王様
朝目覚めるとセヴィが横で寝息をたてている。
天使の寝顔を見つつ今日という日の憂鬱が一瞬晴れる。
夢の中でアイテルが言っていたが、まだまだこれから大変だと言うことだけはわかった。
切実に私を死なせてしまった神様にチート能力を要求したい気分だ。
「お姉ちゃん、おはよう」
「おはよう、セヴィ」
セヴィは寝起きがいいようで不機嫌な顔もせず目を擦りながら起き上がり私に挨拶をしてくれる。
王様が訪問するという憂鬱が頭を過り素直に可愛いセヴィに癒されない。
「王様…どんな人なのかな…」
不安からか口からポロリと溢れる。
「王様は優しい人なんだって」
セヴィはニコニコと無邪気に答える。
「優しい人ってわかるの?」
「僕が会ったんじゃないけど精霊さんが会っていて優しいって」
「セヴィがそう言ってくれるなら安心して会えそうね」
私はセヴィの頭を撫でた。
へへへと照れ笑いをしながら嬉しそうにしているセヴィは変わらず天使なのであった。
身支度や朝食が済み、気付けば訪問の時間だった。
お父様は昨日のこともあり憔悴している。とても申し訳ない気分でお父様を見つめる。
私たちはエントランスで王様を出迎える。
使用人がドアを開けるとそこにはブロンドの髪に金色の瞳、海外の映画俳優のような甘いマスク、清潔感を損なわせない口髭と顎髭の似合うおじ様が入ってきた。
衣装はこれぞ王様といった華美すぎるものではないが、刺繍が細かく意匠を凝らした一品という風に感じる。
私たちを見つけるとにこやかに微笑む、お父様が敬礼を行い私たちもそれに倣う。
「フェンガリ王国、国王のアーベント・モリエール・ウィリングと申す。貴殿らには時間をいただき申し訳なく思っている。面をあげよ」
私たちは顔をあげた。日の光に反射する髪がキラキラと光っていた。
あれから場所を変え、昨日とは別の応接間に王を案内していた。
応接間で侍女が飲み物の配膳が終わり全員が席に着いたのを見計らいお父様が使用人を外に待機させる。
「ウォルターの家に訪問するのは久しぶりだな。以前は頻繁に訪れていたが、即位してからはなかなかな…」
「陛下、雑談は結構です。用件をお話しください。宰相殿を連れていないところからみるに口外したくない用件と存じますが…」
「ウォルターは気が早いね…少し雑談を楽しまないか…」
王と言うよりは親戚の叔父さんのような雰囲気に少しだけ肩の力を抜く。
「まあ、単刀直入に言うと申し子たちに会いに来ただけだよ?」
応接間の空気が冷えたのを感じた。




