150年後の真実
人間が自力で書いている「アラフォー領主ですが、隠居したいので伝説の姫巫女を教育します。」もよろしくお願いします。
石の床を踏むたび、かすかな反響が返ってくる。
森とは違う。
すべてが閉ざされているような、息苦しさ。
それでも――
先ほどよりは、恐怖は薄れていた。
あの二人がいる。
それだけで、不思議と足が前に出た。
「かよちゃんは、なんであんな所に?」
声をかけられる。
振り返ると、あの女性――櫻子がこちらを見ていた。
まっすぐな視線。
試すようでいて、どこか柔らかい。
「わしは……」
言葉を選ぶ。
だが、隠す理由もない。
「育田の森で祈っていたのじゃ」
あの光景が、脳裏に浮かぶ。
神域の静けさ。
そして――あの神。
「開国したのだから、民も同じように魔術を使え……皆が平和で、安心して暮らせるようにしたいと」
言い切る。
それが、自分の願いだった。
「希望すれば学べるやん。今は、内宮の封印解けたんだから?」
後ろから声。
振り返ると、もう一人――ヒロがぴったりとついてきていた。
距離が近い。
思わず一歩、前に出る。
(な、なにこの人……)
だが、その目は真剣だった。
警戒している。
自分を。
(……当然、か)
見知らぬ場所に、見知らぬ格好で現れたのだ。
疑われて当然だ。
「今は……?」
思わず問い返す。
「何を言っておる。今も昔も魔術は華族と一部亜人のものであろう」
それが常識だ。
疑う余地などない。
「それより――」
気になっていたことを、口にする。
「そなたらの衣装のことじゃ。そのような上等な布と……その、すていつの服装……帝都の者か?」
言葉が少し不安になる。
だが、興味の方が勝った。
「昨今、そのような服装を洋服と呼ぶのであろう? わしも着てみたいのじゃ!」
思わず、声が弾む。
軽やかで、動きやすそうで――
何より、自由に見えた。
そのとき。
「かよちゃん。今、何月何日か話せる?」
櫻子の声。
先ほどより、少しだけ慎重な響き。
「えっと……」
記憶を辿る。
「今朝の新聞には、光治九年三月九日と書いてあったぞ」
そう答えると、二人の間に妙な沈黙が落ちた。
空気が変わる。
嫌な予感がした。
「かよちゃん」
櫻子が、こちらをまっすぐ見据える。
一呼吸。
そして。
「あなたの話が本当なら……あなたは、150年前から来たことになる」
――え?
「今は大和暦で詠和七年三月。ステイツ暦だと2026年」
言葉が、理解できない。
意味はわかる。
だが、受け入れられない。
「……そんな……」
足が止まる。
頭の中が、真っ白になる。
(150年……?)
そんなはずはない。
ありえない。
だが――
あの神の微笑みが、脳裏に浮かぶ。
運命を紡ぐ存在。
あの糸。
あの視線。
(まさか……)
膝が震える。
息が浅くなる。
そのとき。
ふと、気配を感じた。
違う。
“懐かしい”気配。
「……っ」
顔を上げる。
三人の間に、淡い光が集まり始めていた。
空気が、震える。
糸が――見える気がした。
「おーい! 櫻子ちゃ〜ん」
声が、響く。
どこからでもない。
けれど、確かに届く声。
その響きに、胸が強く打たれる。
このあたりは、本編をコピペしてかよ目線にして!って言ったらチャッピーが一瞬で書いてくれますね。
とても、楽です。




