69. くるみ割りジロー
「おい、ガキ。てめぇ親はどこにいやがる?慰謝料払わせてやる」
「親なんているかっ!大体そっちがぶつかってきたんだろう!ふざけるんじゃないっ!」
ヘテロが負けじと声を張り上げる。
「んだとこのガキっ!痛い目にあいてぇか!」
ヘテロとスキンヘッドがにらみ合う。
一触即発の状態だ。
スキンヘッドの仲間と思われる数人の男が、ニヤニヤと下卑た表情をしながらもヘテロ達をゆっくりと取り囲みつつある。
タローはその気配を敏感に感じ取り、背中の剣の柄に手を這わしつつスキンヘッドを油断なくじっと睨んでいる。
ジローは無言でスキンヘッドにすたすたと近づくと、その股間を思いっきり蹴り上げた。
・・・って、ちょっ。
「ぽごっ!!」
スキンヘッドは謎の悲鳴をあげてその場にうずくまった。
ジローは見た目はか弱き美少女だが、その中身は竜の血を引く魔物だ。
今回の一撃がどの程度の重さなのかは分からないが、ジローは以前機嫌が悪かった時に路傍の岩を蹴り上げヒビを入れていた。
・・・おそらく、あの玉は無事では済むまい。
まさに玉に瑕と言うやつである・・・全然違うか。
もしかしたら転性者の仲間が増えたかもしれない。
スキンヘッドの仲間達が色めき立った。
まさか絡んだ子供から反撃されるとは思っていなかったのだろう。
「このガキッ!」
スキンヘッドの仲間の一人が、ジローに掴みかかろうとする。
しかしその手がジローに届く前に、男は吹き飛んでいった。
「子供相手に、大人が寄ってたかって何をしている! 恥を知れっ!」
颯爽と現れたのは、年の頃十代後半くらいの女の子だった。
長い黒髪を後ろで結んだ、鋭い目をした美人である。
腰に太刀を佩いており、立ち振る舞いにも隙が少ない。
どうやらそれなりに腕の立つ剣士のようだ山田「美少女剣士はテンプレだね」うるさい、いきなり出てきて謎の発言をするな山田。




