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第二十五話「おしっこの役目と冬のテレビ」
坂口の婆さんの部屋でテレビを見ているくせに、小便がしたくなると俺を呼ぶ。婆さんに頼めばいいものを、そこはなぜか嫌がる。
だが、明日からは出勤だ。いちいち呼ばれていては話にならない。
「尿瓶でも買っておくか」
そう言ったところで、勝太郎が顔をしかめた。
「それは嫌だよ……普通にやってよ」
「俺は明日から仕事だ」
勝太郎は言葉を探しているようだが、出てこない。
結局、小さく不満そうに言った。
「だって、そういうのはお父さんの役目でしょ」
婆さんが怖いので、俺は小さな声で、
「馬鹿野郎。仕事休んだら、親子二人餓死するんだろうが!」と囁いた。
生活資金が払底してしまってからでは遅いということを徹底的に教えてやりたかったが、
やはり婆さんが怖いのでやめた。
勝太郎は納得していない顔のまま、テレビに視線を戻した。
オムツでも作って、無理やり履かせてやろうか。
本当に。
……どうせ、泣くんだろうが。
こいつが大人になって自立して、もしも懐郷の情に咽び泣くことがあったら、この時の話をしてやろうと心に決めた。




