃げるのが最善の選択に思えた。
しかし、俺一人ならネズミの包囲を抜けて逃げられるだろうが、俺の背後にはタロジロがいる。
こいつらの足では、俺についてくることはできないだろう。
途中ではぐれてネズミどもに食い殺されるのがオチだ。
タロジロとは短い付き合いだが、そんな寝覚めの悪い事をするつもりはなかった。
つまり、逃げる手はない。
そして戦うにしても、ちっさいネズミどもを全て相手にするのは愚策だろう。
少しずつ傷を負わされ、ジリ貧に追い込まれる図が容易に想像できる。
それになんとなくだが、あいつらは倒しても倒しても無限に沸いてくるような気がした。
ここは無理にでもボスネズミとの一騎打ちに持ち込み、可能な限り短時間で倒すしかない。
ちっさいネズミどもは俺の動きを警戒しているのか、いまだ遠巻きに俺達を包囲したまま動かないでいる。
これは逆にチャンスと言えるだろう。奴らが俺に向かって一斉に襲い掛かってくる前に、可能な限りボスネズミとの距離を縮めてやる。
俺はちっさいネズミどもを刺激しないように、じわりじわりと慎重にボスネズミに近づいて「くにゃっ!!!」行こうとしたら、背後からひときわ大きな鳴き声が。
思わず背後を振り返った。
そこには、いまだ幸せそうに眠りについているタロジロの姿があった。
どうやら今の鳴き声は、ジローが寝ぼけて、ビクッ、ってなる現象で出した声のようだ。
俺は恐る恐る、再びネズミ達の方へ向き直った。
・・・ネズミ達は、既に俺に向かって走り出していた。
ちょっとーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!




