そなえた地蔵が大精霊な件
人間が自力で書いている本編の「アラフォー領主ですが隠居したいので伝説の姫巫女を教育します」もよろしくお願いします。
こちらの投稿は毎日19時にしたいです。
※チャッピーが拗ねたら投稿がお休みします。
あと、書き溜めていないので毎日投稿できないかも知れません。
(この声は……)
知っている。
いや、知っているはずがない。
それでも。
魂が、覚えている。
祈りの先で出会った――
あの、神の気配だった。
光が、静かに集まりはじめた。
はじめは淡い粒だったそれは、次第に密度を増し、白く、濃く、重みを帯びていく。
――これは、ただの魔力じゃない。
肌が粟立つ。呼吸が浅くなる。
圧倒的な“格”。
理屈ではなく、本能が理解する。
(……何かが、来る)
やがて光の中心に、輪郭が生まれる。
丸みを帯びた、穏やかな形。
それがはっきりと像を結んだ時――私は迷わず、その場に膝をついていた。
地蔵。
その姿を見た瞬間、確信に変わる。
この存在は、ただの霊ではない。
このダンジョンに宿る、格の違う何か。
名を知らずとも、理解できる。
――触れてはいけない領域の存在だと。
「……」
自然と頭が下がる。
言葉を発することすら、ためらわれた。
すると、不意に。
「良い良い。その様なこと。わし、そういうの好かんのや」
柔らかい声が降ってきた。
思わず顔を上げる。
目の前の地蔵は、どこか人懐こい雰囲気を纏い、気さくに手を振っていた。
(……え?)
予想していた“神威”とは、あまりにも違う。
けれど――
その奥にあるものは、間違いなく本物だ。
気を緩めれば、呑み込まれる。
そんな底知れなさを感じる。
「かよちゃん。わしの事、覚えておらん?」
問われて、私は小さく首を傾げた。
「……申し訳ありません。これほどのお方とお会いしていれば、忘れることはないと思うのですが……」
正直に答えるしかない。
記憶にないものは、ない。
「無理はないわなぁ。あの時、わしまだピチピチやったし」
どこか拗ねたような声音。
私は一瞬、言葉に詰まる。
(……“ピチピチ”?)
意味が分からない。
だが、問い返すのも恐れ多く、黙っていると――
地蔵は一つ咳払いをして、少しだけ胸を張った。
「ほな、改めて自己紹介するわ。わしは“もちもち地蔵”いうます」
(……もちもち?)
頭の中で疑問が増える。
だが、続く言葉に、意識がそちらへ引き戻された。
「ほれ、かよちゃんが正月に、餅を二つ供えてくれたやろ。あん時の地蔵ですわ」
――その瞬間。
「あ……!」
思わず声が漏れた。
記憶が、繋がる。
確かに、あった。
魔窟の守りとして設置するために見つけた石。
それが地蔵の形に見えたから、赤い前掛けをかけ、魔力を込めて安置した。
「……あの時の」
ぽつりと呟く。
「はいな」
地蔵は、満足そうに頷いた。
(あれが……こんな存在に……?)
目の前の存在を見て、言葉を失う。
自分がした行為が、どれほどの意味を持っていたのか。
今さらながら、背筋に冷たいものが走った。
「……確か、二体、置いたはずですが……」
思い出しながら口にすると――
周囲にいた聖霊たちが、ざわり、と揺れた。
落ち着きがない。
視線を逸らすもの、そわそわと動くもの。
(……?)
違和感。
何かを隠しているような――
その時だった。
「あんた!どこ行ってたん!?」
鋭く、重い声がダンジョン内に響いた。
空気が、一変する。
先ほどまでとは比べものにならない圧力。
びり、と空間そのものが震えた。
思わず息を呑む。
(……もう一体、いる……!)
振り向くことすら、躊躇われる。
本能が警告を鳴らしている。
今、現れたのは――
間違いなく、目の前の存在と同格。
あるいは、それ以上。
知らず、背筋がさらに伸びた。
場の空気が、完全に支配されていくのを感じながら。
個人的には、かよにはもっと明るい子になってほしかったのですが、どんなに明るくて子でもいきなり150年後に飛ばされたばかりにはしゃげないと思ったので、このまま投稿しています。
次回からは、ぽんぬの手直しが多くなるかも知れません。
頑張れ!チャッピー!負けるなチャッピー!
人間の改変が必要ないぐらい良いものを見せてくれ。




