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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
地区予選

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56話 打ち合わせ3

確かに定義が崩壊していた。


黒霊暴食狼ドレッドウルフ・ノワール


それは、深層領域アビス・ストラタにのみ生息するとされる、魔物の中でも“分類不能”に近い存在。


深層の魔物は、通常の魔物とは発生原理が異なる。

地上の生物が魔力や環境適応によって変質したものではなく、「濃度の高すぎる魔力そのものが、形を持ってしまった結果」ともいわれる。


そしてそれを使役するエルディア自身は、誰にも怖がられていない。

だが考えてみればその通りだ。


エルディアは首をかしげていた。


「私。

ポチより強いですよ?

だって。

普通にテイムしましたし。

普通にアッシーにしてるし。」


教室が静まり返る。


誰も言葉を返せない。

黒霊暴食狼ドレッドウルフ・ノワールを従える。

その時点で、それを否定できる者はいない。


エルディアは続ける。


「皆さんは。

その私を、不適格だとおっしゃってる。」


沈黙。


「つまり。

黒霊暴食狼を従える程度では、代表としては不足。

そういう評価ということでしょ?」


顧問も、ミレイユの姉も答えられない。


エルディアの言葉に、誰も反論できない。

リシェルは拳を握る。


「私は……。」


唇を噛む。


「私は……。」


目に涙が浮かぶ。


「そんなつもりで言ったんじゃ……。」


ぽろっ。


涙がこぼれた。


「え。」


エルディアが固まる。


「泣いた。」


「泣いたな。」


「泣いたぞ。」


教室中がざわつく。

ミレイユの姉は涙を拭いながら叫ぶ。


「だってぇぇぇ!!

この人正論しか返ってこないんですものぉぉ!!

議論にならないじゃないですかぁ!!

うわあああん!!!!」


エルディアは困惑する。


エルディアは思った。

こいつ。妹と同じだ……。 


──豆腐メンタルだ!!


『ラグナエルロード姉妹、メンタルが弱い。』

──有名な話だった。




「じゃあ先輩が泣いちゃって戦線離脱したところで、話を本題に戻しましょうかー。

先輩大丈夫ですかね?」


一同は思った


((((戻すな!!!))))


「私が選抜メンバーに相応しいか、相応しくないかですよね。」


それに対する返答は、学年ランキング3位ディオン・グランベル。


「なあ一年。

そもそもお前、

誰の許可を得て話をしてるんだ?

お前は一年のEクラスのビリだよな?つまり450位だ。」


「え?

先生が最後に何かありますかって言ったから、先生の許可ですけど。

誰が相応しいか、相応しくないか決めるのに、ランキングは意味ないですよね。

というかこの場で決めていいものか。

それは選抜基準に関することだし。」


「そうじゃねえよ。

ランキングの底辺が、場を仕切るなって言ってんだ!!」


エルディアは首をかしげる。


「リシェルさんは、メンタル激弱だし、12位なのでランキングも高くないですけどレギュラー入りですよね。」


「……何?」


教室が少しざわつく。

エルディアは周囲を見渡した


「私の見立てだと。

この中で一番強いのはライゼルト先輩です。

次がミレイユのお姉さんであるリシェルさん。豆腐メンタルですけど。」


彼女も黙って聞いている。


「ランキングに準拠しているなら、なぜ私はここに呼ばれたんでしょうか。

……なんでですか?

場を仕切る仕切らないとは少し論点はズレるけど、そこはまーいーでしょ。」


誰も答えない。

先輩が静かに言った。


「だから、お前はふさわしくないって話だろうが。

戦いだけが、全国大会じゃない。

代表には協調性も必要だ。

責任感も。

判断力も。

人格も。

だからランキングは総合評価なんだ。

少なくとも、ここにいるメンバーは全国大会を目的に集まっている。」


エルディアは頷いた。

エルディアは鞄をごそごそと漁る。


「ここに、昨年までの全国大会の資料があるんですが。」


静寂。


…………。


…………。


(なぜある。)



「人格。

協調性。

責任。

全国大会の代表を決める基準として。それらは必要ない。見た感じ。」


ディオンが眉をひそめる。


「勝てば何でもいいと言うのか。

どのような手段をつかっても

さっきお前が顧問を脅したように。」


エルディアは首を横に振った。


「違う。

勝つために必要だから、人格も協調性も責任も評価する。

それなら分かるけど」


エルディアは教室を見回した。


「そして私は。

人格も。

協調性も。

責任も。」


一呼吸置いて、


「完全に、赤点の自信があります!!!!」


…………。


…………。


…………。


完全に場が固まった。

アルトは頭を抱える。


「なんで自信満々なんだよ!」


「だが事実だ!!!」


事実だ、じゃねーから。


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