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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
クラス対抗戦

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36/71

35話 決勝戦2

眩い光が戦場を覆い尽くしていた。

光属性フィールドを展開され、光属性優位となり、闇属性は弱体化する。


「……え?」


異変に最初に気付いたのは観客席だった。


光に染まったはずの戦場。

本来ならば一色に塗り潰されるはずの領域。

驚くべきことに、フィールドが光属性で染まってはない。


わずかな一部。

『彼』を中心としたわずかな一部だけ、抗っていた。


エルディアですら終わったと思ったその中で。





「デュフフ……

なるほどなるほど。

光属性フィールドでござるか。

つまり拙者に対して、"真面目に殺しに来た"ということでござるな。」



オズワルド。


エルディアは,脇で冷や汗をガチ目にかいていた。


──あ、あっぶなぁ。

マジで、マジのマジで本当に終わるとこだった……!



デュフフ



──良かったぁ

オズワルドさんが闇属性で。


もしこれが火属性だったら終わっていた。

闇属性弱体化にそれでも抗えているのは、オズワルドの元々の闇属性適性が異常だからだ。


──つまりこれは、実質ジャンケン。

グーがチョキに勝っただけ。


スケルトンの召喚数は10分の1ほどか……

──術式の9割がミレイユ・ラグナエルロードの光属性フィールドに食いつぶされたことにはなる。


つまり

『Eクラスの魔力全員分の三十人前定食』

『二十七人前を単騎でミレイユが完食』

『残り三人前をオズワルドが必死に守る』


という構図だろう。


ミレイユやばすぎる。



ランキングとかはおそらく関係ない。

極論、水属性の奴が火属性に勝っても『努力の勝利だ!』とはならない。



だが拮抗しているのは事実だ。

学年ランキング147位であるオズワルドが、学年7位のフィールドと押し合っているのは違いない。


「デュフフ……

拙者。

追い詰められると、ちょっとテンション上がるタイプなのでござる!!」


オズワルドは何かを悟ったように。、眼鏡を押し上げた。


「そして拙者、理解しましたぞ。

学年七位殿はツンデレ

フィールドで押し潰そうとしながらも、致命傷は避けているでござるな?

このオズワルドの。


つまり照れている!!

このオズワルドに!!。

デュフフ。

拙者にもついに春が来たでござるよ。」


まあ、多分違うけど、やる気になってくれてるならいいか。


拮抗してるのは純然たるオズワルドの実力……

つまり闇族の適正の高さ故……


自己評価が低すぎて自分がどれだけすごい事をしているのか全く気付いてない。



ともかくも首の皮一枚繋がった



オズワルドのスケルトン供給が途切れたら終わる。



続いて落とし穴。




Eクラスの勝ち筋は、なんとか生徒がスケルトンで編隊を組み、数の力でAクラスを物量で圧殺するしかない。

にもかかわらず、頼みの綱の落とし穴を、Aクラス全員がやすやすと身軽に回避してくる!


それには、『ある男』の指示があった


「くそ。何あのネクラ!!!

やばすぎんだけど。」


学年ランキング15位。

アシュレイン・エーテルヴァイス

《無式の魔術師》


落とし穴を巧みに探り当て、巧みに接近経路の指示を出している。

まるで盤面全体を見下ろす棋士のようだ。


カトレアが唇を噛む。


「エルディア!!

奴の探索魔術の目を乱さないと勝ち目はありませんわ!

正攻法で私達がAクラスに勝つのは至難!

何か手立ては!?」


「一応策は用意した!!

でもこの手はギャンブルだ。

あまり使いたくはなかった。

だけどAクラスは、全員が全員やばすぎる。

秒で決断した。」


ゴゴゴ


それは遠雷にも似た音。


徐々に大きくなる。



やがて



彼女達は、いや彼女だけではないだろう。

意味が分からなかった。


ゴゴゴゴゴゴゴ……

地鳴り。

大地が震える。

カトレアが青ざめる。


「え?」


何度もそれを見直す。


「ね、ねえ。

あなた正気!?!?!?」


「上流の川を決壊させた。

さあ、カトレア。

この濁流の中で勝機を掴むよ!!!」


カトレアは固まった。


「あなたの頭の中ってどうなってるんでしょーね!!!」


エルディアは満面の笑みだった。

びしっ。

親指で背後を指差す。


それは水流。


川の上流を,堰き止めておいた。


ここはちょうど小川の流域だ。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


音がさらに大きくなる。

何かが来る。

とんでもなく嫌なものが来る。


次の瞬間。


ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!!


「ぎゃあああああああ!!!!!」

「何が起きた!?!?」



濁流だった。


大量の水。

小川が。

小川じゃなくなっていた。


「ねええええ!!!!」

「なにこれえええええ!!!!」


「上流を堰き止めておいた。」


「なんで!?」


「農家だから!!」


「なんで農家が川を決壊させる知識を持ってますの!?

意味が分かりませんわ!!!!」


「いや、農業って水との戦いだから!!

水害は古代から存在する。

それは自然との戦いでもある!!」



濁流が戦場を容赦なく飲み込む。


スケルトンが流れる。

Aクラスが流れる。

Eクラスも流れる。

全員流れる。


「味方ああああ!!!!

どれだけ派手にやったんですの!?

ここも。そろそろまずい!!」


「災害とは、あらゆるものに対して平等な概念だよ!!

私は平等主義なんだ!!

さらに上流に設置した第二堰も解放する!」


「第二!?

さらにここから第二!?!?」


「土砂ごと流してやる!」


「なんで!?!?

なんで発想が破壊者なの!?

あなた農家ですよね!?!?

環境への被害を思い出した方がいいと思います!!!!」


ドオオオオオオオン!!


遠くでまた何か崩れた。



「さあ、水遊びの時間だよ!!!

《農家による水とのブルー・ハーヴェストれ》!

ここから勝機を掴む!!」


「あなた!!!!

2度と農家を名乗らないでください!!」








アシュレインが水面を滑るように着地する。

魔術による身体強化。

濁流の中にありながら、一切バランスを崩していない。


「……なるほど。

この濁流。流れてくる土砂……

確かに索敵は難しくなった。」


静かな声。

濡れた銀髪をかき上げる。


「さらに、ここまでが貴様の計算か。

さすがにこれは予想は出来なかった。」


アシュレイン

学年ランキング15位。

着地した先で、彼は『彼女』と対峙していた。


「まあ、運が半分かな。

付き合ってもらうよ。

Aクラスくん。

ぼやぼやしてると、他のAクラスが集まってくるからね。」


相対するはエルディア。

学年ランキング121位。


彼女のダークワンドが鳴いた。


ぼえー。






泥臭く。

不格好に。

それでも最後まで食らいつく。


まずは学年ランキング15位。

アシュレインをここで落とす!!!

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