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あやしい研究所〜化け物から取ろう新エネルギー〜  作者: あやしい研究所製作委員会
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4/5

阿柱

「………妄想態から出てきただぁ?」


「記憶喪失?」


「人外ってこト?」


 神野に関わらず、三人は驚きを隠せずそれぞれ声を漏らす。書類にはこのように書いてあった。

______________________

個体名『阿柱』。 年齢:推定20歳 性別:男


概要・説明

 個体名『阿柱』は特別識別空想態『空想態』によって出現した人型実態である。出現場所は[検閲済み]にある[検閲済み]研究所で出現した。

 『阿柱』はすべての言語機能に侵されず、全実態とコミュニケーションが取れる欠片を有しており、欠片は声帯に埋め込まれていることがX線検査により判明している。

(ここで言う言語機能に侵されないことを以下『全声』と仮称する)

 全声の効果として常時発動が発現しており、英語話者には英語に、日本語話者には日本語に聞こえるという性質が確認された。


 出現した当初、『阿柱』は全裸体で発見された。その後衣服を着させ軽い質問事項をした。(事例一として記載)


 軽い質問事項をした後、阿柱は就寝したが事例二が発生する。


 Aは事例二を受け、全上層部で緊急会議を実施。その後A・B・C・E・G・H・Jの意向により『阿柱』を特別監視員として雇うことを決定した。

 したがって、研究所内でも成果が残せている『綾四井研究所』にこれの管理・監視を命ずる。同時に、定期的な記録用紙の提出も命ずる。



事例一(監視カメラ記録や録音から抜粋)

午前10時頃、『空想態』の刺激を終了した瞬間に『阿柱』が出現。これを確保。

午前12時頃、研究所主任の判断により衣服を着用。同時に軽い質問事項を実施。以下内容記載


記録開始

一級監視員(以後職員)『君の名前は?』

阿柱『あ…あばしら………だと思います。』

職員『……ここに来る前の記憶はある?』

阿柱『…覚えていません。すみません。』

職員『空想態って知ってる?もしくは化け物とか見た?』

阿柱『分かりません……』

これ以降、有力な情報が出て来なかったため後略

職員『以上で質問を終わります。ゆっくり休んでくださいね』

阿柱『ありがとうございます』

記録終了


午後2時頃まで就寝。

午後2時半頃、事例二が発生。



事例二

 午後二時半頃、『阿柱』が就寝した部屋から異常な温度変化を感知。温度変化の感知から数分後に質問事項を行なった一級監視員が現場に到着、直後身体中の水分が蒸発し死亡。

 これを受け、当該研究所の職員全員が避難。特別一級監視員の『アモス』と上層部『H』を派遣。その後鎮圧された。

 この事例によって出現した研究所の地下四階が蒸発、地下三階が溶解、地下二階は灼熱化した。同時に地下四階、地下三階に存在した計4体の空想態は死亡または破壊され、地下二階に存在した二体の空想態は設備の異常熱による故障で収容室から脱走。同二職員に鎮圧された。



 緊急会議では、即刻処分の意見が見られたが最終的に有用性の方が高いと判断されこの事態に至った。なお、異常熱に関係性のある欠片は見つかっていない。


追記

事例二に該当する行動が行われた場合、即刻特別一級監視員『綾四井』が鎮圧することを命ずる。

______________________


「とのことだ。それらを理解した上で業務内容を順守してくれ。」


「待て待て待て待て。これではい分かりました、で終わるわけねぇだろ。」


「そうだヨ!彼の好きな食べ物とかが何か書かれていないじゃないカ!」


 神野とダルシムはそれぞれ綾四井の雑な説明に対して反発する。……片方は何かずれているが。


「そうか、神野君。では反対意見を聞こう。」


 綾四井が頷き、神野の意見を傾聴する。神野は眉間に皺を寄せ、明らかに反対のようである。


「まず前提として、ここには脱走したらまずい空想態しかいねぇ。事例二ってのが発生した場合ここら一帯が地獄絵図になっちまう。


 しかも刺激業務適性があるかどうかも分からないまま、業務内容を順守するなんて自殺行為に等しいことだ。低危険性空想態を収容している別の研究所に下積みした方が良いと俺は思うぜ。」


 言葉は発していないが同調するように松田は頷く。実際、彼の言っていることは常識人として正しい判断だからだ。なお、ダルシムは小声で阿柱に「今度好きな食べ物教えてヨ」など抜かしている。

 阿柱は現状議論されている話題と小声で話してくる先輩の話が噛み合わなすぎて困ったように笑う。


 一方、綾四井は松田と同じ様に頷いたが二本の指を立て神野の話を止めさせる。


「言いたいことは非常によくわかる。しかし、それらに対して私から二つの彼をここに置く理由を説明しよう。


 一つ目はその低危険性空想態ばかりの研究所では事例二が発生した場合、彼を鎮圧できる術がない。一番強い監視員でも二級が居るか居ないかだからな。

 二つ目は彼の二つ目の欠片が関係している。」


 綾四井の二つ目の理由を言い始めた時、三人は訝しげな表情をする。


「燃えるやつか?」


「いいや、それとはまた別のものだ。発熱はまた別の事象だろう。」


「で、その欠片はどんなノ?」


「それは……『空想態』の欠片だ。」

『空想態』って名前の空想態………誰だよ考えたやつ。


俺だよ byリア友

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