1話
Q,回帰したら何をしたいですか?
A,うーん…やりたいことは沢山あるんですけど、取り敢えず汚名返上と家門の立て直しですかね〜。未来で起きることを知ってる分、こっちにはアドがあるじゃないですか?それを生かしたいですね。
Q,では、回帰するなら何歳まで戻りたいですか?
A,そうですね…やっぱり十歳辺りかな?あの頃の失態を次はしないと思います!それで次こそは神童とか言われてみたいですね!
Q,回帰するタイミングも、戻る歳も選べない回帰とか、どうですか?
A,え?それはどういう……
Q,例えば、他人の回帰に巻き込まれてみるとか!ワクワクしませんか?
A,いや、だからどういうことですか!?
Q,これでインタビューは終わりです!回帰をお楽しみください!^^b
A,え、終わり!?いや、ちょっ!
「ちょっと待って!!!!」
ガバリと体を起こして目に入ってきたのは、見慣れた部屋。
高等学園の寮部屋だった。
そして悟った。あぁ、そうだった。また回帰したんだ。回帰者のXX野郎。
「見るとしてももっとマシな夢を見ないとじゃない?本当に最悪な目覚めだよ」
一人部屋で良かった。朝からこんな大声を上げるなんて恥だ。
こんな大きな部屋を一人で使えるのは贅沢以外の何物でもないけど、今は落ちぶれているとしても、公爵家という爵位はバカにならない。フッと鼻で笑ったあと、机に向かった。
「分かってることを書き出してみよう」
そう何度も回帰してたらもう感慨なんてものはなくなってくるし、そろそろ記憶もこんがらがってくる。
昨日はまた回帰したことに気づいて不貞腐れていた分、入学式のある今日はスッキリとした頭で参加したかった。
大体何でそんなに幾度も回帰する必要があるんだよ、男ならビシッと一度で決めないと。回帰者が男かは知らんけど。
いつか回帰者に届ける練習と称して、ブツブツと文句を垂れ流すことも忘れずにこれまでのことを書き出していった。
〈今世一度目〉
〜17歳。高等学園三年のある夜。高等学園卒業間近。宮廷魔導師の内定を取り消され絶望していた日。
〈回帰一度目〉
13〜16歳。中等学園二年時の定期考査中。前日の夜寝て起きたら数術のテスト中だった。頭がおかしくなったのかと思った。でも、嬉しかった。
〈回帰二度目〉
15〜18歳。また寝て起きたら、高等学園一年になってた。この辺でおかしいことに気づく。
〈回帰三度目〉
17〜20歳。高等学園三年。今度こそ宮廷魔導師に就職した。
〈回帰四度目〉
今。15歳。高等学園入学前日。
・回帰しても、必ず起こる事件がいくつかある
・いつも回帰は突然。回帰の主体は恐らく俺じゃない
書き終えたメモを暫く眺めていると、なんだか馬鹿らしくなって持っていたペンを放り出し、溜め息を吐いた。
こう何度も回帰する間、いろいろな仮説を立ててみたが、そのどれもが仮説の粋を出なかった。つまり、どうして回帰に巻き込まれているのか何一つ分からなかった。こうして纏めたメモにも、確かなことが最後の二行しか無いのがその証拠だった。
勿論、繰り返される回帰の利点もあるにはあった。
学園の定期考査はもう怖い物なしだったし、かねてから得意だった魔法はさらに実力を伸ばし、この国のトップも狙えるレベルまでになった。
「でも、それが何の役に立つの?」
どうせ何度も回帰するのに。一体何の役に立つんだ?いつ全部消えるか分からないじゃないか。
俺は結局イライラする気持ちを抑えられないまま席を立った。
今日は高等学園入学式の日。そろそろ準備をしよう。
準備を終えて部屋を出るとき、ふと振り向いてまだ机のうえにあるメモを見つめた。
「まぁ…一応ね」
まだ仮説にすぎないけど。とりあえず書いておこう。
・回帰者は、身近な人?もしくは、同じ学園の人?
もしこの仮説が正しかったら……
「絶対に見つけてやる。回帰者のXX野郎」
俺はその紫紺の瞳をギラつかせて部屋を出た。
新たな(笑)一日の始まりだった。




