母娘の手紙 その一
ここからWeb拍手に置いていたおまけSSの再録になります。
一部加筆修正をしています。
アナスタシアがシャルルからエドワードとシルヴィが仲良くなったと聞いた後の手紙(一章 皇帝崩御の頃)
親愛なるナタリーへ
こちらは雪が舞う季節となりましたが、元気に過ごしているでしょうか。
レヴィ王国は暖かいとは聞いていますが、体調を崩していないか心配です。
少しでも調子が悪いと思ったら決して無理をしてはいけませんよ。
我慢をし過ぎる事は時として周囲に迷惑となる事もあります。
ナタリーは王太子妃なのですから堂々としていていいのですよ。
ナタリーは手紙を読み終えて首を傾げる。
母が一体何を心配しているのか、彼女にはわからなかった。
親愛なる母上へ
こちらはまだ雪の気配はありません。
先日豊穣祭が行われました。
このお祭りは豊作でも凶作でも行われるそうです。
凶作の場合は来年の豊穣を祈るという名目に変わるそうです。
面白い風習ですよね。
レヴィ王国はシェッド帝国より暖かいので体調を崩すような事はありません。
侍女のイネスも色々と気遣ってくれていますから心配は要りません。
むしろ母上が体調を崩されていないか心配をしています。
今年の冬の寒さが厳しくなり過ぎないように私もマリー様にお願いしておきますので、お身体を大切にして下さい。
アナスタシアは手紙を読み終えて小さくため息を吐いた。
ナタリーは裏を読めないので、体調はそのままで受け止めてしまっている。
本当は心の内を確認したかったのだが、検閲のある手紙で確認するのは難しい。
素直に聞く手紙は問題なく届くだろう。
しかし良くない答えだった場合、皇帝に筒抜けになるのは困る。
最悪、ナタリーに結婚の意味を伝えて急かすような事態は避けたい。
彼女は手紙で夫婦仲を聞き出す事は諦めた。
そして皇帝即位祝賀会の時にエドワードだけを呼び出す事にしたのである。
この手紙から皇帝即位祝賀会までの約半年でエドワードの気持ちが変わるとは、誰も予想していない。
心変わりしていなかったならば、エドワードはいつもの張り付けた笑顔で適当に誤魔化すはずである。
その場合、アナスタシアがエドワードの企みを見破るのは難しいだろう。
エドワードがナタリーに惚れていなければ、二国間の関係は違う方向に動き出したに違いない。
エドワードに関しての話は【知らないふりをさせて下さい】をご覧下さい。




