31話 最終競技
クラス対抗戦の集大成。
最終競技《大結界クラス対抗トーナメント》
──試合開始。
誰もEクラスを信用していなかった
「Eクラス静かじゃね?」
「確かに。」
「何かやってるな。」
──あいつら、絶対やってる
Eクラス、オズワルドを中心に、まだ魔術学校に入りたてとは思えない、高度すぎる術式が展開し、観客席から小さなどよめきが起こる
「おお……すげぇ……」
「これが学年1位か……」
「かなり本気だな。」
一瞬だけ観客は感心した。
「「「「で?」」」」
──エルディアは、杖を掲げる。
最新式浮遊型魔術杖『《フロート・デバイス》』。
補助術式である《魔力位相同期網》によってクラス全員魔力を同期。
その魔力を用いてオズワルドが≪屍操術≫を発動。
──対するDクラス。
三角錐の突撃陣形。
先鋒、中衛、後衛の三層による教本通りの美しい構成。
ネクロマンスが展開される前に蹂躙する算段。
──予想通りと、Dクラスのリーダーである彼は眼鏡を光らせた。
「……なあ。」
「なんだ。」
「Eクラス相手に正解って存在するか?」
「死んだな」
「まだ何も起きてないぞ?」
実況が叫ぶ。
「Dクラス!!
一気に距離を詰める!!」
「──そろそろかな。
下調べが甘かったね。
埋設深度。平均1,8メートル。
では、工事完了の確認を行います。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
エルディアの声に反応するように大地が揺れた。
先頭を走っていたDクラス前衛の足元の地面そのものが崩落し、消える。
続く護衛隊も。
そして後衛隊も。
「なーーー!!!!」
大地が消えた!!!!
実況席が絶叫した。
「Dクラスが消えた!!!!消えました!?
罠です!!30人全員が落ちるような、巨大な落とし穴が広がってます!!」
「「「「あー。」」」」
もはや誰も驚かない。
安心すらしていた。
エルディアは穴に消えたⅮクラスたちを見ながら、満足そうに頷いていた。
──かかった。
「ふふ。
綺麗にハマってくれたねえ。Dクラス諸君。
一切地形確認もせず、こうして突撃してくるからそうなるんだよ。」
「なぜ地面が陥没を……こんな広範囲に……
まさか……
まさか、おまえ!?!?」
天地がひっくり返ったような衝撃。
穴の中で混乱するDクラスを見下ろすように、穴の縁にエルディアがいた。
「落とし穴。
第5種目みてなかったの?
《竜・撃退戦》。
アンデッド対策はしてたみたいだったけど、そちらへの対策は甘かったみたいね。
私の手の平の上で踊った気分はどうかな。」
「ば、馬鹿な……」
「なぜ竜はカモにできて、人間はカモにできないと考えるのかしら。
自分達は、決して罠には落ちない。
そう考える事こそ、人類の傲慢の最たるものなのではないかしら。」
──大結界戦『勝利条件』。
各クラスには一つだけ《結界核石》が与えられそしてこれを保持する生徒を《キーマン》と呼ぶ。
敵キーマンの撃破、
あるいは結界核石の破壊。
そのどちらかを達成した時点で勝利となる。
三十対三十。
長い歴史の中で幾度も形を変えながらも、その本質だけは変わらなかった。
いつの時代も、戦場で求められるものは同じだからだ。
守るべきものを守り、
奪うべきものを奪う。
――すなわち『王を落とすこと』。
物理的に。




