表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
クラス対抗戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/70

33話 最終競技2回戦

あまりの惨状に静かになってしまった闘技場の中で鳴り響いていた悲鳴も、やがて遠ざかっていく。

土埃にまみれたDクラスの生徒たちは、悔しさと困惑を滲ませながら戦場を後にした。


敗者はいつだって多くを語らない。

その背中が物語るものこそが、戦いの結果なのだから。


エルディアは彼らを見送ったあと、すぐに視線を外した。

同情もなければ、嘲笑もない。


「尊い犠牲だったね。」


アスは、速攻でツッコミを入れた。


「いや、エルディアが完全に加害者……

なぜ他人事ぶる……

普通に謝ってきなよ……

泣いてたよ?D クラスの人たち。

……もう遅いかもだけど。」


「そんな無駄な時間はない。

なぜなら、あいつらは才能がある側だ。

次がある。

私らみたいな欠陥品に次はない。」


「……」


「落ちこぼれが結果が出ないのは、努力が足りないからだ。

だからどうすれば勝てるのか考えただけ。

どうすれば置いていかれないかなって。」


「エルディア……

あなた……」


「結論。

数で殴ればいい。」


「台無しだから!!!!!」


「だから謝らない。

たった一度の勝利に浸っている余裕など、この戦場には存在しないのだから!!」


「いや、人として!!!」




最終競技競技:《大結界クラス対抗戦》2回戦。

勝ち抜きトーナメント。


魔術会の未来を担う若き魔術師達。

その頂点を決める戦いも、2回戦となり佳境に近づきつつあった。


Eクラス対Bクラス。


E対D

C対B

その勝者同士が相対し、シード枠であるAクラスへの挑戦権を争う。



重く、荘厳な音色が戦場に響き渡った。


会場の空気にざわめきが混じる、異様な空気の中鐘が鳴り、二回戦開始。



競技はすでに開始しているが、Bクラスは迂闊には攻め込めない。

Eクラスが設置した落とし穴があるかもしれないのだ。


いくら学年上位の優等生集団と言っても、そこに囚われれば一気に勝敗が決まりかねないため、

開始突撃は悪手。


ひとまずの猶予は、Eクラスに味方した。


「これが同期魔術を使用した≪屍操術ネクロマンス≫……?」

「なんで数、めちゃくちゃだ!!」


屍操術ネクロマンス≫が完遂され、戦場に死が溢れた。



その死の中央、闇の玉座の位置に、彼女はいた。

エルディアは杖を掲げていた。

ぼえー


よく響く声で彼女は言った。


「彼らは死者ではない。

人類の夢だ。

なぜなら労働基準法の適用外だからである!!!


謎の宣言と共に、1000体のスケルトンはカタカタ言って、陣形を組み始める。


アンデッド達は、エルディアに完全に制御されていた。



──さすがエルディアどのでござるな。


神懸かり的な闇属性適正を持つオズワルドだが、

彼の役割は召喚までだった。


その後の術式演算と、1000体のスケルトン同時制御は、エルディア。


エルディアは、そもそも頭のおかしい量の刻印魔術を使いこなす。


対抗戦において彼女の役割はあまりに多い。

Eクラス全体の魔力を、同期によって魔力プール化。

そしてアンデッド術式制御。


だが、多くの悲しみを乗り越えた彼女にとって、この程度の魔術制御は、些事のようなものだった。


それは精霊に逃げられる度に、腹いせに魔術を鍛えに鍛えまくった副産物でもあった。


なぜならまじで精霊はエルディアから逃げた。

とにかく精霊は逃げまくった。


そして悲しき努力の末路は、比類なき土木業者の化け物を作り上げていた。



「オズワルド!

制御に余裕がある!!

どんどんやっちゃって!!

あんたらも気張りなさい!!

ミノタウロス肉食べたいでしょ!?」


「うおおお!!」

「ミノタウロスの肉追加ぁ!!」

「やってやるぜええ!!」


見よ!!

これがEクラス!

これがミノタウロス肉に脳を焼かれた者どもの輝きよ!!


「かたじけないでごさるエルディアどの!!!

それにみんなも!!

拙者も気張らねばなりませぬな!!

──『《屍兵招来サモン・スケルトン》!!」


さらに1000体のスケルトンが、フィールドに出現した。


エルディアは強く頷く。


エルディアは確信に至りつつあった。


「──素晴らしい。

見よ。

これが私の理想社会!!

死んでも働ける世界だ!!!


《生死超越す、無限仕事社会《アンリミテッド・インフィニティ・ブラックワーク》》。」


その真髄は、残業代もなく働き続けるブラックワーキングにある。





さらに大盛りで追加注文されたアンデッドに、

Bクラスは一杯一杯となる。


「くそっ……なんという術式構築速度!!」

「詠唱が追いつかない……!」


Bクラスは、完全に防戦に回っていた。



骨の軍勢は、崩れる気配がない。

倒しても倒しても、魔力の供給が途切れない限り、戦場から“数”が消えないからだ。


倒しても甦る。




だが別働隊であるBクラスの何人かが、アンデッドの支配領域外で魔術構築を始めていた。


Bクラスも、何も手をこまねいて見ていたわけではない。

アンデッド召喚の要であるオズワルドを潰すために策をろうしていた。


「押し潰す!

この底辺のEクラスどもが!!」


詠唱が重なり、術式が構築されていく。



エルディアが小さく言う。


「アス。

出番よ。」


「エルディア……なんだか、この会場の空気の中で、魔術使いたくないなーって……

すごく、すごく悪役っていうか……

私達。

誰かのせいで。」


「わがまま言わない。

負けちゃうでしょ。

とっとと迎撃する!」


「もうっ!!

あなたって、元々そんな性格じゃないよね!?

いつからそんな勝てばいいになっちゃったの!?」


「穴掘りは、わりと初期から好きだったよ!

よくアルト落としてたし。」


「……」

そ、そーすか。



風の精霊魔術は、精霊を通して行われる自然への上位干渉権限。

そしてそこから放たれる上位魔術体系こそ真骨頂。


つまり、自然界に溢れる魔力そのもので、フィールドを塗り替える規模の魔術が扱える。


「シルフ。おいで。

派手にやっちゃおう。

お披露目だよ。

『吹き荒れろ』。」


──さすがだ。


羨ましそうにエルディアはアスを見る。

彼女の魔力ランキングは、そもそも学年で屈指。

魔術不全でEクラスにいるにすぎない。


そして吹き荒れる風が生じて、Bクラスの魔術をかき消した。


「この魔力!!

下がれ!!

なんとか遮蔽物のあるところまで!!」


そして──


彼らの進む先の地盤が崩壊した。


そう。落とし穴であった。



会場中が思った。


いー加減にしろよお前ら!!!!!




やがて。


「──見ぃつけた。」


悪魔の瞳がとらえた。


一画でBクラスのリーダーがバランスを崩し、膝をついた。


手には、光を帯びた小さな結晶。

それが──結界コア。

すなわち、それの破壊こそが大結界クラス対抗戦の勝利条件。


すかさず悪魔の契約が履行される。


「っ……くそが……」


視界は白骨で埋まり、足場は崩れ、風に翻弄され、魔術の構築すらままならない。


『イビルゲート』


「ウンディーネ。穿ちなさい。」


その声は小さい。


確実にカトレアの水魔術が、エルディアのイビルゲートを通して混戦の中で戦場の中心を切り取っていた。


すなわち、Bクラスのリーダーの持つ結界コアが砕かれていた。





「リーダー反応、消失!!」

「結界維持、不能!!」


そして、戦場が静まる。


「勝者──Eクラス!!」



戦闘ログ。


《Eクラス vs Bクラス》

結果:Eクラス勝利

所要時間:8分42秒



ダーティーな戦術があったとはいえ、これはもはやまぐれではない。

恐るべき戦術構築能力であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ