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転猫  作者: 相川秋実
第一章
86/137

86. 生贄姫と奴隷騎士①

 裏闘技場の開催場所は、ゲオルグ屋敷の敷地内の地下にあった。


 庭に隠された入り口から地下に下ると、そこは巨大な1つの部屋となっていた。

 中央には闘技場があり、その周りを多くの屋台が取り囲んでいる。

 屋台は多くの客で賑わっていた。


 かなりの規模である。

 もはや地下室と言うよりは地下街と言った方がいいかもしれない。

 

 まだ裏闘技大会は始まっていないのだが、既に地下室は異様な熱気に満ち溢れていた。


「いやー、大盛況やなぁ。まさかここまでのモノだとはなぁ」

「師匠。すごいですね、いったい何なんですかここは?」

「んー、ワイも聞いた話なんやけど。なんでもシスイの大富豪達が出資して作ったイベント会場らしいで?裏闘技大会が開催されてる辺り、開催されるイベントはあまり表にはできないようなモノなんやろうけど・・・」

「非合法なイベントを開催するための施設ですか。いつの時代も、金を持った人間が考えることは下劣極まりないものですね」

「いや全く。他に良い金の使い道なんていっぱいあると思うんやけどねー」


 カラカラと笑いながら裏闘技場の受付に向かうガレオ。

 レスはその背から裏闘技場へと視線を移した。


 さて、どうやってリサとやらを見つけ出しましょうかね。


 裏闘技場はレスが想定していたものよりも大きい。

 見ず知らずの女の子を探して回るのは、いささか時間がかかりそうだった。

 となると余興が始まってから潰したほうが効率的だろうか?


 レスが一人思案にくれていると、ガレオが受付からウキウキしながら戻って来た。

 なんでも特別席というものが取れたらしい。

 レス達は案内役の男について行き、特別席へと向かっていった。


 中央のリングから放射状に広がる階段状の席の途中に屋根付きの部屋が設えてあった。

 そしてその周りを武装した男たちが取り巻いている。

 どうやらここが特別席とやららしい。

 案内役に促されてレス達が部屋の中に入ると、ピンク色に金の刺繍が入った男が中央の椅子に座っていた。


 なるほど、この男がゲオルグですが。確かに悪趣味ですね。


 リョウにその見た目を聞いていたので、レスにはすぐにその男がゲオルグだと分かった。

 3人が部屋に入るや否や、部屋の中ににいた男たちが一斉に得物を抜いた。

 突如剣や槍を突き付けられたレミは即座に太刀の柄に手を這わせたが、ガレオがそれを手で制す。


「おいおい、随分な歓迎やな。いったいワイらが何をしたってゆうんや?事と次第によってはタダじゃあ置かないで?」


 ガレオが睨むが、しかしゲオルグは動じずに余裕を持った口調で返した。


「ほっほっほ。これはこれはずいぶんとまぁ元気のいいことです。盗人猛々しいとはよく言ったものですねぇ。あなた方が私の奴隷達を盗みに来たという事は既に分かっているのですよ?」

「はあ?いったい何を」

「ほっほっほ。とぼけても無駄ですよ。貴方達のお仲間から、ちゃあんと聞いているのですからね。リシ、こちらへ来なさい」


 ゲオルグが手を叩くと、その背後から男が出てきた。

 男はレスの知っている人物だった。クラウス達の冒険者パーティーのメンバーの一人である。

 しかし彼はレスを前にしても何も反応しなかった。

 その目は焦点が合っておらず、口からはよだれを垂らしている。

 およそ正気の状態ではなかった。


「あ、うあ・・・」

「うわ、気色悪っ!そいつ変な薬でもやってんのかいな?」

「薬などという下賤なものではありません。彼は我が偉大なる魔術によって、幸運にも真の主が誰であるかを理解することができたのですよ」


 ゲオルグが不敵に笑った。

 得体の知れない力を前に、ガレオとレミが息をのむ。

 しかしそこで、男の様子を注意深く観察していたレスが口を開いた。


「ふむ。どうやら強制的に暴露の呪紋をかけたようですね。生きた人間に直接呪紋を使うとは妙な使い方をするものです。簡単ではなかったと思いますが・・・」

「・・・ほう。これはこれは。そちらずいぶん博識でらっしゃいますねぇ。どうでしょう、我が配下に加わりませんか?今ならば好待遇でお迎えいたしますが?」

「あいにく私は、今の主に全身全霊で尽くす所存でして」


 レスが肩をすくめて見せた。

 その視線が一瞬、観客席の間をスルスルと通り抜けて行く小さな影を捕えていた。


「おや、それは残念です。せいぜい後で後悔しないことですね。さて、そろそろ始めますか。あなた方はこの特等席で、助けようとした相手が無残に引き裂かれる様をとくとご覧になると良い」


 ゲオルグは、ほっほっほと気色悪い声で笑いながら部屋を出ていった。


言い回しとか用語の用途で悩んで先に進めないことが多い・・・

ニコンゴムツカシイネ(´・ω・`)


・違和感はあるっちゃあるけど、しっくりくる用語

 後で後悔する:後悔って言葉自体が既に悔やむって意味で使われてる気がする。でも漢字で書くと違和感を感じる・・・。

 車に乗車する:言われなきゃ違和感にすら気付かないかな・・・

 世間ずれ:元々の意味は普段使っている意味と違うらしい。辞書で見かける「転じて~」ってのはこんな感じなのだろうか。

 喧々諤々:もはや転じる前を知る人の方が少ないかもしれない。元々は喧々囂々と侃々諤々という別々の言葉だったらしい。PPAPの先駆けですね。


・ちょっとおかしい感じの用語

 頭痛が痛い:主にネタとして言われることが多いですね。

 危険が危ない:大事なので二度言ったんですね。分かります。

 的を得る:昔は普通に使われてて、最近まではこれを使うと正しい日本語じゃないと早押しクイズのごとくつっこまれてたけど、なんか最近また有りになったという噂を聞きました。得るって当たるって意味もある(と思う)から、個人的には的を射るよりこっちの方がしっくりくるんですよね。

 的を射る:個人的に違和感があるんですよねー。射るという言葉って、射るという行為と、的を射た状態のどちらとも取れるから、なんか微妙にしっくりこないと言うか。的を射る、とだけ言うと、これから射るんだろうなぁ、となんとなく思っちゃうんですよね・・・


・明らかにおかしい

 目から鱗が落ちる:馬鹿な。由来は知ってるけど、やはり馬鹿な、と毎度思ってしまって毎回固まる。それ単にコンタクトレンズじゃね?


まあ用語の使い方とか真面目に考えるのも重要なんでしょうけど、結局は読んでてなんとなくニュアンスが伝わることの方が重要ですよね(思考停止)

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