表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転猫  作者: 相川秋実
第一章
21/137

21. 潰走

アンジュから相談を受けた翌日。


人化の術の修行で座禅を組んでいた俺は、気配に気づいて立ち上がった。

「・・・来たか」

アンジュが呟く。アンジュも同じく気配に気付いたようだ。


しばらく待つと、建物の大扉が開かれ十数人の妖孤が入り込んできた。

そのほとんどが体のあちこちに怪我を負っており、まさに満身創痍という感じだった。

彼らはアンジュの前に跪いた。

「アンジュ様。ただいま戻りました」

「うむ。ご苦労じゃったの。して・・・状況は?」

「・・・申し訳ありません。我ら以外は全滅しました」

妖孤の集団の一番前にいた少女は、嗚咽をこらえながら報告した。

アンジュは椅子から立ち上がると、報告してきた少女の前に屈んで微笑んだ。

「そうか・・・。お前たちだけでも生きて帰ってきてくれてよかったわい。お前たちが妖孤族のために戦ってきてくれたことを、妾は誇りに思うぞ」

「・・・っ、アンジュ様っ!」

少女はこらえきれなくなって、ぽろぽろと涙を流す。

彼女には尻尾が2つあった。

アンジュから聞いていた、もう一人の娘のアミという子なのだろう。


生きて帰ってきた妖孤達は、アミを含めて十数人。

村の規模から考えると、恐らくこの村には元々2~300人は村人が住んでいたと思われる。

それが今やこの建物に40弱しかいない。

そしてそのほとんどが重傷を負っているか、あるいは非戦闘員という状況だ。


これは、全滅もあり得るな・・・。

そんなことを思いながらも、俺は警戒を解かずに大扉の先をじっと睨み続けた。

アンジュも恐らくは気づいているだろう。

大扉の先。まだかなり距離はあるが、村の入り口の少し先に多数の気配が感じられた。

気配・・・というよりは殺気。それを抑えようともせず、むしろ誇示するかように放ってきているので、この距離からでも容易に感じることができた。

件のコボルト軍なのだろう。

ここに辿り着くまで、あと数分といったところか。


・・・数分か。全然時間無いな。

「にゃ(アンジュ殿。あまり時間が無いようだ。コボルト軍を迎え撃つ段取りをしたいのだが・・・)」

「ふむ。そうじゃの。何か案があれば賜りたいが・・・」

「にゃ~(そうだな・・・。作戦って程のものではないが、なるべく全員で生き残れる可能性が高い案は考えてみた)」

「おお。それはありがたい。どんな内容じゃ?」

「にゃあ(ああ・・・)」


・・・


「アンジュ殿だな」

数分後。

大扉を乱暴に開けて入ってきた一団。その先頭にいたひときわ体の大きい黒毛のコボルト?が問いかけてきた。


「いかにも。わらわが魔狐の長、三尾の仙孤アンジュである」

アンジュは堂々とした居住いで椅子に座ったまま、静かに相手を睨んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ