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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
お金儲けしたい

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7話 魔術学校入学試験

魔術学校試験、当日──。



──来てしまった。とーとー


石造りの巨大な校門を見上げながら、エルディアは深呼吸した。


「アルトも受けるんだっけ。

でもあいつは大ジョーブだ。

私は私のことに集中!」


エルディアのダークワンドを持つ手に力が入る。


──しかし見れば見るほどキモい杖だ。

ぶち折りたくなる。


ボエ〜


鳴くし。




試験内容の説明──。


学科。

魔術実技試験。

模擬戦。


そして気づく。


エルディアはわなわなとしていた。

あまりにわなわなと震えていた。


「ね、ねえ!!!!」


心の中で絶叫する。


「精霊契約してるかどうか、試験に一切関係ないんだけど!!!!」


──なんで!?

いや待て待て待て。


(私は何をしていた?

闇属性の熟練度を上げ。

寝る間も惜しんで魔力制御を学び。

闇精霊にビビられ。

逃げられ。

やっとの思いで契約までした。)


その結果が――


『試験項目にありません。』


盛大に胸中で突っ込んでいた。

精霊契約するために、わざわざ闇属性の熟練度をあげて、精霊契約をまでした私の立場は!?!?


ボエ〜。


「ぼえーじゃ、ねえんだよ!!!!

ぼえーじゃ!!

おまえ、ぼえぼえいってりゃいいって思ってるだろ!!!!」


黒い肉みたいな質感。

脈打つ表面。

先端の目玉っぽい部分。


杖は非常にきもい。



一波乱あったが、学科は問題なく終わった。

こちとらアルトっていう、便利屋がついてる。


この程度の問題は怖くはない。


後でクソ笑われる気がするが。




次。魔術実技試験。


広い訓練場に的がずらりと並ぶ、単純な的当てらしい。

これはさらに余裕。


だって命中、幸運特化で、頭のおかしい量の刻印を刻んである。

外れる方が難しい。


「いけ。」


ボエ〜。


「ぼえ~ってなんだ。まじで。」


闇弾が発射され、的を的確に吹き飛ばす。



模擬戦に入る。


エルディアの対戦相手は、受験生の中でも別格と噂される男だった。


ルミナス・アークライト


前評判が最高の天才と行うことになる。


──受験生たちが噂していたのを聞いた!

どうやら、とんでもない天才。


銀髪に無駄に整った姿勢。

マントの翻し方もこなれている。

立ち方もポーズも美しい。


完成されている。


「この僕と戦うことになるとはね。

感謝するんだね。自らの運命に。

さあ、僕の絶技を前にひれ伏すがいい。

いけ。

エレメンタル、サラマンダー!」


くるり、と杖が回ると魔法陣が展開。

次の瞬間に炎で構成された巨大な火蜥蜴が、地面を這うように現れた。

熱風が吹き荒れる。


火のトカゲが召喚される。

普通に高等技術!!


さすがのエルディアも気づく。

こいつ、普通にすげえやつだ。


「ど、どうしたサラマンダー!!!!」


ただ、サラマンダーはルミナスの陰に隠れていた。


ぷるぷる震えている。

普通に出てこない。


「……」


──おめーもか!!!

(サラマンダー!!

オメーもわたしのこと怖いんか!!)


エルディアは胸中で絶叫した。

なんなんだ本当に。

闇精霊だけじゃないのか。


「くっ……邪気か。

確かにわかる。

一眼見た時から、凄まじい邪気がお前から漂っていた。

──まるでむせかえる死の匂いそのもの!!」


「んなーー!」


エルディアはさすがに反論した。


「失礼な!

お風呂入ってきたもん!!

お金ないから公衆浴場で!!

乙女だもん!!」


「……」


ルミナスの顔がさらに険しくなる。


「まるでダンジョンの深淵の災厄級モンスター……

本気を出さねばこちらが殺されるか……」


「いや、殺さないって。

試験じゃん

殺したら失格……

泣くぞ……

そろそろ泣くぞ私……」


ボエ〜。


「お前は鳴くな。」


「いいだろう。

この僕に本気を出させるとは驚嘆に値する。

穿て。

サンライトアロー

陽光の光を収束し、薙ぎ払え!!」


「答えてダークワンド!!

ダークミスト!!

陽光を遮って!!」


極光の矢が一直線に放たれ、黒い霧が噴き出し訓練場全体へ広がった。

光の矢が霧を裂きながら突き進むが、威力が大きく落ちる。

エルディアは横へ転がるように回避した。


「やるね。

闇属性で日の光を封じて、サンライトアローを減衰させた。

さらに目眩し。

魔術戦の闘いに完全に慣れきっている。

手練れだ。」



観客席から悲鳴が上がった。


「な、なんだあれ!?」

「見えねぇ!」

「闇魔術だ!!」


煙の中心部。エルディア。


「な、何これ見えないんだけど!!!

ちょっと、煙ですぎなんだけど!!

けほっけほっ」


黒霧の向こう。

ルミナスが静かに目を細める。


ちょっと混乱してるようだが、多分手練れだ。



「今ならいけるだろう?

サラマンダー。

大丈夫だ。僕がついてる。」


サラマンダーは恐る恐る火を吹いた。


ぼっ。


──光った!


「そこね。」


何かが飛来し、サラマンダーを貫いた。

サラマンダーの身体が弾け飛ぶ


「ギャウッ!?」

「なっ――」


ルミナスの顔色が変わる。

精霊が強制送還された。


「え?」


ルミナスは反射的に、全力の魔力障壁を展開した。


直後に凄まじい衝撃。

障壁が、ガラスのように砕け散る。


「何をされた!?」


──石!?

ロックバレットか?

まさか複属性持ち《デュアル》!?


(それになんて練度だ!?

一切魔力の流れを感じなかった!

それにこの威力

一撃でも喰らえば……)


ぞわりという悪寒に従い、急いでその場を移動。

散弾が彼のいた場所を抉り取る。


──なんだ今のは……!?

こいつ……僕を殺すか!?



そして走るルミナスの膝から急激に力が抜ける。

──魔力欠乏!?!?


この僕が!?!?

あり得ない!


魔力総量には絶対の自信があった。


同年代どころか、下級魔術師すら上回る。


(まさかこの煙か!?

この黒霧に魔力吸収効果でもあるというのか!?!?)


聞いたことがある。

優れた闇属性魔術士は、対象の魔力や生命力そのものへ干渉するという。


だが学生にもなっていない入学前。

魔術学校試験を受ける魔術師の卵が、その域だというのか。


──まずい。

体が動かない。

今攻撃されたら、僕は……


「……」


あれ?


攻撃がこない。


「勝者!!ルミナス・アークライト!!!」



「ヘ?

な、なんでだ!!!」


試験官を見る。


黒霧が晴れた先、試験管に指差された先。

エルディアは地面に突っ伏して気を失っていた。


ぴくりとも動かない。


「…………」


──自爆してんじゃん!!!

この子、盛大に自爆してんじゃん!!!!





とはいえ、

とはいえだ。


ルミナスは小さく笑う。


「ふ。」


マントを翻す。


「これが魔術学校か。

思っていたより面白くなりそうだ。」



彼は笑った。

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