60. 人との戦闘
「誰?」
ジローのその声が聞こえた時には、俺はドアを開けてログハウスの外に出ていた。
既に人化は済ましてある。
背後から、俺に遅れてタローやレス達が飛び出してくるのが気配で分かった。
拠点への侵入者は2名。
おそらくヘテロ達を追ってきた奴隷商人とやらなのだろう。
40代前後の白髪交じりの中肉中背の男と、20代後半くらいの筋骨隆々な大男である。
若い方はガタイがいいだけだが、もう一方は立ち振る舞いに隙が少ない。
そこそこやれそうな感じだった。
しかしその腕が立ちそうな方の男は、俺を見るなりやおら大声で叫んだ。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」
そして叫ぶとともに俺との間合いを詰め、手に持った長剣で俺を袈裟懸けに斬り倒そうとする。
・・・えー、年端もいかない少女に問答無用でいきなり斬りかかるとか。ヒデーなこのおっさん。
腕の立つおっさんは、えらく悲壮で必死な感じの表情で斬りかかってきている。
さっきの一瞬で彼我の差を意識して、先手を取って初撃に懸けるしかないと判断した上での行動であれば、あるいはそれは悪くはない判断なのかもしれない。
たぶん他の手よりは多少は勝率が高いだろう。
まぁいずれにしろ、結果は変わらんのですがね。
俺はすれ違いざまに抜刀すると、腕の立つおっさんを一刀の下に斬り伏せた。
パタリとその場に崩れ落ちる腕の立つ?おっさん。
もう一人の腕が"立たな"そうな方の男には、既にジローが斬りかかっている。
そしてやや遅れてタローも参戦した。
腕が立たない男の動きを見る限りは、こいつはタロジロに任せてしまってもよさそうだった。
危なくなったら手を貸すつもりで、俺はタロジロの戦いをしばらくまったりと眺めていた。
手数で圧倒するジローに対し、腕の立たない男は防戦一方だ。
その横からタローも男の隙を突いて攻撃しており、上手い具合に腕の立たない男に浅からぬ傷を残している。
2人とも、なかなか剣の腕を上げたものだ。
俺も稽古をつけた甲斐があったというものである。
ジローの短剣が男の手首にヒットして、男に大きな隙ができた。
タローがその隙を逃さず男のわき腹を突く。
たまらず男はその場に崩れ落ちた。
ま、こんなところかな。
俺は男にトドメを刺そうとするジローを止めるべく、ゆっくりと2人に近寄るのだった。




