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転猫  作者: 相川秋実
第一章
71/137

71. 砂漠越え

GWあけから仕事が溜まりすぎてヤヴァイ件

どっかその辺の女神様に転生させてほしいdeath(´・ω・`)

 ルクスマダでキャラバンと交渉して、シスイ国まで同行できることになった。


 交渉においてはクラウス達が大いに役立った。

 どうやらクラウス達は割と名の知れた冒険者らしく、キャラバン側が歓迎してくれたのだ。


 同行中はキャラバンを護衛する代わりに食料とテントを無償で提供してくれるらしい。

 しかしクラウスが言うには今回の護衛料金は通常に比べて少ないそうなので、この待遇でも特別得したという訳でもないそうだ。

 純粋なキャラバンの護衛であれば彼等も通常の護衛料金を払ったそうなのだが、今回クラウス達の立場は貴族レス(笑)とその子供達の護衛という事になっている。

 つまり護衛料金の2重取りになるわけだ。そう考えると少しでも護衛料金を払うだけでも良心的だと思う。


 ルクスマダからシスイ国への道は砂漠の中にあった。

 シスイ国は砂漠のオアシスにできた国らしい。


 砂漠といっても、サハラ砂漠のような見渡す限りの砂の地というわけではない。

 地面は砂っぽくはあるものの、所々に多少ではあるが草やサボテンが点在している。

 印象としては極端に草が少ない草原、という感じだろうか?


 俺達はそんな荒野の真ん中で、人が踏み固めただけの道なき道を歩いている。

 ルクスマダを出てから2日目の昼。そろそろ昼食かなと思った矢先で、ふいにキャラバンの列が止まった。

 何事か?と、俺は乗っかっていた馬車の幌の端へと移動する。


 馬車の前で、リーダーと数人の使用人が騒いでるようだった。


「まずいな。あれはシスイ砂漠の主じゃないか。なんでよりによってこんな時に出てくるんだ」


 望遠鏡を覗いていたキャラバンのリーダーが大きなため息をついた。

 それを見た使用人の一人が心配そうにリーダーに話しかける。


「砂漠の主・・・ですか。いかがいたしましょうか?」

「いかがも何も、これは迂回するしかないだろう」

「しかし、道から外れるとモンスターの数も増えますし。何より建国祭に間に合わない可能性が出てきますが・・・」

「砂漠の主はCランクの化け物だ。相手にして全てを失うよりは、多少遅れようとも回り道をした方がましだよ。護衛の冒険者の方々には悪いが、アレは軍隊でも呼んでこない限りどうにかなる相手ではない」

「確かにそうですが・・・」

 使用人も主人と同じく渋い顔になる。


 彼らの視線の先には、灰色の蠍のようなモノがいた。

 距離は少なくとも500メートルは離れているように見えたが、土煙を上げて砂漠を徘徊している姿がこの距離からでもはっきりと見える。


 どうやらかなりの巨体らしい。


 距離が届くか微妙だが、とりあえずアナライズをしてみた。

 


名前:シスイ砂漠の主

属性:土

種族:魔蠍族 アッシュスコーピオン

称号:人喰い

ノーマルスキル:毒霧、毒強化(中)、×凶刃、刺突(貫通大)

カスタムスキル:ユニーク(サンドカッター、凶刃)、瘴気

スペシャルスキル:

魔法:サンドアロー、×サンドカッター、グランドスパイク、ポイズンフィールド



 訓練して腕?が上がったおかげか、なんとか効果を発揮できたようだ。


 ・・・なるほど。砂漠の主とやらは、確かにかなりの強敵のようだ。

 人喰いとか、なんか物騒な称号も持っているし。


「にゃ~ん?(ランクCは冒険者じゃ倒せないのか?)」

 俺は馬車の中へと下りると、中でくつろいでいたレスに問いかけてみた。

「そうですね。ランクがCを超えると、レベルの低い冒険者ではちょっと勝てないでしょうね。ランクC以上の冒険者ならあるいは勝てるのかもしれませんが・・・」

 レスがちらりとクラウスの方を見る。

「Cランクの冒険者では無理だな。Cランクのモンスターだと、Bランク以上の冒険者パーティーが複数集まらないと安全には狩れねぇ」

「にゃ~?(ちなみにクラウス達のランクは?)」

「・・・Bだ」

「おや。では倒せますね。やってみますか?」

「・・・うちのパーティーは6人だ。あのレベルの魔物を倒すには数が足りねぇよ」

「にゃ~・・・(なんだ残念・・・てかレスなら余裕なんじゃね?)」

 俺はふと隣の優男が自称魔竜王であることを思い出して話を振ってみた。

「確かに余裕ですが・・・。護衛されている貴族が一人であれを倒しちゃまずいでしょうね」

「にゃ・・・(まぁ、そっか。あまり目立つわけにもいかないしな・・・)」


 シスイ国に着いてからの事を考えると、今この場で目立ってしまうのは得策ではない。

 奴隷の存在を容認している国において、俺たちのやろうとしていることは違法行為以外のなにものでもないのだ。


 俺がちょっと行って倒してくれば良い気もするが、視認できる距離でいきなり巨大蠍が真っ二つに割れたら大騒ぎになるだろうし、運悪く人化するところでも見られたら俺達が魔物と愉快な仲間達だとばれてしまう。


 急ぎの旅ではあったが、急がば回れともいう。ここはキャラバンリーダーの判断に従って、迂回をする方がよさそうだ。

 到着が遅れるといっても精々半日から一日程度の遅れだそうなので、まあそれくらいなら許容範囲と言えるだろう。


 キャラバンが道を逸れてからしばらくして日が暮れてきた。今夜は荒野の中で眠ることになりそうだ。


・・・


 荒野での野宿。


 テントの中で寝ていた俺は、気配を感じて目を覚ました。

 すぐに身を起こす。俺を抱きかかえていたジローの横では、レスが既に寝床から起きていた。


「にゃ(囲まれているな)」

「ええ。そこそこ数がいそうですね」


 レスは俺に先行してテントから出た。

 俺もそれに続いてテントから出て、ゆっくりと周りを見渡した。


 宿営地では、馬車を中心にテントが幾つか張られており、それらをまるっと取り囲むかたちで篝火が焚かれていた。

 篝火の明かりの外は真っ暗だったが、闇の中にあってかすかに蠢くものがいる。

 俺はその気配に向かってアナライズをしてみた。


属性:土

種族:魔蠍族 亜灰蠍

称号:

ノーマルスキル:毒強化(小)

カスタムスキル:

スペシャルスキル:

魔法:サンドアロー


 どうやら俺達を取り囲んでいるのは、昼間に出た砂漠の主とやらの小型版のようだった。

 気配から察するに、ざっと2・30匹。それらが等間隔にキャラバンの周りをぐるりと囲んでいる。


 互いに連携を取って狩りをするとは、なかなか賢い相手のようだ。


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