32. 日差しを浴びて 君と一緒に 洞窟に入る なぜだろう だんだん視界が暗くなっていくんだ #あたりまえサブタイトル
「にゃ~(じゃあな。お前ら仲良くしろよ?くれぐれも喧嘩とかするなよ?)」
洞窟"魔王の倉庫"の入り口を背に、俺は見送りに集まってくれた妖孤達とコボルト達に言った。
見送りの集まりからフォルテが一歩前へ出てきた。
「我も同行いたす」
「いや、それはやめておいた方が良いでしょう。四天魔王は、リョウ様が通るのは許されても、我らが通ることは決して許しますまい。私とてできれば同行したいのですが・・・」
俺達について来ようとしたフォルテを、アミが諫めた。
確かに。
この島の住人は四天魔王が目の敵にしている、大魔王を裏切った種族の末裔である。
気持ちはとてもありがたいが、やはり一緒に行くよりは俺達だけで行ったほうが厄介ごとは少なくて済むだろう。
なんたって、俺は大魔王の末裔という称号も持っているのだ。
相手がアナライズ持ちだったら、俺のことを無下に扱うことはしないだろう・・・たぶん。
それにアミは万全の状態ではない。
彼女は猫少女の謎の攻撃を受けて、しばらく魔法やスキルの類が使えなかった。
今では概ね回復してはいるものの、まだ完全回復には時間がかかりそうだ。
俺達の旅に同行するのは厳しいだろう。
ちなみにアミが言うには、この現象は猫少女のスキルである可能性よりは、猫少女が使っていた短剣が高位の魔法武器である可能性の方が高いそうだ。
今度また猫少女と出会う事があったら短剣には気を付けるように、と助言をもらったので一応お礼を言っておいた。
「にゃ?(入り口から進んで最初の分かれ道を左に行けば、魔竜王の派閥の方に行けるんだよな?)」
事前にアミに何度か確認していたが、最後に念のため改めて聞き直す。
こういうのは何度も確認しておくに越したことはないのだ。
「はい。伝承では、島の入り口から入って左が魔竜王、右が鉄岩王のテリトリーだそうです」
「にゃ(そうか、ありがとう。それじゃあ、行ってくるわ)」
「へにゃ~(さようなら皆さん)」
「くにゃ~(またねー)」
簡単に挨拶を済ませると、俺達は洞窟の入り口へと入っていった。
俺達の背に向かって、妖孤達やコボルト達が口々に見送りの言葉をかけてくれた。
一期一会と言う言葉もあるけど、またいずれ会えるといいな。
俺達は洞窟の入り口から坂道を下りると、最初の突き当りを左に曲がった。
タロジロが竜族(亜竜)なので、同族のよしみが通じるかもしれないという可能性を考慮し、魔竜王のテリトリーの方に行くことにしたのだ。
まあつまり、元来た道を戻ることになる。
多少は来た時の道を覚えているようで特に迷うことなくかつての出発点まで戻ってこれた。
なんか懐かしいな。
以前この辺りで戦ったリザードマンは、棒に石を括り付けた石斧を装備していた。
おそらく魔竜王の勢力に属する下級兵みたいなものなのだろう。
彼らの気配を辿っていけば、大陸に通じる道に辿り着けるかもしれない。
もっとも、大陸に着く前に魔竜王に辿り着いてしまうかもしれないが、まあその時はその時だ。
大魔王の末裔だからとか何とか言って口車に乗せて、なんとか逃げるしかないだろう。
俺が思案にくれながら歩いていると、横から緊張したような感じでジローが話しかけてきた。
「くにゃ~(なんかでかい足音が聞こえる)」
「にゃ~(む。本当だ。しかしこれは足音と言うか、地響きじゃないか?)」
「くにゃにゃ~(そうかもしれない。面白そうだから見に行こう)」
「へにゃ~!!!(ちょっ!危ないからやめとこう!!!)」
タローが諫めるも、ジローは止まる様子がない。
「くにゃ~(はやく見に行こう)」
目をキラキラさせながらジローが俺に訴えかけてくる。
ジローは好奇心旺盛だな。
「にゃ~(まあ、とりあえず様子を見るだけでも見に行ってみるか)」
「Σ(Σ)」
タローが目を丸くさせて俺に何かを訴えかけてくる。
どんまい!




