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頭がおかしくてお金が欲しいイカれた精霊魔術師エルディア  作者: 無印のカレー
魔術学校学生

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23/74

22話 レベル上げ

火精霊なら火山。

水精霊なら深湖。

風精霊なら高空。

精霊は存在に適した環境で強くなる。


また、もう一つの精霊の存在強度をあげるメジャーな方法は、契約者が魔力を与えること


人々が祈るほど存在が安定するなんていう説もある。


精霊は、そもそも曖昧な存在だ。


世界を維持しているとされ、善悪や人間倫理では測れない。

未完成の神と呼ぶ地方ある。


ならエルディアにとって、精霊とは?


すなわち


『労働力』。





ずる……ずるずる……。


大量の鉱石が、影の中へ沈んでいく。


シェイドは泣きながら労働していた。

「ぴ……」


シェイドが泣く。

少なくとも、カトレアからは泣いているように見えた。


「あなた、精霊をもっと大事にしたほうが。」


「契約範囲内。ローテーションしてるし。

やれやれカトレア。あなた貴族でしょ。

全く、人の上に立つ貴族が何を言ってのさ。」


カトレアは思った。


──怖。




よってその目標はタスク的というかノルマ的になる。


──影移動。

接続距離:30m

積載量:5kg

連続稼働:20回


的な感じだ。


──影縫い固定。


──夜間警備。


──影の異空間を利用した採掘補助。


『ぷるる。』


「あとはそうだなー超広域索敵5㎞。並列思考32。大量の触手20本を同時運用する訓練。──etc」


ぴた。


シェイドが止まった。


「……嫌?」


『ぷるるるるるるる!!!!!!』


そして彼は逃げた。




「カトレア!!!!

シェイドが逃げた!!!」


カトレアは遠い目をした。


いや、そりゃ逃げるだろ。

お前何言ってんだ。





『ろうどうは』

『いや』


地下深度第三層。

薄暗い坑道のようなダンジョン。


魔導ランプの明かりが、岩肌を鈍く照らしている。

その一画の壁の隅に彼はいた。


ぷるぷるぷるぷる。


シェイドは震えていた。

エルディアは優しくしゃがみこんだ。


「大丈夫だよシェイド。」

ぴ……


「最初はみんな嫌がる。」

ぴ?


「でも労働は人を成長させるから。」

ぶるるるるるるる!!!!!!


シェイドは全力で拒否した。

影が床に張り付き、絶対に動かない意思表示をしている。


「なんで?」

「ぴぃぃぃぃ!!!!」


「いや、でも研修は必要でしょ。」

「ぴ!!!!!!」


「そうよね。でもシェイド。安心して。

私もひどかったなって。

今回は先輩同行だから。」


エルディアが指を鳴らす。


──ドン。


巨大な影が着地した。


漆黒の毛並み。

山ほどある牙。


黒霊暴食狼ドレッドウルフ・ノワールポチ。


バウバウ『お、久しぶりだなチビ。』

ぷる……。『先輩。久しぶりです。』

バウバウ『しゃーねぇなぁ。新人研修ってやつか。ま、オレに任せとけ。』


シェイドは少しだけ尊敬の眼差しを向けた。

ポチは満足げに鼻を鳴らす。


バウバウ『へっ。ま、オレも最初はマスターにビビってたからな。今じゃ深層じゃ顔パスよ。

社会ってのを教えてやるよ。オレの影の中なら安全だ。乗れ。』


ドォン!!


そしてポチはダンジョン深層へときえた。


脇で見ていたカトレアは思っていた。


なにこれ。




──そして数日後。


深層ダンジョン。

そこでは異変が起きていた。


「おい……まただ……」

「深層の魔物が消えてる……」

「しかも素材だけ綺麗に回収されてるぞ……?」


巨大な狼の足跡に冒険者たちが青ざめる。

倒された魔物が、ありえないほど効率よく解体されていた。


「なんだこの処理速度……」

「熟練解体師でもびっくりの切り口だ……」

「しかも採掘跡まであるぞ!?」


そして誰かが見つけた。

壁に残された文字。


『ろうどう』


沈黙。


冒険者の一人が震える声で言った。


「……深層に、“働く魔狼”がいる。」


そして翌週。

正式に討伐依頼が貼り出された。


《深層の狼》

危険度:特級






やがて。


クラス対抗戦が始まる。




 

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