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転猫  作者: 相川秋実
第一章
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20. 蜘蛛の糸

「にゃ?(コボルト側とは、和解はできないのか?)」

「それはもはや叶うまい。既に千年もの長きに渡り互いに数多くの種族を滅ぼしてきたのじゃ。今更止まるようなものではないさね。それに、そろそろ期限でもあるしの」

「にゃ?(期限?)」

「うむ。四天魔王である魔竜王に期限を切られてから、もうすぐ千年。それまでに1つの種族だけになっておらなければ、島の魔物は全て魔竜王に殺されることになるのじゃ」

「にゃ~・・・(なんとまあ・・・)」

あまりの事に絶句してしまう。

魔竜王とやらは、なかなか残虐な奴らしいな。まぁ、善人って感じの名前じゃないんだけど。

「それに現代のコボルト王・・・いや、今では進化してコボルトですらないのじゃが、彼は妾を強く憎んでおるのじゃ。なにせ先代のコボルト王を殺したのは妾なのでな。当時はまだ幼かったとはいえ、親を目の前で殺された彼は妾を許すまいて」

なるほど。なんとも根深い因縁があるようだ。

・・・ん?

あれ?それって一度妖孤の勝利でこの島の生存競争?は終わってるってことじゃね?

なんでその時、幼いコボルト王子を殺さなかったのだろうか?

俺がその疑問を口に出そうとした時だった。

「へにゃっ!!!(兄上、この人たちの力になりましょう!義を見てせざるは勇無きなり、です!!)」

タローが俺の背中の上ですっくと立ち上がった。

いつの間に背中に登りおったのか。この子は。

てかタロー。お前はどこでそんな諺を覚えたんだ・・・?

数日一緒に過ごしたせいか、タローは既に妖孤達に情が移っているようだ。

そしてどうやら無駄に熱いところがあるようで、妖孤達を見捨てるつもりはさらさらないらしい。


「ほほ、貴殿の弟君は良き漢じゃの。将来が楽しみじゃ」

それまで暗い表情だったアンジュが、朗らかに笑みを浮かべころころと笑った。

・・・やれやれだ。

「にゃ?(それで、俺にどうしろと?)」

「ふふ。さすが話が早いの。なに、大したことは頼まないさね。ただ妾の代わりに、コボルト達のリーダーを倒してくれればよいのじゃ」

・・・じゅうぶん大したことじゃんか。

「にゃいにゃい(おいおい。コボルトリーダーはあんたより強いんだろう?俺なんかじゃ敵わないと思うが・・・?)」

「ふふふ、ご謙遜を。大魔王の末裔にして剣聖の二つ名を持つ貴方様じゃ。進化しているとはいえ、たかだか犬ふぜいに後れをとることはあるまいて」

「・・・にゃ(なるほどね)」

そういえばアンジュはアナライズを持っていたな。

にっこりと微笑むアンジュに、俺はしてやられたという思いを抱く。


なるほど。はじめから俺を利用するつもりだったのだろう。

おそらくアンジュは俺達を長く滞在させて、子狐達に情が移るまで待っていたのだ。

なかなかの策士である。


少なくともタローは、既にアンジュの計略にもろに嵌っている。子狐達を守るためならコボルトとの戦いも辞さない覚悟だ。

ジローはアンジュの計略に嵌っているか分からない。こいつはアンジュの話の早い段階で、俺の頭の上に登って寝息をたてていた。

よく寝るな・・・。

しかし何というか。人化の術と念話を学びながら寝泊まりも無料(タダ)というのは虫のいい話だったな。

無料(タダ)ほど高いものがないというのは、異世界でも変わらないようだ。


アンジュの話を聞いた後、俺達はタローの強い希望もあって妖孤の村に留まることにした。

正直、アンジュですら歯が立たないというコボルト?のリーダーに、俺が勝てるかどうかは分からない。しかし仮にも剣聖の称号を持っているのだ。善戦くらいはできるだろう、多分。

・・・・・・・・・うん。どうだろう?えらく不安だ。

せめて人化ができるようになるまで、攻めてこないで欲しいなー・・・。


しかしそんな俺の願いをあざ笑うかのように、状況はすぐに動き出すことになる。


特に意味もなく引いてみた(`・ω・´)+

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