37. 岩窟の山椒魚④
つまりカスタムスキルのユニークスキル?では、他のスキルや魔法を組み合わせることができるのだろう。
先ほどサンショウウオがサンダーアローを2つ同時に放ったのは、サンダーアローと2回攻撃スキルの双撃がユニークスキルに設定されていたから、という事であれば説明がつく。
さて、すっきりしたところで、そろそろ仕留めるか。
雷哮とか厄介そうなスキルをまだ隠し持っているようだが、要は使う前に倒してしまえば良いのだ。
俺はカスタムスキル"闘気"を発動した。
「ぐおっ!」
サンショウウオが俺の変化に警戒をする。
まあ、警戒したって無駄なんだけどね。
俺は身構えるサンショウウオに向かって、再び扇一閃を放った。
岩窟に風を引き裂く轟音が響いた。
「ぐ・・・お・・・?」
体を横に両断されたサンショウウオが、ゆっくりと崩れ落ちていく。
うむ。しかし、闘気とミカサギ流豪剣術は相性がいいな。
倒れゆくサンショウウオを見ながら、俺はそんなことを考えていた。
俺の使うミカサギ流豪剣術には、力を溜めて威力を上げる技が多い。
流派自体が、人より強く硬い敵を倒すことを目的として成ったものなので、他の流派よりも技の威力に重きを置いているのだ。
そのため、単純に攻撃力を上げられる闘気とはかなり相性が良いと言えると思う。
ちなみに扇一閃は、ミカサギ流豪剣術に伝わる抜刀術と、ミカサギ流豪"拳"術の溜め技を組み合わせて作った準居合切りだ。
子供の頃にたまたま居合わせた日本舞踊のような催しで、役者が扇を横に薙ぐような動作をしていたのをヒントにして作ったのだが、実は奥義を一閃する事と名前がかかってたりする。
若気の至りというやつである。まあぶっちゃけ奥義でもないんだけどね。
このダブルミーニングに気付いたのは、転生前から今に至るまでで山田ただ一人だけだった。
俺がとりとめのない事に思慮を巡らせていると、その傍らでジローは既にサンショウウオの肉を炎で調理していた。
ジローは相変わらずちゃっかりしているな。
サンショウウオの肉はかなりの量がある。
ここにいればしばらくは食べ物に困らなそうだが、しかし歩みを止めるわけにもいかない。
俺はタロジロが焼いた肉にむしゃぶりつく傍らで、肉を持ち運びしやすいように小分けにした。
そしてリュックからアミに貰った香草と塩を出すと、小分けした肉に塗っていく。
これならたぶん数日は保存が効くだろう。
作業を終えて肉をリュックにしまうと、俺もタロジロに焼いてもらった肉にかぶりついた。
翌日。
タロジロの体にちょっとした変化が起きていた。
タローの羽が若干大きくなって、ジローの角が若干伸びている。
体の大きさは変わっていないようだが、少しばかり強くなったようだ。




