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転猫  作者: 相川秋実
第一章
29/137

29. 等価交換 ~転生の代償~

アンジュの亡骸は、村の近くの墓地に埋葬された。


妖孤達がアンジュの墓の前に座り込み嗚咽している。

俺は墓の正面に座り、目をつぶってアンジュの冥福を祈った。


果たしてアンジュは、俺と出会わなかった方が良かったのだろうか?

もっと上手い作戦は無かったのだろうか?

フォルテの最後の一撃を、受けるのではなく回避するという選択は本当になかったのだろうか?

アンジュを回復できるような魔法を編み出せなかっただろうか?


そんなことをグルグルと考えていると、アミにそろそろ解散すると声をかけられた。

どうやら結構な時間が経っていたようだ。


ちなみにあの後、コボルト達は一旦コボルト達の村へと帰した。

猫少女の件を含めて色々と事情を聴きたかったが、妖孤達の感情を考慮しアンジュの埋葬が終わるまでは接触を断つことにしたのだ。


その日は各自家々に戻り、喪に服すことになった。

俺達はアミとキョウカに連れられて、元々滞在していたアンジュの家に入っていった。

客室に着くと、泣き疲れたのかタローとジローはベッドですぐに寝付いてしまった。


俺は色々と気になることがあったので、しばらくしてからこっそり家の外に出た。

そしてアンジュの家の裏庭に行くと、俺は自身をアナライズしてみた。


名前:リョウ

属性:光

種族:魔猫族 魔猫亜種☆

称号:剣聖、拳達、退魔士、死ぬほど猫好き、大魔王の末裔

ノーマルスキル:じゃれる(魅力大)、かみつき(貫通大)、あまえる(魅力小)、こびる(魅力小)、アナライズ(中)、念話、人化の術

カスタムスキル:闘気

スペシャルスキル:百禍両断、しんかのひほう

魔法:ヒール、ホルヒール、キュア、ホルキュア、ホルフィズライズ、ホルマギライズ



アナライズが(中)になったおかげか、見える項目が増えている。


俺は猫少女との戦いから気になっていた、カスタムスキルとスペシャルスキルがどんなものか確認してみた。


まずはカスタムスキルだ。


闘気:

 体に闘気を纏う。

 ・攻撃力大UP

 ・防御力大UP

 ・闘気耐性

 ・魔法耐性

 ・


おお。これは結構使えそうだな。

どうやらノーマルスキルに比べて、カスタムスキルは複数の効果を持つようだ。


試しに闘気を使ってみた。

俺の体が黄色く力強い光に包まれた。

まさに闘気(オーラ)って感じだ。

闘気を纏った状態で、その辺に生えていた木を爪でひっかいてみた。

木の幹は爪のオーラに触れた部分から大きく抉られた。

かなり攻撃力が上がっているようだ。


ふと気になって、ホルフィズライズも発動してみた。

闘気に被さるように白く淡い光が広がっていく。

先ほどと同じように木をひっかいてみたら、闘気のみの時よりも抉れる範囲が大きくなった。

どうやら重ね掛けが可能なようだ。


次にスペシャルスキルをアナライズしてみた。


百禍両断:

三笠木家に伝わる破邪の刀剣。リョウの右手に宿る。

・???

・???

・???



・・・やはりか。


名前を見た時からほぼ確信はしていたが、転生前に使っていた俺の愛刀のようだ。

どういうわけか、こいつもスキルとして転生?したらしい。

俺は右前足を見てみた。

右の手首、手の甲の側に、黒い毛の中に白い毛で小さく縦線が描かれている。

アナライズしてみると、やはりこれが百禍両断の印?のようだ。

しかし意識して百禍両断を発動しようとしてみたが、何も起きなかった。

アナライズの説明にも破邪の剣とはあったが、能力は"???"となっておりどんな効果があると明記されているわけではなかったので、あるいは仕方ないのかもしれない。

アナライズのレベル?が上がれば詳細を見ることができるのだろうか?


ちなみに生前の愛刀・百禍両断は、邪なるモノだったら物理攻撃が効かないような相手や攻撃を反射するような相手も問答無用で切り伏せられられた。

たぶん"???"の箇所も似たような能力があてはまるのだろう。

是非使いこなしたいところだ。


気を取り直して、もう一方のスペシャルスキルをアナライズしてみた。


しんかのひほう:

 楽園の秘宝。リョウの左手に宿る。

・???

・ソウルイーター:経験値取得量増加。スキル・魔法の継承・模倣率増加。

・知恵の実:進化条件を緩和する。

・楽園の王:配下に"しんかのひほう”の恩恵を与える。

・???

・???



これも覚えがある。


転生前に敵が持っていたもので、俺達は何度もこいつに苦しめられたものだった。

俺は左前足を見てみた。

左手首を白い毛がくるりと一周している。元々が腕輪だったからだろうか。

アナライズすると、やはりこれが"しんかのひほう"だった。

そういえば、人化したときに左手首に腕輪がついているのを、ちらっと見た気がする。

戦闘中だったから、うろ覚えではあるが。


俺は試しに人化してみた。

左手首に見覚えのある腕輪がついている。

外してみようと試みたが、手首に吸い付くようにはまっておりビクともしなかった。

あるいはその性質上、呪われているのかもしれない。

あまり良い思い出が無いので外したかったのだが、とれないのであれば仕方ない。

幸い能力的には良さそうなので、一旦放置することにした。


さて、あと気になるのは人化後の体だ。


人化をしてみて分かったのだが、今のこの肉体は背丈や特徴から考えるに、生まれて十年くらい経っているようだ。

猫の状態だと子猫なので、生まれて数か月と言うところだろうか。

猫に転生したことが分かった時は、これ寿命短いんじゃね?と実はひそかに心配していたのだが、子猫の状態がここ数か月続いているので普通の猫とは成長速度が違うのかもしれない。

生まれて数か月なのか10年なのか、その間なのかそれ以上なのか。

実際に転生してからどれだけ経っているのかが分かれば話が早いのだが、それを知る(すべ)は今のところ皆無だ。

地道に年を数えていくしかなさそうだ。たまに人化して成長速度を測るとするかな。


あとは、生き死に関わるような話じゃないので生き残る上では割りとどうでも良いが、さりとて無視することはできない重大な事象として、性別がある。

俺は覚悟を決めると、恐る恐る自分の顔を下に向けた。

一応念のため手でも触って確認してみる。


・・・・・・・・・・・・・・うん・・・・・・・・・・・無い。


いや、ばかな、そんな、こんなことが、いやまさか、しかし、とりま落ち着け俺。


なんだっけ?確か、こういう時に言わなきゃいけないセリフがあった気がする。

確かあれは生前、山田に貸してもらった有名な漫画で錬金術師が・・・あっ!

「持って行かれたっ!!!!!」

「・・・あなたは素っ裸で何を騒いでいるのですか?」

振り返ると、アミが呆れたようにこちらを見ていた。

「とりあえず服を着ましょう。どうぞこちらへ」

「・・・。」

俺は自分の顔が真っ赤になっている事を自覚しながら、おずおずとアミについて家に入って行った。


元々は異世界一の剣士になって色んなタイプの美少女と仲良くなってハーレムを築いていくような話にしようと思っていましたが、このネタを思いついたので王道のハーレム話は断念してリョウには女になってもらいました。

・・・・・・・・・あとで超後悔するかもしれない(`・ω・´;)

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