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転猫  作者: 相川秋実
第一章
33/137

33. 魔竜王?が現れた


ジローが音が聞こえるといった方向にある脇道を歩くことしばし。

俺達は巨大な空間に出くわした。


いや、空間と言うよりはトンネルと言った方が近いかもしれない。

転生前に使われていた一般的な単位で言うと、トンネルの幅は東京ドーム2個分くらいある。

高さも幅と同じくらいあるようだ。

そしてトンネルの長さに至っては全く先を見通すことはできず、どこまで続いているのかさっぱり分からない。

どうやら、とてつもなく巨大なトンネルのようである。


地響きの発生源はまだ遠くにあるようだったので、俺達はしばらくその場で待つことにした。

そして体感で一時間ほど経った頃、横道からこっそり顔を出して音の方を見てみた。


そこには、巨大なトンネルの上下左右にすっぽりと収まる大きさの爬虫類の顔があった。

たぶん竜なのだろう。

まだかなり距離があるはずなのに、その顔がはっきりと見えた。

ここまで巨大だと遠近感が狂ってくるな。

顔に対してアナライズをしてみたが、例のごとく???だった。


俺は軽く恐怖を覚えて、慌てて顔をひっこめた。

もうちょっと奥に下がったほうがよさそうだ。

タロジロと一緒に、巨大なトンネルからもうちょっと距離をとった。

さらにそれから小一時間。

ようやく俺たちがいる穴の前を竜が横切った。


ここまでくると、足音や地響きといったような生易しいものではなくなっていた。

竜が足をおろす度に、爆撃でも受けてるかのような爆音と衝撃が、辺り一面に響き渡る。

そして俺達の小さな体は、その度に自分の意思に反してぴょんぴょんと飛び跳ねることになった。


まるで昔のアニメのようである。これよく洞窟壊れないな・・・。


洞窟の強度の心配をしながらも、目の前を通り過ぎる前足の一部らしきものに視線をやる。

居場所がばれるという心配はないとは思うが、もし場所がばれて戦闘にでもなったら事である。

さすがの俺でも、こんなのには勝てる気がしない。


俺は息をひそめ、ぽんぽん跳ねようとする体を爪で岩にへばりつくことで何とか押さえ、極力音をたてないようにと神経を配る。

何事も起きませんようにと、普段全く信じてない神に祈る。

「くにゃっしゅ!」

・・・まあ。普段信じてないんだから、願いなんて叶わないよね。


ピタリ、という表現がぴったりと当てはまるように、それまで洞窟内に鳴り響いでた爆音がやんだ。

しかし音がやんだのは一時だけで、すぐに先ほどよりも早いサイクルで、ずずずずず、どかん!という音が鳴り響いた。


そして気付けば、巨大な瞳の一部らしきものが、穴の外から俺たちを見つめていた。


・・・耳良すぎだろ。なんでクシャミだけでこの場所が特定できるんだよ。


「にゃ~~~~!(にげろっ!)」


一瞬呆然としてしまったものの、俺はすぐに我に返り弾けるように走り出した。

タロジロも俺に続く・・・というか後をついてくるのはタローだけで、ジローは既に俺達のはるか先に逃げ去っている。


はたして背後から今まで以上に攻撃的な爆音が聞こえた頃には、俺たちは辛うじてその爆風から逃れられる位置まで逃げることができた。

ただし、爆撃によってできた瓦礫の山により、巨大なトンネルへと至る道は完全に塞がれることになった。


・・・まぁ道が塞がれていなくても、もう行かないんだけどね。


ふと傍らのタロジロを見る。

タローは、よほど怖かったのだろう。がちがちと歯を鳴らして震えていた。

ジローも逃げるのに疲れたのか、俺の背中によじ登りリュックと背中の間の狭い空間に入り込むと、すぐに寝付いてしまった。


なんだが散々だったな。

俺も疲れたし、リザードマンの気配を辿るのは明日からにするか。

俺はタローの頭を撫でながら小さくため息をつく。


はたしてさっきのあれが、件の魔竜王だったのだろうか?


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