79. 昼廻り猫
今の時間は、レスは逃走経路を探しているはずである。
レスとの会話は夕方に宿に戻ってからするとして、俺はとりあえず闘技大会の場所を探すことにした。
祭関係らしい看板や旗がそこかしこにあり、何やら文字が色々と書かれている。
もしかしたら闘技場の場所とかも書いてあるのかもしれないが、いかんせん俺は文字が読めない。それらから情報を拾って闘技場を見つけるのは厳しいだろう。
こんなことなら読み書きを優先して勉強すべきだった。
後悔先に立たず、とはよく言ったものである。
・・・仕方ない。人化してその辺の人に聞くしかないか。
俺はさっそく物陰に隠れて人化をすると、距離的に一番近かった路上の商人に声をかけた。
「すみません。ちょっと聞きたいことがあるだけどいいですか?」
「おや、なんだいお嬢ちゃん。かわいいねぇ。なんでも聞いてくれ」
おっさん商人は顔を緩ませて対応している。
さりげなく発動しておいたスキル・こびる(魅力大)とすり寄る(魅力大)が効いているようだ。
「この国の祭り初めてなんですが、闘技大会ってどこでやるんですかね?」
「なんだお嬢ちゃん、闘技大会が見たいのかい?それだったら、あそこに大きな建物が見えるだろう?あの脇で開催されるよ。もっとも、闘技大会が開催は明日と明後日の2日間なんだけどね」
「なるほど。あ、あと闘技大会って、最初に余興があるって聞いたんですけど。さっき誰かが話してるのをたまたま耳にしたんだけど、今年は魔獣と戦う相手が奴隷の少女って本当なんですかね・・・?」
「え?いや、そんなはずはないよ。余興で魔獣と戦うのは、毎年腕が立つやつを冒険者ギルドが推薦しているんだよ。今年はもう決まってて、確か昨年のチャンピオンのアレクサンダーってやつだったと思うよ?」
商人が首を傾げながら答えた。
俺も同じく首を傾げる。
「それって本当に?だとしたら安心なんだけど」
「おや、お嬢ちゃんは奴隷の心配をしていたのかい。やさしい子だねぇ。たぶん間違いはないと思うけど、そんなに気になるんだったら直接冒険者ギルドに行ってみるといいさ。すぐそこにあるからね」
商人が指さした先には、酒場っぽい感じの建物があった。
どうやらあそこが冒険者ギルドの建物らしい。
「ありがとう。せっかくだからちょっと行ってみるよ」
「どういたしまして。お役に立ててよかったよ」
商人に別れを告げると、俺は冒険者ギルドの建屋に入って受付の女性に声をかけた。
念のためスキルの発動も怠らない。
受付のお姉さんに聞いてみたが、やはり商人のおっちゃんの言ってたことは間違いないようだ。
俺はお礼を言って冒険者ギルトを出ると、物陰で人化を解いた。
・・・いったい、これはどういうことだろうか?
一人悩んでいると、ふと俺に近づく気配に気付いた。




