13. 人(Man)?との戦闘
とりあえずアナライズを発動してみる。
魔蜥蜴族 リザードマン
ノーマルスキル:かみつき(貫通中)、しっぽ再生(中)、火の息
魔法:
ん?
リザードマンて、タロジロとおなじ魔蜥蜴族なのか。
しかもスキルと魔法も、ほぼタロジロと変わらないようだ。
タロジロが進化していったら、どこかでリザードマンになっちゃうのだろうか?
進化先はリザードマンだけというわけじゃないのだろうけど、なんかヤダな。
リザードマンは、ひとしきり鼻をくんかくんかとした後に、首をかしげてみせた。
俺は内心舌打ちを打つ。
まずいな・・・
俺の匂いに気付いて立ち止まっているのだろうか?
その場合、このまま岩陰に隠れていたとしても、いずれは見つかってしまうだろう。
見つかればどうなるかというのは、あまり考えたくない。
走って逃げるのも、疲れて寝ているジローを背負ったタローには厳しいだろう。
どうしたものかね?
一応人型だし、手には長柄の石斧を持っている。
おそらく、ある程度の知能があるのだろう。もしかしたら、言葉も通じるかもしれない。
どのみち隠れ続けることも、逃げきることも難しいのだ。
相手の知能に期待して、こちらに敵意は無いことを言葉で伝えてみようか。
成功する可能性は低いと思うが、話しかけてみる価値くらいはあるだろう。
そんな事を考えていたとき、背後から、くにゃ~、という声が上がった。
・・・一応振り返る。
やはりというかなんというか。今の声はジローが寝ぼけて発したもののようだった。
幸せそうな表情で眠り続けるジローと対照的に、タローの表情からは血の気が引いて蒼白になっている。
俺は改めてリザードマンの方に振り返った。
・・・目が合ったよ。
やっぱばれたか~、と思うと同時に俺は意を決して隠れていた岩の上に飛び乗り、精一杯の誠意を込めて話しかけてみた。
やあ、リザードマンさんこんにちは。俺はこう見えて怪しい猫ではなく
「にゃあにゃにゃーにゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにゃーにゃっ!?」
ずどんっ!
俺が今までいた岩の上に、石製らしき斧が叩きつけられる。
問答無用かいっ!
明確すぎる殺意を持って応じられてしまった。異文化コミュニケーションって難しいわ。
リザードマンは初撃が外れたことに気付くと、俺が逃げた方向に無造作に石斧を薙いだ。
しかしその時には、既に俺はリザードマンの真横にまわりこんでいる。
俺の姿を見失ってキョロキョロと辺りを見回すリザードマン。
俺はそんなリザードマンの姿を見ながら、多少余裕を持って次の手を考える。
リザードマンは前に倒したボスネズミより大きいものの、動きはだいぶ緩慢だ。
これならば、隙をついて急所に扇一閃をお見舞いしてやれば、一撃で倒せるだろう。
割と余裕な戦いである。できればもう少し話しかけて反応を見てみたいところだが・・・。
俺が思案にくれていると、岩陰から再び、くにゃ~、という声が聞こえた。
俺とリザードマンが、同時に声の方を向く。
あ、リザードマンのターゲット変わっちゃったっぽい。ダメだこりゃ。
俺は、すかさずリザードマンに向かって飛び跳ねた。
はたして勝負は一瞬でついた。
俺は猫ならではの軽やかな跳躍で、リザードマンの脇を通り過ぎる。
扇一閃。そう心の中で叫んだ。
リザードマンは何が起きたのかも分からなかったのだろう。胴体を輪切りにされ、きょとんとした表情のまま声も上げずに崩れ落ちていった。
扇一閃まぢ使えるわー。
リザードマンが倒れ動かなくなったことを確認すると、俺はタロジロ達の方に歩いて行った。
申し訳なさそうな顔でこちらを見るタロー。その下ではタローに庇われるような形でジローが仰向けになって寝ていた。
そして時折前足で腹をぽりぽりと搔いている。
・・・こいつは本当に大物だ。




