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転猫  作者: 相川秋実
第一章
24/137

24. 死闘② ~格ゲーで友情にヒビを入れるアレ~


フォルテを警戒しながら、抉れた地面に一瞬視線を移す。

今度は地面に、小規模ながらクレーターができていた。


なるほど、筋力も瞬発力も桁違いだ。


アンジュに聞いた話では、こいつはコボルトが進化した個体で、狼王族のフェンリルナイトというものらしい。

通常の進化ではなく種族が変わる進化を遂げた珍しい個体で、コボルトと同程度の強さの魔狐族では太刀打ちができないそうだ。


アンジュは魔狐族として何度か進化し仙孤となったらしいが、そのアンジュを持ってして狼王族の最初の種であるフェンリルソルジャーにすら勝てないというのだから、そのさらに先の進化種であるフェンリルナイトとは勝負にもならないそうな。


もっともそれは、コボルトや狼王族が前衛向きで戦闘に向いているのに対し、魔狐族自体が後衛向きで直接戦闘に向いていないという事も影響しているらしい。

アンジュの子、二尾の地孤アミは、コボルトに対抗すべく苦手分野である直接戦闘の技術を磨いたらしいが、それでも種族の差を埋めることはできなかったそうな。

しかし逆に言えばコボルトは後衛向きの魔法は得意ではなく、特にヒールなどの回復系の魔法は基本的に使えないらしい。


俺は再度間合いを詰めるべくフォルテに向かって走る。

フォルテはそれを予想していらしく、再び上段からの一撃を放った。

どうやらこの攻撃は、発生した衝撃波に意識を刈り取るという能力があるようだ。

俺は前回の教訓を活かして、衝撃波も回避すべくなるべく余裕をもって大きく進路を横に取った。


地面に穿たれる大剣。


今度は衝撃波による影響も受けなかった。

フォルテは技を放ち一瞬硬直している。その隙を逃さず俺はフォルテの左手首を再度攻撃した。

「にゃっ!(扇一閃っ!)」

俺の放った斬撃は、先ほどつけた傷を正確になぞった。

フォルテは、たまらず悲鳴を上げた。


塵も積もればなんとやら、というやつである。


いかに頑丈な毛皮に覆われようとも、同じところを攻撃し続ければ、いずれは大ダメージとなるのだ。

当然フォルテもこちらの意図に気付くだろう。

しかしフォルテが回避を試みようがガードをしようが、その上でも同じ場所を攻撃し続ける自信があった。

なにせ俺は剣聖の称号を持っているのである。え、だから?と言われそうな気もするが、剣聖の称号がそうさせるのか、その点だけは俺にはなんだか妙に自信があった。


殺気を込めた目でこちらを睨むフォルテ。

怒りのせいか、口からは泡が出ている。

そして負傷した左手首からも、やはり赤い泡が・・・って。


・・・あれ?なんか回復してね?


ゆっくりではあるが、それでも見逃せない速度で傷が回復していっているように見える。

このままだと、数分としないうちに完治してしまいそうだ。

戦闘における数分は長いといえるが、それでもチリツモケズリ作戦を取ろうとしている俺からすれば看過できない状況である。

コボルトや狼王族は魔法が不得意と聞いていたので、おそらくヒールではないだろう。

俺は内心の焦りを抑えながらも、今更ながらフォルテをアナライズしてみた。

一騎打ちの交渉に気を使うあまり、戦闘前にアナライズするのをうっかり忘れていたのだ。

痛恨のミスである。何やってんだ俺は。


名前:フォルテ

属性:無

種族:狼王族 フェンリルナイト

称号:半月の騎士

ノーマルスキル:スタンスラッシュ、ラインスマッシュ、咆哮、自己再生

魔法:


・・・魔法は無い。確かに魔法は無いが、なんだ自己再生って。




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