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転猫  作者: 相川秋実
第一章
39/137

39. 強敵


黒いリザードマンは、おそらくこの小隊のリーダーなのだろう。

立ち振る舞いにも隙が少ない。どうやら多少なりとも武術の心得がありそうだ。


「くにゃ~(殺ったる)」

「へにゃ~(僕等にまかせてください)」

タロジロは殺る気だ。

しかしこの黒リザの相手は、タロジロには荷が重いだろう。


「にゃ~(ちょっと待て。ここは俺が出る)」

俺は前足でタロジロを制し、タロジロ達の一歩前に出た。

そして俺が何か言う前に、黒リザの方から話しかけてきた。

「お前らか。最近この辺りで暴れまわっているという魔物は?」

こいつ、リザードマンのくせに喋りおった。

「んにゃっ!(暴れまわってなどいない。俺達を襲ってくるから受けて立っているだけだ)」

俺の発言に両脇のリザードマンが色めき立った。

今度は黒リザが両脇のリザードマン達を手で制した。

「ほう、言葉が通じるか。ただ暴れるだけの意思無き魔物かと思ったが、どうやら違うようだな」

「んにゃ~(それはこちらのセリフだ。それで、俺たちに何の用だ?やるって言うなら受けて立つが?)」

「ふっ、そう喧嘩腰になるな。我らが主から会話が成り立つのであれば貴様らを連れくるように命じられているのだ」

「にゃ~?(主というのは、魔竜王のことか?)」

「ほう、知っているのか。それならば話は早い。」

「にゃ?(知ってるも何も、数日前に会ったと思うが。あのバカでかい竜だよな・・・?)」

黒リザは眉間にしわを寄せ怪訝な顔をした。

「いや、会っているはずはないが・・・。ふむ。そういえばお前たちは監獄島から来たのだったな。ならばお前らが会ったのはおそらく地龍神だろう」

黒リザが地龍神の特徴を上げていった。

その特徴が、俺達がこの前見た巨大な竜と一致する。

どうやらあれは魔竜王じゃなかったようだ。

「それで、返答や如何に?」

「にゃ(断ると言ったら?)」

「その時は、力づくで連れていくことになるな」

「・・・」

黒リザはこちらを油断なく見つめている。

隙をついてタロジロを連れて逃げるというのは難しそうだ。


とりあえず黒リザを睨むふりをしながらアナライズを発動する。


名前:???

属性:闇

種族:魔竜族 ブラックルナティックドラゴニュート

称号:魔竜王の眷属、スピリッツ流剣豪

ノーマルスキル:人化の術、竜化の術、狂化、ダークスパルトイ、灼熱黒炎ブレス、地衝撃、豪空波、×オーバークロック、収束

カスタムスキル:ユニーク、超回復、瘴気、竜気、奥義・陰陽豪烈波、奥義・螺旋肯綮(ラセンコウケイ)抜き

スペシャルスキル:

魔法:ダークアロー、ダークスピアー、エビルライトニング、カースフィールド、×ダークショット、エンチャント・闇、×エンチャント・マナドレイン


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


何こいつ。

リザードマンの色違いのくせにめちゃくちゃ強いじゃん。


ん?てか剣豪とかいう称号持ってる・・・おお、この世界にも剣術の流派があるのか。

スピリッツ流と言う耳慣れない流派の名に、俺は心が躍るのが分かった。


・・・ちょっと戦ってみようかな?


いやしかし、ここでこいつと戦っちゃうと本格的に魔竜王を敵に回すことになるのか。

タロジロもいるし、それは得策ではないな。

かなり残念だが、ここは断腸の思いで穏便にやり取りすることにした。


「にゃ~?(身の安全は保障してくれるんだろうね?)」

「お前たちの態度次第だ。我らが主は寛大である」


・・・寛大ね。


魔竜王がアナライズを持っていれば、俺の大魔王の末裔という称号に気付くだろう。

魔竜王はかつての大魔王の配下らしいから、称号に気付けば俺達を邪険には扱わない、はずだ。

とりあえず魔竜王と話してみるか。会話が上手くまとまらなければ、その時には戦えばいいし。

これ以上ここで話していても無駄かな。


「にゃっ!(わかった、ついていこう)」

戦闘にならなかったのでジローは不服そうだったが、俺は魔竜王とやらの誘いに乗ってみることにした。



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