お喋り
サロンに着くとどことなくピリピリとした侍女たちが待っていた。
そこにカロンもいたためこっそりと耳打ちで「皆、緊張感が漂っていますが…」と聞く。
苦笑いしながらカロンは「ハロルドから隣国の王子が訪問したと通達が先程ありました」と小声で返す。
今になって来訪した人物が隣国の王族だと知り、粗相をしないよう緊張しているのだろう。
私は苦笑いしながらいつも通り紅茶を出すように指示をする。
「トリエ様、少しお茶にいたしませんか?」
「いただこうかな」
サロンのふかふかの椅子に机を挟み、2人向かい合わせに座る。
「本日はどれくらいお時間がございますか?」
「今日は君と顔を合わせる程度のつもりのため夕刻にはここを出発する予定だよ」
「ではあと2時間程度ですね。何処か宿にお泊まりの予定ですか?ここからだとフォンセ王国へは馬で5時間以上はかかるとお伺いしたことがありますが…日没までにはお帰りになることは出来るのでしょうか?」
馬の時速は大体60mで車と同じときいたことがある。1000km以上離れているフォンセ王国に次の日までに帰ることは出来るのだろうか…と少し心配になる。
「帰る予定だよ。リアナ嬢は知らないのですか、転移魔方陣」
「転移魔方陣ですか?」
ーファ…ファンタジー!
「ええ、主に王族の会合などの行来や輸出入に使用されています。もちろん勝手に行来できる訳ではなく許可制ですが、フェンガリとフォンセを一瞬で行き来できます。他の国とも我が国は繋がっていますが、フェンガリは輸出が少ないため転移魔方陣が繋がっているところが少ないと聞きます」
「大変勉強になります」
そんなに世界は広く、まだ私の知らないことはたくさんある。
トリエ様は博識で色々な事を話してくれた。
精霊のこと、魔法のこと、他の国のこと、そして
「魔石はまだ不明なことも多くあるのですが、実は魔石は様々な種類があり属性の色に付随していて、四大元素の火なら赤、水なら青、風なら緑、土なら茶、光なら黄と言った色合いです。
闇、無属性は比較的珍しくてほぼ産出されても市場には出回りませんね」
「…やはり闇は黒色をしていますか?」
「ええ、黒色ですね。無属性なら透明です。何か問題がありましたか?」
「いえ、珍しいので見てみたいと感じただけです」
ーあの時の石は闇の魔石だったのでは…
1年前の事件の石はおそらく闇の魔石だろう。闇属性は魔との契約による召喚術が主であり、魔獣も魔と言えば魔である。
「リアナ嬢?」
「大変申し訳ありません。つい闇や無属性の魔法がどのような効果に使われるのか考えてしまいました」
嘘は言っていないが、つい考え事をしてしまった。
サロンのドアがノックされ、ハロルドが入室した。
「トリエ様、お迎えがいらっしゃいました」
気づけば2時間経っていたようだ。




