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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
クラス対抗戦

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27/73

26話 Eクラスの躍進 理由 

まだ、やんの?

もう良くない?

早く競技しーよ。


エルディアとして、どっちでも良かった。


継続なら準備していたものを出すだけ。

中止ならEクラスが優勝になるだけだ。


そして優勝なら、学年ランキングに影響があり、晴れて夢の学食割引タイムである。


──どんな手を使ってでも、絶対優勝しちゃる!!

立ちはだかるなら、全員蹴散らすかんな。

わたしゃ。



──焼きたてパン半額。

──日替わり定食無料券。

──高級プリン。

──追加デザート……etc



中央大闘技場 《オーバー・クレイドル》。


数千人規模の観客席。

貴族。

教師。

上級生。

各クラス代表。

実況席。


その全てが、一人の少女を映している。



「みなさん物好きですよねー。

さっさと競技に入りたいんですけど、まーいいですよ。じっくり話し合いましょーか。

わたしとしても、このまま対抗戦が中止されるのは本意ではありません。

だって中止だと、次の競技で用意してた嫌がらせ全部無駄になるじゃないですか。」


初手にして全部終わった。


「それは言うなァ!!!」

「せめて隠せ隠せ隠せ!!!」

「なんで毎回本音を最悪のタイミングで出すんだお前は!!!」」



上段席の誰かが声をあげた。


「おまえ、どれだけ学園秩序を乱せば気が済むんだ!?」


エルディアは露骨に困った顔をした。


「えぇー……

いや別に乱してないし……

ルールブック見てよ。もう……」


エルディアは発言を気にしていないので、何故か不思議と会話は成立していた。

吹けば飛ぶような、そんな儚い停滞ではあろうが。


「さしあたっては、みなさんが納得できていないのは。Eクラスが競技で何を行ったかですよね。

そもそも時間がたったので、みなさん薄々気づいてるんじゃないですか?

めんどくさいんで敬語はやめるけど……」


エルディアは勝手に頷く。


「問題はないでいーね。

クレームは学校まで。

そもそも、礼儀のなってない平民をここに上げたのは私じゃないし。

学校だし。」


微妙に強かだった。


「知っての通り、Eクラスは到達点数は取れなかった。

その代わりに、探索ポイント、戦闘評価、情報発見……全部取った。それだけの話なんだけど」


エルディアは、担任の先生を見る

──言え。

──絶対に説明しろ


すごい圧だ。


「いや、でもやっぱ皆さん興味ないみたいなんで、ここでやめても……」


ずごごごごご……

教師の圧が増した。


「わ、わかったって。

いえばいいんだよね!!

もう!!

先生そんな怖い顔しないでよ!

なんなの!?

つまり到達ポイント以外を全部取るやり方ね!!

攻略法ネタバレして楽しいのかな……

まー説明するけど。」


咳払い一つ。

エルディアは、少しだけ間を置いた。

否定するでもなく、誇張するでもなく。

ただ事実として整理するように言う。


「普通にやると、時間が足りない。

だから普通じゃない方法を使った。



『ネクロマンスで探索人数を1000人ほど増やしたのよ』。」



場の空気が止まった。






本当に止まった。


ざわめきも、怒りも、疑問も、一拍遅れて消える。


「……は?」


最初に漏れた声は、それだけだった。


「待て」

「今、なんて言った?」

「1000人……増やした?」


誰かが笑おうとして、笑えない。


エルディアの説明が続くほど、場の沈黙は“理解”ではなく“停止”に近づいていく。


「≪屍操術ネクロマンス≫。

つまりアンデッド召喚。

闇属性の持つ基本技術にして奥義。

さすがに死体を扱うのはやばいから、あくまでも『アンデッドモンスターを使い魔として召喚した』けど。」


一人の魔術師が立ち上がる。


「そんなもの、仮に可能だとして!

維持魔力だけで破綻する!!!」


「普通はね。

ただ召喚自体のコストは軽い。

ファイアアロー3発程の魔力で、スケルトン一体。

つまり1人30体計算で召喚できる。

数だけ増やしても、探索効率も戦闘評価も破綻する。

そもそも統率できない。」


その言葉に、反射的に身構える。

恐怖を覚えるが、決して目を逸らさない何か始まっている。

説明される内容が“納得のため”ではないと、もう全員が薄々理解している。


エルディアはそれを出した。


「……ッ!」

「まさか……!」


その瞬間、Aクラス席の空気が変わった。


上位生徒達が立ち上がる。

貴族席ですら、どよめきが走る。



エルディアは、まるで安物の文房具でも扱うみたいに『それ』を軽く振っていた。


最新式浮遊型魔術杖。

《フロート・デバイス》。



“人数不足”を、術式で踏み潰した。

結果として、探索効率は約30倍。

つまり人数によるゴリ押し。

作戦もクソもない単なるパワープレイ。


そして補助術式で《魔力位相同期網マギア・フェイズ・ネットワーク》。


それが、Eクラストップの正体。


その説明は、あまりに美しく理屈として成立していた。

だからこそ聞かねばならない。


「待て……それは……ルール違反では……」

「……ルールブックは見ただろ……“召喚行為”は禁止されていない」

「……だけどそれ、ありなのか?」


エルディアはもうわかりましたね。みたいな顔をしていた。


「競技設計でしょ。

どちらかを取ればどちらかは取れない。

トレードオフの関係。

私らEクラスからしてみれば、最速でクリアできる他のクラスの方がよっぽどずるい。

だってどんなに逆立ちしたって、私たちにはできないんだから。


だから最初から言ってるよね?

ルールには則ってるって、攻略法をネタバレして楽しい?

興醒めでしょ。」


その一言で、場の空気は一段階“冷える”。

ズルいがバグではない。

“許可された構造の最大利用”。


そしてその瞬間、誰もがようやく理解する。

このEクラスは、速さで勝ったのではない。


力で押したのでもない。


『ルール設計そのものと真剣に向き合い、死に物狂いで真剣に準備してきたのだ』




誰も笑えなくなる。


Aクラスの最速突破は、確かに“正しい”。


だが同時に、Eクラスにとって最も美味しい状態を作っていたということだ。


それだけの話だったのだ。




エルディアは聖女の笑みを浮かべて、悪魔の誘惑を始めた。


「でもやっぱりこの結果に納得できないなら、別に今からでも大会を中止しても……

だってそうすれば優勝確定──」


「説明は終了しますわ!!」


カトレアによって、エルディアは強制的に回収された。







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