31. ねんがんの こうげきまほうを てにいれたぞ やったー!
目が覚めるとアンジュの家のベッドの上だった。
どうやらアミが、意識を失った俺をここまで運んで来てくれたらしい。
てか前回も意識を失ったんだから、最初からベッドの上で進化すればよかった。
学ばないな俺は。次回は気を付けよう。
さて、とりあえず体を見回してみた。
ほとんど前と同じ見た目の黒猫だが、しっぽが2本になっていた。
ちゃんと猫又に進化できたようだ。
さっそく自身をアナライズしてみる。
名前:リョウ
属性:光
種族:魔猫族 猫又
称号:剣聖、拳達、退魔士、死ぬほど猫好き、大魔王の末裔
ノーマルスキル:じゃれる(魅力大)、かみつき(貫通大)、あまえる(魅力中)、こびる(魅力中)、すり寄る(魅力中)、ひっかく(斬撃中)、アナライズ(中)、念話、人化の術、変化の術
カスタムスキル:闘気
スペシャルスキル:百禍両断、しんかのひほう
魔法:ヒール、ホルヒール、キュア、ホルキュア、ホルフィズライズ、ホルマギライズ、エンチャント・闇、エンチャント・魅了、ダークアロー
あれ?
猫又は闇属性だったはずだが、属性が進化前と変わらず光属性のままだ。
進化先の種の属性は、生来持っている属性よりも弱いってことだろうか?
良く分からんな・・・。
まあいい。今重要なのは人化の継続時間だ。
俺は試しに人化の術を使ってみた。
進化前は3分程しか人化できなかったが、今では10~15分ほど持つようになった。
倍以上の伸びである。
喜ぶべきことではあるが、しかしやはり短く感じる。
いずれは人化した状態で人の町へと行きたいので、少なくとも丸一日は人化を継続できるようにしたいところだ。
まだまだ先は長い。
ついでに俺の隣で寝っ転がっているタロジロもアナライズしてみた。
名前:タロー
属性:水
種族:亜竜族 亜飛竜
称号:
ノーマルスキル:炎のブレス、かみつき(貫通)、しっぽ再生(中) 、鱗再生(小)
カスタムスキル:ユニーク
スペシャルスキル:
魔法:氷結弾
名前:ジロー
属性:木
種族:亜竜族 亜地竜
称号:
ノーマルスキル:炎のブレス、かみつき(貫通中)、しっぽ再生(中)、鱗再生(小)
カスタムスキル:ユニーク
スペシャルスキル:
魔法:
お。カスタムスキルがある。
なんだこれ?
ユニーク:
・
・
・・・ん?
なんだこれ?何にもないじゃん。
ユニークというカスタムスキルには、詳細が何も書かれていなかった。
タロジロとも同じである。
これは良く分からんな。
山田だったらこういうの分かるのだろうか?たまには出てこい山田・・・。
・・・
気を取り直して、せっかくなので攻撃魔法を試してみることにした。
うん。攻撃魔法とか、なんかワクワクするな。
俺は例のごとく部屋から出て裏庭に行くと、裏庭の木に向かって前足をかざした。
「にゃん♪(ダークアロー♪)」
俺がかざした肉球の先に、黒く細長いツララのような物体が出現した。
ガラスのような質感である。当たると痛そうだ。
黒いツララに対して飛ぶように念じると、それは俺の思った通りに真っすぐ飛んで行き、狙い通りに木の幹に突き刺さった。
割と速い。
素手で石を投げた時と同じくらいには速度が出ている。
つまり・・・これって石やナイフを投げるのとそんな変わらんのでわ・・・?
・・・いや、無から作れるってのがいいのだ。うん。そう信じるしかない。
しばらくすると、黒い矢は黒い霧となってゆっくりと消えていった。
ふむ。
つまりこれを使えば、証拠が残らないという事か。
これは完全犯罪にも使えるんじゃ・・・?
もしかしたら頭脳が大人な天才少年探偵にも解けない謎を作れるかもしれない。
犯罪を犯す予定は全くないけれど。
それからしばらく俺は、ことあるごとにダークアローを使ってみた。
「へにゃ~(兄上。気を付けてください、そこに蜂が)」
「にゃ~♪(なんだってっ!!!!そいつぁ大変だダークアロー♪)」
黒き矢に正確に貫かれて、蜂は消し飛んだ。
・・・
「くにゃ~(リョウ兄。あの木の実取って)」
「にゃっけ~♪(おっけ~ダークアロー♪)」
木の実は付け根をダークアローに斬られ、地面にぽてりと落ちた。
ジローは嬉しそうに駆け寄って、落ちた木の実にかぶりついた。
「くにゃ~(んまい)」
・・・
「こーんっ!(猪がキター!)」
いつぞやの子狐が俺に向かって走って逃げてきた。
「にゃんだ~♪(な、なんだってーっ!ダークアロー♪)」
眉間にヒットし、猪は倒れた。
今夜は猪鍋かな~。
・・・
やっべーわ。これちょうたのしい。
俺が居間で新たな力に酔いしれていると、アミが外から戻ってきた。
「くにゃ~?(アミさん。背中に草の実がついてますよ?)」
「おや、うかつでしたね。む。届かない。どなたか取ってくれませんか?」
ジローに指摘されたアミが背中へ手を回すも、草の実はちょうど手が届かないところに引っ付いているようだった。
ここは俺の出番だな。
「にゃ・・・(俺に任せろっ!ダークア・・・)」
「ちょっ、何をするつもりですかあなたはっ!私を殺すつもりですかっ!」
草の実を魔法で吹き飛ばそうとしたら、アミにすごい剣幕で怒られた。
そしてそのあと小一時間ほど説教されてしまった。
・・・すこし調子に乗りすぎたかもしれない(´・ω・`)
・・・
数日後。
「にゃ~?(そいじゃあ行くか。お前ら準備はいいか?)」
俺はアミ特製のリュックサック(茶巾袋に紐をつけたもの)を背負うと、後ろを振り返った。
「へにゃ~(準備完了です。兄上)」
「くにゃ~(おっけー。行こうー)」
タロジロ達が元気よく返事をした。
俺は小さくうなずくと、アンジュ家の小さな扉をくぐる。
正直この小さな村でずっと生活していても良かったのだが、俺はある目的を果たすために旅に出ることにしたのだ。
以前人化した際に、俺は転生前の記憶をほとんど全て思い出していた。
思い出してしまった。
死してなお生にしがみついた、その理由を。
おそらく俺と同じく、この世界にきているだろう存在を。
そして俺が為さねばならない使命を。
そう。俺は来るべくしてこの世界に来たのである。




