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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
クラス対抗戦

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24/73

23話 クラス対抗戦開始

──魔術名門校 《アーカム魔術学院》。

中央大闘技場 《オーバー・クレイドル》。


空は晴れている


頭上には巨大な魔法陣がゆっくり回転していた。


金。

白銀。

蒼光。


幾何学模様が空を滑るたび、光の粒子が花びらのように舞い落ち、観客席から歓声があがった。


天候制御。

結界維持。

観客席への温度調整。

中継用記録魔術。

安全術式。

実況補助。


数百に及ぶ並列演算によって成立する、国家級儀式魔術。


まだ幼い頃、都市が祭りの度に遠く、村から見える空に描かれた魔法陣。

昔はただ「綺麗」としか思えなかったが、今はもう、その演算量に検討がつく。


エルディアはそれを見上げる。


──胸にある、学食割引への熱。

そのためなら、どんな事でも……


──悪魔にでも魂を売り渡してやる……!!


「……きれいだね、エルディア。

花火みたい。吸い込まれそう。


隣でアスが、ぼそっと言う。


「私の顔になんかついてる?

エルディアは、なんでそんなに私の顔を見て唖然としてるの!?」


「全く。これだから育ちの良い貴族様は……」


「ねえ!?なんでバカにされてるのかな!?」




爆発音のようなファンファーレが鳴った。

ドォォォン!!


空中に文字が浮かんでいた。


《第九十二回・魔術学園クラス対抗戦 開幕》


観客席は、すでに満員だった。

貴族、魔術協会、商会関係者、そして暇を持て余した上級生たち。


「今年のAクラスは歴代最強らしいぞ」

「ねぇ、見て。Eクラス……」

「いた……“欠陥姫”。魔力不全のくせに、まだ退学してなかったの?」


その下で、魔術学校の各クラスが整列していた。


最初から勝者の顔をしている者達

緊張と計算。あるいは諦めと現実主義。

そしてある者達は


「……帰りたいでござる……」

「でも単位がなー……」

「いや、ここまで来たら逆に楽しもうぜ!」


地獄のポジティブさを隠そうともしない者達。


鐘が鳴る。


カン……カン……カン……


静寂。


そして、司会魔術が響く。

学園長の声が落ちてくる。


「諸君。今年も楽しんでくれたまえ。

死なない程度には、自由にやってよい。

これより──第九十二回、魔術学園クラス対抗戦 を開始する!!」



そして──開幕のゴングが、鳴った。




第一種目。

──《五芒領域・探索戦ペンタ・エクスプロア


正五角形に展開されたフィールドは「未開拓の疑似オープンワールド」として生成され、五角形の中心地点コア・ポイントへ到達することが目標となる。


五角形の各頂点に、A〜Eクラスがそれぞれ配置される。

そこから中央闘技場を目指す。



評価は複合スコア


・到達順位(最重要)

・探索ポイント(隠しエリア・遺跡・魔力反応)

・戦闘評価(魔獣討伐・対人戦)

・情報発見(ギミック解明・ルート開拓)



フィールド構造。

──五角形の各辺はそれぞれ性質が違う。


高難度戦闘エリア(魔獣密度高)

迷宮型探索(視界干渉・分岐多数)

資源地帯(バフ・回復ポイント多)

罠エリア(機動力重視)

不確定領域(毎回地形変化)


つまり中央に近づくほど、混戦していく。




その瞬間に空間がひび割れ、生徒達の前に結界フィールドへの転移陣が展開された。


その先に広がる森、湖、遺跡、塔、砂漠──

あり得ない組み合わせの地形が一つの大地に共存する、競技の為に設定された戦場オープンフィールドエリア




──第一競技は《五芒領域・探索戦ペンタ・エクスプロア


これは集団競技。


以下個人競技が続き、やがてクラス別対抗戦は、最終競技である《大結界クラス対抗戦》に続いていく。





Aクラス。

学園ランキング3位。


アルト・ウィンドリィ。


競技開始と同時に、彼の声は戦場へ溶けるように広がった。

まるでの風のように。


「さて、まずは拠点の確保からだ。

予定通りクラス30人を、情報収集班・防衛班・探索班に分割しようか。

全員迅速に配置につこう。」



アシュレイン・エーテルヴァイス

学年ランキング15位。


《無式の魔術師》

と呼ばれる彼の索敵。



オルディウス・ヴァン=ヘキサグラード

学年ランキング10位。


《黄昏の城塞術師》

Aクラスにおける、比類なき構築速度を持つ防衛担当


そして作戦を立案、行動を開始する。

この間3分。




──引き続き、五角形領域のAルート

Aクラス面々。


乾いた大地を、まるで一本の槍のように砂塵を裂きながら、Aクラスが進んでいた。


「次、ガーディアン三体出現!」

「予定通りだ。左右から挟め!」


指示は的確で、無駄がない。

前衛が叫んだ。


「コアポイント、視認!」


あまりに速い。





Aクラスがオープンフィールドエリアをクリア。

闘技場内コアポイントへと到達し「ゴール」する


最短ルート

最適解

被害最小

指揮も完璧


いわゆる“理想的クリア”。

最適解を連打し続けた、模範解答そのもの。



その後、空気が弾けるように動く。


「早い!!」

「あまりに早い!!」


誰かの声が、興奮と驚愕で裏返った。


「ガーディアンも全て撃破!」

「これは歴代でも相当優秀だぞ!!!」


記録係の魔導端末が赤く点滅する。


──間違いなく過去最高ペース。

──歴代スコアを大幅に更新。


Aクラスの誰もが、確信していた。


(勝った)


観客の一人が立ち上がり、拍手。


それが連鎖し、大結界闘技場そのものが揺れるほどの歓声へ変わっていく。


「うおおおおおおお!!!」

「Aクラス!!!」

「なんだ今の連携!!」

「化け物かよ!!」


歓声。

拍手。

熱狂。


Aクラスの面々は、ようやく小さく笑った。


Aクラス:最高評価クリア






のちに彼らは語る。

それは、足元が崩れ落ちるような、そんな感覚だったという。


それまで続いていた栄光への梯子が外されたような。





彼らはそれを見上げ、空気が凍っていた。



「……トップ、Eクラス?」



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