第三話「勉強方法」
「まず学校から帰ってきたら手を洗い、うがいをする。それからランドセルの中身を出して整えてから、お茶を飲む。そして今日、先生から習ったところを教科ごとに見返す。
ノートを見て、先生が仰ったことを思い出し、教科書で確認する」
「先生は一教科一時間かけて教えてくださるが、復習は20分もあれば足りる。
六教科で2時間、これで一通り終わるはずだ。それが終わったら宿題に取り掛かる。
これは生徒の義務だから、決して忘れてはならぬ」
「分からないところがあれば飛ばしておいて、あとで俺に聞け。さらに余裕があれば、明日やる授業内容をざっと流し読みしておく。一教科10分もあれば十分だ。分からんところは先生が教えてくださるし、先生という人種も、教わりに来る子供は可愛いものだ」
「それでもまだ時間が余るようなら、ドリルや問題集に手をつけろ。学校でやっていない部分でも構わん。分からないところは俺に聞け。答えは、どうしても分からないときでも見るな。合っているかどうかより、自分が分からない場所を見つけるほうが重要だ」
「日が暮れてきたら、目を近づけすぎるな。影がノートに落ちないようにしろ。目はお前の体の中のダイヤモンドだ。暗いところで勉強するくらいなら、しないほうがいい」
まあ、背反するようだが、本音を言えば、そもそも学校の勉強なんぞしなくても構わん。
だが、授業が分からんと、学校に行ってもつまらんだろう。
こんなことを言って聞かせたせいか、俺が帰ると勝太郎は大抵机に向かっている。
俺に分からないところを聞いてきたことは一度もない。
本当に分かっているのか、それとも分からないままやっているのかは、正直、分からん。
ただ、ノートだけはやけに綺麗にまとまっているようだ。
字だけは、俺よりよほど几帳面な字を書く。
男らしい豪快さに欠ける気もするが。




