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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
クラス対抗戦

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28話 第5種目 竜・撃退戦《ドラグ・レイド》

Eクラス順位、推移。



第1種目 五芒星探索戦

Eクラス1位。


第2種目 魔導障害物競争

Eクラス2位へ。


第3種目 魔導玉運び

Eクラス3位へ


第4種目 魔導玉入れ。

Eクラス4位へ。


個人競技へ移った途端、Eクラスはまるで勝てない。

ほぼ全敗。


例年通りの光景に、どこか周りも安心し始めていた。


「Eクラス失速ー!!

やはり基礎スペック差かぁ!?」


実況席が熱を帯びる。


教師もうなずいた。。

よし。例年通りEクラスは、普通だな。


全ての人間が思っていた。


無茶な奇跡など続かない。

次の第5種目で最下位に転がり落ちるだろう。


「……まあ、そうなるな」

「団体戦は誤魔化せても、地力は隠せん」




──そして。

昼休憩。


Eクラスの作戦会議。

順位表が空中にわかりやすく投影されている。


■総合順位

1位:Aクラス

2位:Bクラス

3位:Cクラス

4位:──Eクラス

5位:Dクラス


Eクラスを勝利へと導く作戦を、彼らは確認していた。


順位としては、勝利を狙える位置に陣取りつつ、例年通りのEクラス転落の流れに則った、全然目立たない唯一無二ともいえる最適化されたポジション。


──それすなわち、『個人競技は頑張らない』。


アスは言った。


「最低だよね。この作戦会議」


「省エネ大事でしょ。

みんな集まって。

午後の作戦を説明する。

ゼェ……ゼェ……」


「ねえ、エルディア。あなたへとへとじゃない。

休んだ方がいいよ。

そもそも一人で何時間も1000体のスケルトンを遠隔操作で土木工事をするとか、意味わかんないから。」


「時間がなかったんだよ。

みんなを働かせるわけにもいかないし。

とにかく今は説明する。

落とし穴の場所がたくさんあるのよ。」


領域内への土木工事が終わり、合流したエルディアは言った。


午後の競技は残り二つ。

魔導綱引きと、大結界対抗戦。


「この×マークがまさか……」


「そ、落とし穴などの仕掛け。

できるだけ頭に入れておいて。

私らがかかったら、目も当てられないから。


地盤崩落地点。

偽装通路

誘導罠

崩れる足場

──etc」


「多いでござる」

「多いですわね」

「多いね」


地図はもはや危険地帯一覧だった。


──もちろん仕掛けをしているのは、学園側にはバレてる

場合によっては他のクラスにもバレているだろう。


だけど、そもそも競技中に、使い魔を五芒星フィールドに侵入させていいのは、その地形があまりに広すぎるから。

事前に予習しとけという意味もある。


通常なら精々数匹の使い魔を飛ばして地形を確認する程度。

せいぜい近道や有利な地形を探すくらいだ。

学園側もそれを想定していた。


──このルールの盲点は、私みたいないやがらせに特化した魔術師の存在を想定していなかった事。


「普通は、競技フィールド見たら攻略すると思うんだよ。

私はそこを全力で整備した。有利になるように。

手段は選ばない。」


Eクラスは思ったという。


おまえ、最低だよ




その時アナウンスが流れた。

『選手の皆様へお知らせします。

第5種目の内容を変更します。

変更後競技は《竜・撃退戦ドラグ・レイド》。』


──早速対策されたようだ。


仕掛けを食い潰す、あまりにも効果的な一手。

エルディアは舌打ちする。




突然の第5種目競技変更に、会場も俄かにさわがしかった 


竜戦とは、学園最高難度競技。


教師席でも、わずかな動揺が走る。

本来は上級学年、あるいは選抜戦で使用されることすらある危険競技。

それが、クラス対抗戦に投入された。


過去のデータは残酷だった。

Eクラスにおける取得平均ポイント13.3点。

そして撃退成功率10%以下。


事実上の処刑台。


観客席も、どこか納得した空気になる。


「まあ、ここで落ちるよな」

「流石に竜は無理だろ」

「むしろ今までがおかしかった」


ここでEクラスに止めをさす。





Eクラスの面々は広大なオープンフィールドへ移送されていた。


荒野。

崩れた遺跡。

遠方に見える黒い山脈。



「エルディアの作戦。いきなり瓦解したね。」


「くそ運営め……

私の事好きすぎでしょ……

まあ、問題ないから。」


──いや問題しかなくない?

これは無理じゃないかな?



「きたぞ。竜だ。」


誰かの声で、全員が空を見上げた。

逃げ場のない青空に、巨大な転移陣が開いていく。


空間が裂けるような音とともに、巨大な影が“落ちてくる”。




竜は地竜。

四肢は異様に太く、岩盤を掴むための鉤爪


崖の上に現れた巨体。


普通の生物なら迂回する高さ。

問題ない高さだからか、その竜が崖からとびおりる。


竜は、その高さを“ただの段差”として判断したのだろう。


そして



地竜は着地した瞬間、着地した足元の地盤が崩壊し、落石と土砂に埋まりながら落とし穴へと消えていった。



静寂。


観客席。


教師席。


実況席。


全員が止まっていた。




エルディアは笑い、悪い顔のまま、彼女は言った。


「言ったでしょ。問題ないって。

私の土木の技術と仕事量を舐めすぎよ。


人だろうが、竜だろうが、同じなのよ。

こちとら、村のインフラを1人で整備してたのよ!?

たかが、30人規模の落とし穴に、竜が間違えて落ちる事も想定するなんて当たり前だから!!

山暮らしをなめんな!!


さあ。みんな!!

タコ殴りの時間よ!!!」



え。

山ではそれが当たり前なの?


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