316、この地を更地にする
●【No.316】●
廃墟のレギザス王国。
奥にある王宮跡地。
その奥にある "玉座の間" にて。
玉座の間らしき部屋の中にいるヴァグドーたち一行。 その一行の一人である悪魔神が賊徒共のボス "賊徒王" を見事に撃破。 あの巨体の "賊徒王" が一瞬にして消滅した。 戦闘終了して、再びヴァグドーたちの所へ戻る悪魔神。
[悪魔神オリンデルスが賊徒王に勝利した。 これにより部下の賊徒共約150名も、その姿を消した。なお 戦利品はこの地である]
「………」
「………」
「………」
「………」
長い沈黙の後に、まずワシから話しかけてみた。
「今の奴、どうした?」
「消滅したよ」
「「「えっ!?」」」
「―――消滅?」
「……消滅って、消えたってこと?」
「ああ、そうだよ」
「ほぉーー、それはなかなか凄いのう。」
「……消えた……」
「……消滅……」
「……」
「アレがお前さんのいう新型必殺技なのか?」
「ああ、そうだよ。
もっとも完成には程遠い未完成の失敗作だけどね。」
「「「ッ!!?」」」
「「「えっ!!?」」」
「「「失敗作ッ!!?」」」
「……」
「アレは…もともとヴァグドーの特典能力からヒントを得て、そこからさらに研究・開発・発展させたモノなんだよ。 まだまだだけどね」
「ワシの能力……?」
「ああ、そうだよ。
キミの短時間による自分の存在をこの世から消し去る能力を応用して、敵の存在そのものをこの世から消し去る技にしてある。 勿論、時間無制限の永久的にね」
「「「「……」」」」
「ほーう、なかなか面白い技じゃな。 じゃが、お前さんの力なら簡単に敵など消せるじゃろ? なんで失敗作なんじゃ?」
「た…確かに…」
「今回は…たまたま標的がバカデカかったから当たっただけにすぎない。 アレのエネルギーを収束・凝縮させるのに、やたらと時間がかかるし、発射させてから敵に着弾するまでの時間もかかる。 これではすぐに避けられるだろうね」
「えっ、アレで?」
「ふむ、確かにのう」
「ちょっと待って下さい!
今の技…十分速かったし、威力も凄かったですよ? アレでまだ未完成なんですか?」
「ああ、そうだよ。
だって、アレは対ヴァグドー用の必殺技だからね」
「「「ッ!!?」」」
「「「えっ!!?」」」
「ほーう、なるほど…」
「「「……」」」」
「アレでは…とてもじゃないけど…ヴァグドーには通用しない。 だから…もっと精度・速度・威力を上げなければ…ダメなんだよ。」
「アレでまだ……」
「あの《ダークネス・デスボール》とやらで、このワシを倒すのかい?」
「いや、違う。 一応《ノーブル・バリアー・アウト》と《ダークネス・デスボール》はセットなんだよ。 あの《ノーブル・バリアー・アウト》がなければ、その後の《ダークネス・デスボール》は作れない。」
「ほーう、随分と手間のかかる技じゃな」
「まぁね…でも完成した暁には…必ずキミを倒せるモノになっているはずさ。」
「それほどのモノが……」
「「「……」」」
「へぇ~、そんなモノがねぇ~」
「それで…それはいつ完成するんじゃ?」
「さぁね、もしかしたら永久に完成しないかもしれないね?」
「何故じゃ?」
「それはキミが強くなりすぎたからだよ。 ここからさらに修正・設定を繰り返し、キミの強さ・素早さ・耐久力・強靭度・気力などのデータを取得して、技に反映させないといけないからね。 気の遠くなる作業だよ」
「大変じゃな?」
「まぁね、まぁ…気楽にやるさ。 時間はたっぷりあるからね。 キミもボクも…ね」
「「「……」」」
「まぁ…せいぜい頑張れや」
「ありがとう」
自分を倒す為に開発されてる技なのに、倒す相手に励まされてるこの状態…。
「何故、ヴァグドーさん専用の技なんか作ってるんですか?」
「だって、ヴァグドーにさえ通用すれば、他の奴には必ず通用するからさ。 ボクの中では、もうヴァグドーはひとつの基準なのさ」
「「「……」」」
「ほっほっほっ、ワシが基準か?」
何故か、倒せる物差しの基準に選ばれたことに喜ぶワシ。 ほっほっほっ、もうここまで来たか? 面白いのう。 これだから止められんのじゃ……戦いは……。 それにしても、このワシを倒す為の研究・開発とは、相変わらず余念がない男じゃな。 あの悪魔神という奴も―――そうそう、なんという技を作っておるんじゃ?
○《ノーブル・バリアー・アウト》→→透明の球体でオリンデルスが入れるくらいの大きさはある。 通常のバリアーよりも頑丈にできていて、通常の攻撃では簡単に破壊できない。 内部で高出力のエネルギーを収束・凝縮させるので、外部に漏れでないようになっている。 内部で高出力のエネルギーが充満する為、内部に入れるのは…オリンデルスだけだ。
●《ダークネス・デスボール》→→漆黒の球体でオリンデルスが入れるくらいの大きさである。 バリアー内部で収束・凝縮された高出力のエネルギーがどんどん黒く変色して膨張する。 やがてエネルギーが完全に膨張しきって、漆黒のエネルギー球体となったら、オリンデルスだけを残し標的めがけて発射する。 標的に着弾したら一瞬で消滅する。
◎《ノーブル・バリアー・アウト》と《ダークネス・デスボール》はセットであり、ひとつの必殺技である。
まさに攻防一体の必殺技であり、もし仮に完全な形で完成したら、あのヴァグドーにも通用すると豪語するが、果たしてどれほどのモノなのか……?
まぁ…ええわい。
『そんなことよりも』
「ここからが本題じゃ。」
「「「「……」」」」
ワシの言葉に皆、耳を傾ける。
「これから建物を破壊して瓦礫を片付けて、この地を更地にする。 ワシらが廃墟の建物を破壊して大きい瓦礫を持っていくから、お前さんたちは小さい瓦礫を所定の場所まで持っていってくれ。」
「「「「はい」」」」
「ああ」
「は~~い♪」
「イトリンは料理担当じゃから料理にだけ集中してくれ。 アルベルスとアルラトスの二人もイトリンを手伝ってやれ。」
「おお」
「「はい」」
「よし、宜しく頼むぞ」
「「「「はい」」」」
「ああ」「おお」
「は~~い♪」
ワシらは玉座の間を出ていき、王宮・宮殿からも出ていき、再び廃墟の街へと戻ってきた。
そこで作業する担当者を改めて確認する。
※建物の破壊・大きい瓦礫の運搬・撤去→→ヴァグドー、アドーレ、オリンデルス、シャニル、テミラルス。
※小さい瓦礫の運搬・撤去→→カグツチ、ロンギルス、エクリバ、ニーグルン姫、ルドルス将軍、モモネ。
※料理担当→→イトリン、アルベルス、アルラトス。
※要らない瓦礫は王国の外でヴァグドーが大きい円を書いた場所に置く。
この地を更地にする。
その為に、まずはワシらが廃墟の建物を破壊して大きい瓦礫を持っていき、カグツチたちも小さい瓦礫を持っていって、王国の外のワシが書いた大きい円の中に積んで置く。 当然、一日・二日で終わる作業ではないので、しばらくの間はこの地に滞在することになる。




