決心
ーどうしよう、どうしよう
トリエ様に婚約者となって欲しいと言われてから私は心ここにあらずと言った状態で自分でも全く使い物になっていないと感じていた。
お父様もお母様もセヴィも果てはロゼリアまで不安そうに私を見ていた。
しかしここは選択を誤るわけにはいかないのだ。
まず、トリエ様とこのまま婚約した場合、トリエ様に以前聞いたが隣国には花嫁修行として婚約が決まってから1カ月以内に嫁ぐ先に住むという風習がある。
私が隣国に行けば星ラプのシナリオが復活し、シナリオをなぞる可能性があり、ロゼリアの悪役令嬢化が起こらないとは限らない。
ただ少しとはいえシナリオが変わった今、家族仲は割りと良好だし悪役令嬢化が起こるとも言えない。
しかし何かあった場合、私はロゼリアのために駆けつけることが出来ない。
今の私にとってロゼリアの悪役令嬢回避が一番の目標である。道中ばに諦める訳にはいかない。
次にトリエ様との婚約を断った場合、3年後第2王子との婚約が待っている可能性がある。
お祖母様とはあまり交流がなかったが、今回のトリエ様との話を持ってきた時にお父様が言っていたがお祖母様は野心家だそうだ。隣国だろうが何だろうが王家と繋がりを持つと言うことが重要なようだ。
その上、隣国の王妃との繋がりがある。
…そう、お祖母様が健在ならばまた隣国との婚約は可能性として上がって来ると言うことだ。
しかしそれこそシナリオ通りである。
「どうしたらいいの…」
部屋の机に突っ伏し、一人呟く。
しばらくボーッとしていると部屋のドアをノックする音が聞こえ、お母様が「入っても良いですか?」と入室確認をする。
私は慌てて「はい、今開けます」と椅子から立ち上りドアを開ける。
「今、少しいいかしら?リアナ」
お母様は優しげに微笑む。
「はい」
部屋にある勉強とは別に使用している椅子と机に私とお母様は向かい合わせに座る。
カロンがお母様の訪問に合わせ、私とお母様の前に紅茶を置く。
静かな部屋にカップとソーサーのぶつかるカチャカチャとした音だけが響く。
お母様はカップをとり紅茶を一口飲み「リアナはトリエ様が嫌いなのかしら?」といきなり核心をついてくり。
「えっと…」
「トリエ様から婚約の申し込みは1カ月前から我が家にはあったの。もちろん最終的にはリアナに確認してから返事をする予定だったわ。だけどリアナがトリエ様にどういう感情を抱いているかまず私とウォルター様で確認をまずしようと決めたの。
この1カ月2人を見ていたらトリエ様はかなりリアナに想いを寄せているようだったけど、リアナがトリエ様を邪険に扱いつつ、会いにいらっしゃったトリエ様と楽しくお話ししていたから私もウォルター様も正直どう返答しようかどうリアナに話を切り出そうか迷っていたのよ。」
「お母様…あの…」
「今日、リアナは心ここにあらずと言った様子だったから…トリエ様に直接婚約したいと言われたのね?」
私は静かに頷く。
「お父様もお母様もリアナが好きなようにしていいと思っているのよ?リアナの人生はリアナの人生よ。政略結婚を私たちはさせる気はないのよ。お義母様には申し訳無いけどお断りしてもスコルプ家は問題ないわ。ただリアナがトリエ様が好きで一緒になりたいと思っているならこの話はお受けしようと返事するつもりです、リアナはどうしたいの?」
「…私は…私は…トリエ様の事は嫌いではありませんでも…でも」
「でも?」
「私はまだ家族と一緒にいたいです」
ーそう、色々な理由を考えたけど私はただ…ただ家族とまだ一緒にいたいのだ
お母様は微笑むと優しく私の手を握った。
それが温かくて自然と涙が出た。
私の心はそれで決まった。




